ニコンのレンズの歴史を軽く説明しながら非Aiレンズを改造してFマウントに装着できるようにする
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ニコンのレンズの歴史を軽く説明しながら非Aiレンズを改造してFマウントに装着できるようにする

前回、うっかり入手した壊れたNikon F3を修復して使えるようにしました。

試しに使ってみたらジウジアーロデザインでカッコいいだけではなく、かなり使いやすいフィルムカメラだとわかり本格的に使ってみたくなりました。

さらに狙ったかのように良い話が舞い込んで、非AiレンズのNikkor-S Auto 50mm F1.4を職場の同期から譲ってもらいました。
ただ、このレンズは同じFマウントでも装着できない互換性の無い非Aiレンズです。

同じFマウントなのに物理的に装着できないんです…
今回、その理由を簡単に説明しながら、この非Aiレンズを改造して装着できるようにします。

互換性の無いFマウントについて

ニコンのFマウントの歴史についてよくわかっていなかったので簡単に調べました。
ニコン(日本光学工業株式会社)は100年以上の歴史があり、Nikon Fマウントは50年以上の歴史がある…


ニコンのついて

Fマウントについて

Watch Impressのレンズマウント物語

語りきれないので詳しく知りたかったらwikiへ…

簡単に説明すると

Fマウントは50年以上の歴史を持つが、内部のシステムは時代と共に進化を続けている。
[ニッコールオート]→[ニューニッコール]→[Aiニッコール]・・・とフィルム一眼〜デジタル一眼の現代まで進化を続けている。

上記の[ニューニッコール(カニ爪方式)]と[Aiニッコール(Ai方式)]の間の進化の過程で、絞り値をボディへ伝達する構造がカニ爪方式からAi方式(露出計連動ガイド)に進化。この伝達方式の違いで物理的に互換性が無くなってしまいました。

原因はこの写真のAiの爪

この爪がぶつかって新旧のレンズに互換性が無いんです。

動作がわかるようにAiレンズを装着している動画をgifにしてみた。

その後「完全自動開放TTL測光」という技術が生まれてレンズの光を直接測定できようになり、上記の物理的な伝達構造が必要無くなりました。

技術の進化の過程で生まれたAi方式。互換性が無くなるニコンの大きな決断でもありました。

Aiレンズと非Aiレンズの違いについて

細かな違いもあるものの、非AiレンズとAiレンズの違いは爪が引っかかる絞りリングの段差があるかどうか。

下の写真が今回改造したレンズ(左)、Aiレンズ(右)

マウントとの端面に位置する絞りリングの形状が違うのがわかります。

↓AiレンズのAI Nikkor 50mm f/1.2Sをさらに接写。

F8とF5.6の間に段差が見えます。
非Aiレンズにはこの段差が無いためFマウントに装着できません。


違いは絞りリングだけので、ニコンはAiレンズの発売時に非Aiレンズの絞りリング交換サービスを開始しました。これを純正Ai改造というそうです。
言い換えれば、ニコンは互換性をなんとか残すために、この絞りリングを交換するだけでAiへ対応できるようにしました。

旧ユーザーを大切にするニコンの姿勢には頭が上がりません。
しかしこのサービスは1997年に終了…

純正Ai改造サービスが終了した現在、残された方法は一つ。レンズを削ってAi方式と同じ段差を作るのみ。むしろ削るだけで対応できてしまう設計すごい。
少し荒技ですが挑戦します。


しかし、Nikon F3のAiの爪は段差が無くても爪が倒れてくれるので、非Aiレンズにも対応しています…笑

でもこの状態だと絞りが連動しないので測光機能が使えません。せっかく電子制御のNikon F3が復活したんだからこの機能を使いたいですよね。

レンズの分解

レンズを分解するのですが、絞り羽根までアクセスしなければ戻すのはは比較的簡単にできます。
ただ、レンズや銅鏡を傷つけないように慎重に扱う必要がありますし、機械に自信が無かったらオススメしません。

