エントリー機なのにハイスペックNikon Z5レビュー
2018年から使用してきたα7IIIを手放し、NikonのZへマウント総引っ越しを決意しました。
Nikon Z5はNikonが同時発売したZ6/Z7の下位モデルとなり、実質Zシリーズの第二弾目の新製品となり、Z6/Z7と比べてよりブラッシュアップされております。
Nikon Z5のコンセプトは「高い性能を保ちながら多くの人にフルサイズを楽しんでもらえる」このコンセプトはD750とそっくりなコンセプトとなっています。
D750やZ5は次はフルサイズ…といったスペックアップをしたい方に最適な機種です。
(もちろんエントリーな人にもおすすめだけどAPS-C→フルサイズの物理的な違いの感動を味わってほしい)
私の初めてのフルサイズはNikon D750。今でも現役で使用されている方も多いはず。
それだけ完成度が高い一眼レフ機で大学生の頃の私でもギリギリ手が届くエントリーフルサイズカメラでした。
カメラ機材は手放してから気がつく良さという恋人のような経験したことのある方も多いはず。
(知らんけど)
SONYにして日に日にとD750を手放してから失ったものに気がつくことも増えてきました。
特に感じた事が、登山やアウトドアシーンでの使用感と安心感。登山や旅をする事が多いのでおのずと信頼性が大切となります。
SONY a7IIIは先進的な性能と技術が盛り込まれ発売から数年経過するもミラーレスカメラの代表的なカメラです。
しかし防塵防滴性能は私の周りでも評価が低く信頼性は低いと感じています。
OLYMPUSやNikonを使用していた時のように過酷な環境でもフットワークを軽くしたいと思うことが増えました。
Z5はエントリー機ではありますが、上位機種のZ6/Z7と共通パーツも多く、カタログスペックも上位機種に見劣らないほど十分な性能を持ち合わせています。
エントリー機なのにハイスペック。コスパ最強フルサイズミラーレスです。
今回、旅でいきなり本格導入しましたが、上位機種に匹敵する性能を持ち合わせていると感じました。
Z5の好きなところ
・SDカードダブルスロットでバックアップ
やっとSDカード…(はじめからSDカードに対応してくれよというのは置いといて)
Z6/Z7はハイパフォーマンスに重きを置いていたのでXQD、CFexpressカードを採用したのかと思います。
しかし、連射性能や動画性能にそこまで性能を求めない人はSDカードを使いたいでしょう。
SDカードは旅先でも入手しやすく他のカメラとメディアを共有できます。
デメリットである書き込み速度は、Z5の連射性能がSDカードに合わせてなのか性能が抑えてあるため書き込みの遅延、動画など問題がありませんでした。
私はSDカードを2枚刺してバックアップ記録をしています。SDカードが壊れるときは突然一瞬で全てが消えるので何度か経験すると2枚差しをしないと安心して撮影できません。
ちなみにミラーレスエントリー機でダブルスロット搭載なのはNikon Z5だけ。
・高性能なセンサーシフト手ぶれ補正
使っていて驚いた機能の一つです。体感ですが今まで使用していたSONY a7IIIの手ブレ補正はジワッと効く手ブレ補正でしたが、Z5はしっかりと止まる感覚でした。
月明かりの景色はギリ手持ちで撮れます。
手ぶれ補正+表面照射センサーでうっすら湖面や斜面が確認できます。(今回の表面照射センサーも意外と良い。)
同じフルサイズ、スペック上は同じ5段分の手ブレ補正性能、にも関わらずZ5の方が手ブレ補正が良く感じました。
さらにNikonの手ブレ補正は持ち運びの振動によるダメージを防ぐVRロック機構があります。α7IIIやGR3は揺らすとセンサーがガタガタ揺れるのがわかりますが、Nikon Zは内部の振動を感じません。
このような目に見えない保護機能に妥協しない点が好感が持てます。
気になるのは物理的にロックしてるのか、常に電圧をかけてロックしているのか…
バッテリーを抜いて揺らしてみましたがカタカタ言わないのでおそらく物理的にロックしているんじゃないかと想像しています。
ミラーレスエントリー機でボティ内手ブレ補正なのはNikon Z5だけ。(今となってはエントリー?なα7IIは手ブレ補正あるけど6年前の機種です)
