肩関節〜胸椎の評価・ケア【運動連鎖】
オーバーヘッドスポーツにおいて、肩関節は障害予防、パフォーマンスに大きく影響する。肩関節の機能改善・強化のポイントは、求心位(関節窩に正しく収まった状態)の獲得となる。
1)肩関節の評価・ケア
肩関節(肩甲上腕関節)は球関節という構造上、不安定な構造をしているが故に自由度が高い。上腕骨頭に対し、関節窩の大きさは約1/3で、構造的な不安定性を関節唇・関節包・靭帯・筋などの軟部組織の制御によって支えられている。
(1)上腕骨頭の可動性評価・ケア
各ポジションにおける可動域制限、ならびにアプローチ部位は以下の通りである。
・1stポジション
外旋=前上方組織(三角筋前部-大胸筋・棘上筋前部)
内旋=後上方組織(棘下筋上部・三角筋後部)
・2ndポジション
外旋=前下方組織(肩甲下筋下部・大胸筋下部)
内旋=前下方組織(棘下筋下部)
・3rdポジション
外旋=後下方組織(大円筋・広背筋)
内旋=後下方組織(棘下筋下部・小円筋)
2nd外旋時の後上方偏位・内旋時の前方偏位を触診し、求心位を保てているか確認する。
1.上腕骨頭の下方可動性改善
Sulcus test(サルカステスト)を実施。肩峰-骨頭間0.5横指のスペースを確認する。
2.上腕骨頭の後方可動性改善
Load & shift test(ロード&シフトテスト)で上腕骨頭の後方可動性を確認。
また、肩関節の水平内転による後方タイトネスの確認も行う。
可動域制限の疑いがある場合は、以下の部位のリリースを行う。
・三角筋-棘下筋の筋間
・小円筋
・小円筋-大円筋の筋間
・上腕三頭筋
・肩後方
(2)肩関節内転の評価・ケア
肩甲骨を上方回旋ならびに下角を固定した状態で、上腕骨を内転させる。内転に伴い肩甲骨下角が内方に動いた場合、内転制限があると判断。上方組織である棘上筋、三角筋、上腕二頭筋長頭-短頭の3部位のリリースを行う。
1.棘上筋リリース
棘上窩において棘上筋の前方から指先を侵入させ、棘上筋の下に指を潜り込ませる。
2.三角筋リリース
三角筋下にある滑液包上を三角筋が滑るよう、三角筋を把持して動かす。
3.上腕二頭筋長頭-短頭リリース
2筋の筋間をリリースする。
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