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身体コントロールを脳科学から学ぶ理由(2)神経伝導路~腹内側系と背外側系

トレーナーは、現場で様々な知識を要求されることの多い職業だ。解剖学は当然のことながら、栄養学や身体の生理機能も知っておく必要がある。今ではトレーナーが栄養指導することが当然になっているが、脳機能を生かした指導が一般にも行われるシーンが、この先どんどん増えてくると予想される。

脳機能に関連する身体コントロールの知識を広く紹介しつつ、いかに脳機能が人体のパフォーマンスに関係するのか、それらをトレーナーが知っておくことのメリットを全2回で紹介したい。

(1)運動を起こす経路(神経伝導路)

中枢神経系や末梢神経系といった神経は、神経細胞を介して結ばれ、互いに情報交換が行われている。この情報交換の経路を「神経伝導路」といい、一般に「運動神経」と呼ばれるものは、正確には「下行性経路」である。

1)下行性経路とは下行性経路とはその名前の通り、頭部(脳)から足部(身体)に向けて、(上から下へ)情報伝達される経路のことだ。

下行性経路の例
片手を高く挙げて物を取ろうとした時に、物を持ってもバランスが崩れないように、勝手に姿勢を維持する。片足立ちになった時に、倒れることなくバランスを保つ。

下行性経路は2種類の経路に分けられる。

1)腹内側系

脊髄の腹側を軸索が下行する下行性経路のこと。姿勢制御や身体のバランス維持は、腹内側系が持つ抗重力筋をコントロールする回路に依存しているとされる。姿勢維持や歩行での安定性確保をはじめとした、コアスタビリティを司るのが腹内側系だ。

腹内側系は主に6種類あるとされ、脳幹を出発点とする経路と大脳皮質をスタート地点とする経路があるとされている。

・皮質橋網様体脊髄路
・皮質延髄網様体脊髄路
・皮質視蓋脊髄路
・間質核脊髄路
・前庭脊髄路(内・外側)
・前皮質脊髄路

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