必要な道具は精密ドライバーのみ

個人的にデザインも精度も価格も素晴らしいドライバー
このドライバー僕の愛用品です。ビットのチョイスも良いです。

外したいのはマウント側の黒色のリング。これに付けれているネジを次々取っていきます。

マウント面のネジも1つを除いて取ります。1つはバネに接続されているので写真左下のネジは絶対に取らないこと!回すと「ギギギッ」っとバネの音がします。

この側面のネジも外す。

バラバラになりました。

左下のリングが今回の目的の「絞りリング」

ネジや分解したパーツを無くさないようにセロテープにくっつけたり、トレーに逃がしておきます。

上記写真ではカニ爪がついていますが、忘れずに取り除きましょう。


非Aiレンズの改造

絞りリングを削って段差を削り出します。

必要な道具

ヤスリは可能であれば複目ヤスリの中目と細目とがあると便利です。100均のヤスリは精度が悪いので個人的にはオススメしません。
精密ヤスリは仕上げ用とバリ取り用です。

削る位置ですが、レンズの開放値よって異なります。

今回のレンズの開放値はF1.4。
F1.4の場合はF8の「8」の数字の真上から数字の小さい方向へ削ればOK。

削る深さは1.2〜1.5mm。僕はカニ爪用のネジ穴を傷つけたくないので1.2mmを狙います。
寸法を決めたら正確にマスキングテープを貼り付けて他の箇所が傷つかないようにします。

更にリング全体もマスキングします。
油断するとまじでえげつない量削れるので削りたくない場所は絶対にマスキングすること。

削る範囲ですが、削りすぎると不格好ですし疲れます。
参考にですが、僕は円周で約40mm削りました。このレンズの場合は40mm削ればOK。

感で40mmを出したわけでもなくて、下の写真の様にF1.4(開放値)の状態でレンズがマウントにハマる位置で当てます。その時の爪の位置+1~2mm削ればOK。

この方法で他の非Aiレンズでもどこまで削ればいいのかがわかります。


場所が定まればあとは削るだけ!
複目ヤスリの中目を食い込ませます。表皮は硬いのでヤスリを押し付けて慎重に。

ある程度仕上げ代を残して削れました。
アルミなのでサクッと削れます。綺麗に仕上げるために平坦な面を意識しながら削りましょう。

あとは仕上げ用のヤスリで仕上げ削りをします。

なんとなくダイアモンドヤスリを使いました。

慎重に、削りすぎないように優しく力をかけて仕上代の0.1mmを削りました。

上手に削れると光沢が出てきます。

こんな感じ。綺麗になりました。
小さなバリが出ているので精密ヤスリで丁寧にバリを取り除きます。
最後は水洗いをして削りカスを洗い流しました。

触ってみて角が引っかかる感じがしなければOK。

あとは組み直します。

油が古かったのでヘリコイドグリスを塗り直しました。
油は最低限で。付けすぎると埃が溜まる原因になるので、うすーく塗ります。余分な油は拭き取ります。

下の写真、F5.6付近にカニ爪用のネジ穴がありますよね? 段差を1.2mmで仕上げたのでネジ山も綺麗に残っています。
このあとカニ爪を取り付けます。

カニ爪ごと削る方もいらっしゃるのですが、カニ爪は削らなくてもNikon F3には取り付けることができます。仕上げも綺麗になるし、今回はカニ爪にはノータッチ。

改めて削り面のアップ。良い光沢。

よし!OK!

仕上げに油性ペンでアルミが露出しているところを塗りました。
あと絞り位置がわかるようにマーカーで○印をしました。純正改造だとここに絞り値が刻まれていて、ファインダーを除くとこの絞り値が見えるのですが今回はこれで良しとします。

本当はガンダムマーカーの塗装で仕上げるといいんですが買うのがめんどくさかった。

これで改造終了です!

Ai化レンズの完成

これでAiレンズの改造が完了しました。これでやっとNikon F3の測光機能が利用できるようになりました!

ついに電子式カメラの本領発揮!

装着時の爪の位置もOK!
測光機能のSS速度もOK!

我ながら綺麗な仕上がりだと思います。(自己満)

これでDIY溢れるNikon F3とNikkor-S Auto 50mm F1.4が完成しました。ジャンクF3を修復して、互換の無いレンズを改造。

手間はかかりましたが、格安でプロが愛用していたフィルムカメラを揃えることができました。内部を分解して機械好きな僕はドキドキわくわく楽しかったです。

これからも壊れないように大切使おうと思います。
これからは旅の持ち歩こう。

Nikon F3と50mmレンズはこうして、我が家のカメラとなりました。



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miyachi /ミヤザキマサキ

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元アウトドアメーカーのプロダクトデザイナー、フォトグラファー|登山|ロングトレイル|Nikon Z6II|SIGMA fp|3Dプリンター|Microsoftフォトコン最優秀賞|montbell|MYOG|スパイスカレー|Twitter、note、Instagram更新中