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手関節(2)不安定要因

手根骨近位列は、遠位列、橈骨・尺骨と可動性が優れた構造に挟まれており、同時に不安定性による傷害も頻発しやすい。特に手根骨の不安定性のパターンには、大きく4種類挙げられる。

(1)手根掌屈変形(VISI変形)

「Volar intercalated segmental instability」の略で、Volarは「掌側」を意味する。三角骨の不安定性→月状骨の不安定性が誘発される。月状骨は筋が付着していない他、関節面が前方=掌側を向いているため、VISI変形を起こしやすい。

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VISI変形の主要因は、掌側橈側手根靭帯と月状骨三角骨靭帯とされ、特に月状骨三角骨靭帯の損傷・変性が必要条件と言われている。VISI変成は、月状骨~三角骨間の解離が必ず伴う。掌側橈側手根靭帯のひとつである掌側有頭骨三角骨靭帯の機能低下が、VISIの直接的な原因となるという研究報告もある。

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(2)手掌背屈変形(DISI変形)

「Dorsal intercalated segmental instability」の略で、Dorsalは「背側」を意味する。DISI変形は橈骨~舟状骨~月状骨間の靭帯の傷害・変性などによって引き起こされる。特に舟状骨~月状骨間には舟状骨月状骨靭帯があり、断裂により手関節の過伸展し、月状骨の不安定性が起こる。

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