・USB-C PD充電と給電対応
今となってはUSB充電は標準装備となっていると思います。
しかも今回からはUSB給電が可能でタイムラプスも安心です。
ちなみにUSB給電はバッテリーを抜いた状態では機能しません。給電だけで利用する場合でもバッテリーは必須です。
さらにUSB充電で注意していただきたいのがUSB PD充電限定だということ。純正USB充電器が15wなので、18w以上のPD充電に対応するUSBアダプターとモバイルバッテリーを用意しましょう。
私は下記の商品を使用しています。高速に充電ができて便利です。
上記のモバイルバッテリーが想像以上に良くて、今までAnker派でしたがRAVPowerもいいじゃん。ってなりました。小さいし軽いし高性能。パススルー機能があるのも旅で活用できるので嬉しいです。MacBookも充電できるし、旅のお供となりました。
・上位モデルと同じ操作性能
Nikonは伝統的に左上のプレビューボタンとデリートボタンがあります。使いやすいと思ってて好きなボタン位置です。
個人的にカメラを操作することで欠かせない機能があります。
・ジョイスティック(AFポイントの移動)
・タッチシャッター(直感的なAF/ブレ軽減)
・前後ダイヤル(F/SS/ISO/露出の設定の変更)
上記の機能があるだけでカメラは一層と使いやすくなりますが、エントリー機では省略されやすい機能です。
ボタンや機構が増えるたびに複雑になりパーツ点数が増えて高額になりますが、Z5はエントリーなのに上記の3項目をすべて搭載しております。
特に感動したのが親指AFボタン。 通常は内部の基盤と垂直にボタンを設置するのですが、親指AFボタンは角度が付いており、親指の入射角とマッチして感動的に押しやすいです。細かな配慮にデザイナーの熱意を感じます。
さらにマウント横の中指と薬指で押すボタンが2つあります。このボタンも押しやすくて便利です。ボタンをカスタムできるので薬指のボタンはプレビューボタンに変更しました。
この設定が意外と便利なのでZユーザーはぜひ設定してみてください。
・感動的に見やすいEVFファインダー
ニコンこだわりのEVFファインダーです。
Z6/Z7と同じ光学&同じ有機ELパネルなので見え方は全く一緒です。ただ、接眼保護窓だけは素材が異なります。
エントリー機種のファインダーも妥協を感じさせない見えやすさで、一眼レフ機と遜色ない見えやすさでした。
Z5のあとにα7IIIを覗くと「あ…」となり、かなりの違いを感じました。
iPhoneでEVFを撮ったのですがドットを感じさせません。
さらにファインダー倍率は上位機種と同じで約0.8倍なのでかなり大きく見えます。
(ただサングラスやメガネをして覗くと隅々まで見えにくいため個人的には0.9倍が好きかも)
・上位機種と同じ瞳AF性能
Z5にはZ6/Z7でも採用されている瞳AFが搭載されています。エントリー機にこのような機能を乗せるのはすごい。
しかも人間にはもちろん、動物にも瞳AFができます。
動画では試していませんが、α7IIIにも瞳AFがありましたが同等レベルだと思います。
・上位機種と同じクラスの防塵防滴性能
防塵防滴性能ですが、下記の私のTwitterをご覧になったほうが早いと思います。 下記TwitterでテストしたカメラはZ6IIですが同等の防塵防滴性能があるとのことです。
下記インタビューでも防塵防滴について開発者の回答があります。
Z5のインタビューなのに防塵防滴に対して結構濃厚にインタビューされてて面白いのでぜひ。
シャワーでびちょびちょにしても全く問題ありませんでしたが注意していただきたい点があります。
・濡れた状態でズームレンズを伸縮させないこと
・水捌けの悪い場所や水溜りに置かないこと
・防塵防滴であり防水ではないこと
濡れた後はタオルで水気を拭き取り、カバー類を全開にして乾燥させました。
九州の旅ではほぼ首から下げたり、バックパックのショルダーハーネスにピークデザインのキャプチャーで取り付けていました。
雨風の険しい環境の中、全く問題なく使用ができました。
Z6II/Z7IIと共通部品が多いとのことでかなりの安心感がありました。
