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中小製造業の新たな資金調達=事業成長担保とは?
政府は、新しい資本主義の一環として借入に関する新たな法律の制定を検討しています。
どんな法律かっていうと、担保をより広く認めようとするもの。
今までは、金融機関から借り入れするとき、土地や建物といった不動産を担保にするのが一般的でしたよね。
でも、不動産担保だけでは限界があるので、新たに無形資産も含めた事業全体を担保として認めようじゃないか、というものです。
これら有形資産と無形資産を組み合わせた事業資産全体を「事業成長担保」
といいます。
新法では、金融機関が「事業成長担保」をもとに企業に融資する際のルールを明確化するそうです。
民法の特別法扱いということですね。
実は、昔から「知財担保」という動きはありました。
でも、知財というのは、土地などと違ってなかなか市場流通性がないので、担保権の実効性が低くいんですよね。
金融機関から見ると、債権回収を図りにくいので、使いずらい。
なので、実際にはほとんど定着していません。
そこから、新たに事業性評価という動きがあって、知財を含む事業全体を評価しようという考えですね。
私も、特許権をもとにした事業性評価書を作成したことがあるのですが、
やはり、特許権の経済的価値評価、というのは難しいです。
“一応の合理性”をもとに評価することはそんなに難しくはないのですが、
“一応の合理性”は一つではないんですよね。
複数の合理性があり得ます。
なので、特許権の経済的価値評価の評価額には複数の答えができて、結構大きな差になり得ます。
1ケタくらい変わってきますからね。
でも、“一応の合理性”のもとではそられ評価額のどれもが正しい、ということになります。
また、中小製造業のある特許権があって、その特許の権利範囲に、大手企業がリリースした新製品が含まれるとなると、二束三文の昨日の特許権が、大手企業がリリースした今日いきなり億単位の価値になる、なんてことも起こり得ます。
なので、特許権の経済的価値評価というのは、評価自体はそんなに難しくはないけど、判断は難しいですね。
このように、無形資産を担保にした融資というのは、なかなか難しくて、でも少しずつ少しずつ姿形を変えながら、レベルを上げてきたんですよね。
今回新たに法律が制定される、ということになると、今までとは気合いが
違ってきますね。
今回の「事業成長担保」というのは、もちろん知財権だけでなく、信用やブランド、データなども含まれるので、どうなるかは分かりませんが、担保権の実効性というところで、どのような規定になるのかをウォッチしていきたいと思います。
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