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肩関節複合体(1)肩甲上腕関節

肩関節は、非常に関節可動域の自由度が高い関節であると同時に、日常生活やスポーツで大きな負荷がかかるため、安定性も求められる関節である。そのため、他の関節と比較しても年齢や性別、姿勢、靱帯、軟部組織の状態などの要因に、大きく影響を受けている。肩関節は、主に次の4関節の連動によってその可動域を確保している。

肩甲上腕関節
肩甲胸郭関節
肩鎖関節
胸鎖関節

ここれらを総称して「肩関節複合体」と呼ぶことがある。そして肩関節複合体のなかでも、とりわけ可動域が広いこととして知られるのが、肩甲上腕関節だ。一部教材では、肩甲上腕関節を広義の肩関節として解説していることもある。

(1)構造と役割

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肩甲上腕関節は、肩甲骨関節窩と上腕骨頭とで形成される球関節であり、非常に可動域が広い多軸性関節でもある(肩甲骨の関節窩は卵円形を形成している)。肩甲骨関節窩はやや前方を向いており、上腕関節の後方への脱臼を防いでいる。上腕骨頭の脱臼は、ほぼ100%に近い割合で前方に対して発生しているのが特徴だ。

上腕骨頭の半径は約37mm~55mm。それに対して、肩甲骨関節窩は約2mmの深さしかない。関節窩の周縁には関節唇があり、それにより関節窩全体の深さ・大きさを補完している。それでもなお、上腕骨頭のほうがはるかに大きく、スポーツ選手や運動実践者など、肩を大きく動かす人は肩のトラブルに悩まされることが多い。

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