イマイチな点
NikonさんからZ6IIやレンズをお借りしましたが自由にレビューしていいし、制約などは無いのでイマイチな点も正直に書きました。
・表面照射センサーの暗所性能は良いけど暗所のAFが遅い
暗所になるとAFが迷うことが多々ありました。表面照射センサーなので暗所が苦手というのもあります。
AFのモードにもよりますが、私がよく使うピンポイントAFは暗くなるとローライトAFモードになり、フレームレートが落ちてゆっくりとしたAFに。(ローライトAFは事前に設定が必要)
しかし、AFエリアを大きくすると暗所でもスッとAFが動く時があります。暗さによってAFエリアを変えたりと工夫する必要があると感じました。
Z5はD750と非常によく似たセンサーが搭載されていますが、高感度耐性には進化を感じました。
上記の写真はISO12800。表面照射ですがD750より低ノイズに豊かに写っています。D750はザラザラでダイナミクスレンジももっと狭かったイメージがありましたが、Z5は表面照射を感じさせません。
暗所AFがもっとスムーズに動いたら文句なしです。今後暗所AFがアップデートで解決されたら嬉しいですね。
・AFが迷う
たまに暗所以外でもフォーカスポイントを失ってAFが迷う事がありました。
ファームアップでちょっとAFは改善できるのでは?とAFバージョンアップを期待しています。
・気がついたときに動いているモードダイヤル
Z6/Z7では上部モニターだった場所に、Z5ではモードダイヤルがあります。
(モニターの場所にモードダイヤル…共通部品も増やさないといけないのにデザイナーやエンジニアはかなり苦労したのでは…と仕事柄で勘繰ってしまいます。)
Z5のモードダイヤルにはロック機構はありません。
アクティブに動いた時など気がついたらシャッター優先モードになっていたりとストレスを感じました。
やっぱりロック機構がほしかったです。
左がZ6II、右がZ5
Z6IIのモードダイヤルは上部のボタンを押さないと回転しません。
・チルト時に変わってしまうモニターの切り替え
個人的にはバリアングルモニターよりもチルトモニターの方が好きなのですが、チルトモニター時にEVFの接眼センサーが反応してモニターが切り替わってしまいます。
α7IIIではそのような事がなかったので少しストレスでした。
ウエストビューで構える時はEVFから7cmぐらい離す必要がありました。
Z6II/Z7IIからはチルト時には接眼センサーをキャンセルしているのですが、Z5にもこの機能が欲しかったです。
ちなみに一番好きなモニターはFUJIFILM X-T100の3方向チルト機構が一番好きです。
やっぱりYouTubeの心を掴むなら自分が見える必要があると思いますし、セルフポートレートなどはモニターが見えて欲しいときがあります。
・バッテリー持ちがちょっと悪い
α7IIIと比べてバッテリー持ちが悪いと思いました。気がつけばちょっと減っててα7IIIの感覚と比べてちょっと悪いです。
バッテリーのスペックを比較すると…
α7IIIのバッテリースペック
電圧:7.2V
電力容量:16.4Wh(2,280mAh)
大きさ:約 幅38.7×高さ22.7×奥行51.7mm
質量:約83g
Zシリーズのバッテリースペック
電圧:7.0V
電力容量:16.0Wh(2,280mAh)
大きさ:約 幅38.7×高さ22.7×奥行51.7mm
質量:約80g
電池容量が少しだけNikonの方が3%ほど少ないですが、ほとんど同じスペックと考えて問題無いと思います。
CIPA規格準拠の撮影枚数を比較すると…
α7III 約610コマ(EVF)/ 約710コマ(モニター)
Z5 約390コマ(EVF)/ 約470コマ(モニター)
Z6II 約340コマ(EVF)/ 約410コマ(モニター)
撮影枚数がかなり違いますね。
α7IIIのときはバッテリーを気にした事がありませんでした。一眼レフ機並みに驚異的にバッテリー持ちが良かったです。
Zはほぼ同じバッテリーなのになぜこんなに違うのでしょうか。CFExpressだから?上部モニターがあるから?EVFの解像度が高いから?CIPA規格が悪いのか…?
