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肘関節(1)関節・靭帯・軟部組織の構造と作用

肘関節は上腕骨、橈骨、尺骨で構成され、これらの骨で腕橈関節、腕尺関節、上橈尺関節(近位橈尺関節)が形成されている。

(1)関節

腕橈関節は上腕骨小頭(上腕骨遠位端)と橈骨頭(橈骨近位端)とで形成されており、腕尺関節は上腕骨滑車(上腕骨遠位端)と滑車切痕(尺骨近位端)とで形成されている。腕橈関節・腕尺関節は、ともに屈曲・伸展運動で作用している(ちなみに、肘関節の屈曲・伸展の中心軸は上腕骨滑車と上腕骨小頭を結ぶラインにある)。また肘関節屈曲・伸展に伴い、内外転および内外旋も生じ、尺骨が中心軸となる。

上橈尺関節は、橈骨頭と尺骨にある橈骨切痕間で形成される。この関節では回内外の運動が主に生じ、中心軸は橈骨頭の関節窩(橈骨小頭窩)の中心部と、尺骨頭(尺骨遠位端)とを結ぶラインとなる。

回内外では尺骨が固定され、橈骨が周囲を動くとされるが、最近は尺骨遠位端も、運動時に橈骨側へ変位していることが分かっている。

1)腕橈関節

球関節(三軸性関節)で、肘関節の屈曲・伸展、前腕の回内・回外で機能する。腕尺関節は肘関節屈伸運動を安定して行うための形態をもつ.上腕骨側の上腕骨滑車には中央よりやや外側に中央溝があり,くびれのある円柱状の形状である.矢状断面では円形に近似できる.尺骨側の滑車切痕は,中央
溝に適合した陵があり,矢状面では半円状であり180°の関節面をもつ.冠状面で尺骨は上腕骨軸に対し10~15°外反しているため,肘関節伸展位では生理的外反肘となる.

2)腕尺関節

蝶番関節(一軸性関節)で、肘関節の屈曲・伸展で機能する。腕橈関節は肘関節屈伸運動と前腕回旋運動に関与している、上腕骨側の上腕骨小頭は、前方で半球状の関節形状をもつが、上腕骨後方には関節面をもたない。橈骨頭は円柱状で,関節面中央は上腕骨小頭と同じ曲率で陥凹している。底の浅い形状が、前腕回旋・肘関節屈曲の運動を可能としている。 

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