Z5はSDカードの省電力性能と上部モニターが無いからか撮影枚数はZ6/Z7と比べても多く撮影でき、実撮影枚数は1000枚を越えたので悪い訳ではありません。
一応パワーセーブモードもありますが強弱の2モードぐらい選べたら嬉しいと思いました。
どの機能をセーブさせるのか選べると嬉しいです。今後パワーセーブモードのアップデートを期待しています。
未知数な点
・イメージセンサークリーニング機能の性能
α7IIIはとにかくセンサーにゴミがつきやすく、センサークリーニング機能もしょぼくてセンサーをブルブルゆっくり揺らすだけで全然ゴミが取れませんでした。
これがかなり嫌だった。
Zシリーズのイメージセンサークリーニング機能は無音で電源スイッチに連動させて起動することが可能です。無音だから超音波でしょうか?情報が見つからずわかりませんでした。
今の所はセンサーにゴミが付きにくいと感じていますが、今後使用していき評価したい点です。
作例
まとめ
Z6/Z7はハイスペック路線でしたが、Z5はエントリー機で価格を抑え、Nikonの譲れない機能が表現された完成度の高いプロダクトとなったのかと思います。
エントリーと表現していますが実際にはミドルスペック機と表現しても過言ではありません。
良い点
・SDカードダブルスロットでバックアップ
・高性能なセンサーシフト手ぶれ補正
・USB-C PD充電と給電対応
・上位モデルと同じ操作性能
・感動的に見やすいEVFファインダー
・上位機種と同じ瞳AF性能
・上位機種と同じクラスの防塵防滴性能
改善してほしい点
・表面照射センサーの暗所性能は良いけど暗所のAFが遅い
・AFが迷う
・気がついたときに動いているモードダイヤル
・チルト時に変わってしまうモニターの切り替え
・バッテリー持ちがちょっと悪い
暗所のAF以外に大きなデメリットは見当たらないカメラで、かなりのコストパフォーマンスカメラです。
旅中にいきなり本機を導入しましたが、想像以上にすんなりと体に身について使い慣れたカメラのような感覚で使用できました。
そしてそして、なによりも良かったのはニコンの色味。SONYはプリセットでなんとか色味を調節して使えていましたが、それでも何でこんな色?なんてことも。
ニコンの色味は安定感があり現像も楽になりました。
特に防塵防滴性能ですが、カメラへの信頼性の為に、カタログの数字では表現できない所にエンジニアとデザイナーのこだわりが伝わります。
ミラーレス機でこんなに信頼度と堅牢度の高いカメラはニコンだけなのではないでしょうか?
24-200mmのレンズキットが発売されました!
このレンズが本当におすすめでとりあえずこれを買っておけば間違いないと思います。
このカメラもアイカップ紛失防止カバーを作りました!
こちらもぜひご利用ください。
形状がどの機種も同じなのでフルサイズZシリーズ全てに装着可能です。(Z50は未テスト)
レビューやインタビュー記事のまとめのまとめ
他のレビューやインタビューも面白いので是非ご覧ください。
http://photo.yodobashi.com/nikon/camera/z5/
この記事が参加している募集
読んでいただけるだけでも大変嬉しいです。もしご支援を頂いた場合は新たなチャレンジへ使わせて頂きます。