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円安が引き起こす格差拡大・分断社会。円安を見る政府の視点に疑問。

今回の投稿記事について、ニャンのお師匠様(三輪晴治さん)からコメントをいただきました。ニャンひとりだけで読んではもったいない内容だったので、ここに掲載いたします。


円安の問題はなかなか複雑な問題ですね。

何でもそうですが、物事をどのくらいの高さから見るかによります。
殆どの新聞記事はその時の為政者の利害という低い高さから見ています。
真の民主主義社会における見方は、国民が豊かになるのか、貧乏になるのかという、かなり高い視点から見る必要があると思います。
その場合でも、あるマイノリティのものには負の影響がでることがあり、それをどう補正するかという政治的施策が必要となります。

日本の為替政策は大企業輸出促進のため円安政策がとられてきました。しかし、アメリカ産業はそれでは困るので、プラザ合意で一挙に円高にされました。
為替の本質は、その国の実力を表すものですが、グローバルな独占力で歪められます。
従って為替の問題は、国民の豊かさを基準にして、対策を取る必要があります。国民の豊かさが低い場合、資材の自給率を高めるとか(食糧、エネルギー)、高付加価値の商品をイノベーションで開発するとか、労働組合の力をつけるとか、国民のモノを言う力を強めるとかの動きが必要となります。

日本の政治家、日銀総裁はDSの命令に従って政策を決めています。植田日銀総裁は、学者のような顔をしていますが、下手な策士で、彼の政策はウォール街に見透かされています。今アメリカのウォール街が投機で円を安く買いたたいています。

三輪


2年前から進んでいる円安は、「貧乏になった日本」空気で日本を覆い、日本人のマインドを変えてしまいました。
高級ホテル・旅館に泊まる外国人、安いホテルにしか泊まれない日本人。
高級料理を「安い安い」と食べる外国人、食料品の値上がりに困る日本人。
海外に出稼ぎに出る日本人、出稼ぎ売春まで多くなっているらしい。

今から10年前には全く想像もできない日本の姿です。

円安にはメリットとデメリットの両面があります。

円安によるデメリットはこの2年間どんどん蓄積されています。そして今、ついに155円目前になり、さらに円安が止まる気配はなく、『もし155円突破されると160円、170円と円安が進む恐れがある』というアナリストもいます。

そうしたら、過去2年間の円安進行で痛んでいる『デメリットで損する経済主体』は、もう持たなくなるだろうことは簡単に想像できます。

しかし一方で、株高、観光業やデパートなどインバウンド関連企業、輸出関連で儲けている企業・人達も確実にいます。また、海外企業の誘致や、これまで海外に出ていた日本企業の国内回帰などによる雇用増加などのメリットもあります。

ほぼ確実なことは、こうした円安の両面、メリット・デメリットによって、日本の経済格差・資産格差がどんどん拡大する方向に向かうことです。
それは中間層がますます減少し、分断社会が進むことを意味します。

格差が大きい国々を見渡してみますと、凶悪犯罪が多く、社会は不安定で、お世辞にも「住みやすい良い国」とは言えません。

日本政府は、外観的には「高い緊張感を持って注視していく」「過度な変動望ましくない」との発言を繰り返していますが、現実は何も行動を起こしていないことから、本音では円安容認をしていると見られます。

では、政府が円安政策をとるのであれば、「円安デメリットによる影」への対処がなされて当然だと(国民としては)思うのです。

しかし、政府は円安の「メリット・光」しか見ていない。「デメリット・影」は無視し放置している。それでは、日本社会が分断社会へと間違った方向に進み、暮しにくい国になってしまいそうで不安なのです。嫌なのです。


円安がスタートした2年前に書かれた次の記事に、ニャンの不安と同じことが書かれていました。ニャンの拙い文章では思いが伝わらないので、代わりにこの記事の結論部分を引用させてもらいます。

グローバル大企業と中小企業、家計のミゾが深まる

日銀の『円安は日本経済にとってプラス』との結論は、モデル分析を用いて精査した結果であり、一定の敬意と信頼性を持って受けとめる価値はある。

だが、単純にメリットとデメリットを足し算して不等号をつけるだけでは結論できない問題も残されている。

それは『メリットで得する経済主体』と『デメリットで損する経済主体』の間に超えられない壁があるという事実だ。

円安のメリットで得をするのは、輸出や海外投資の還流に近いグローバル大企業だけで、内需主導型の中小企業や家計部門はデメリットで損する面が圧倒的に大きい。

メリットとデメリットを足し算すれば、日本経済全体(国内総生産[GDP]あるいは国民総所得[GNI])にとってプラスになるとしても、メリットで得する大企業とデメリットで損する中小企業や家計の断絶が進むのであれば、円安には『社会における優勝劣敗の徹底を促す』深刻な問題と言える面があるのではないか。

そうした断絶の解消には、雇用や税にかかる制度改革など、より大きな視点での取り組みが必要になると思われる。それは少なくとも日本銀行の所管ではなく(手に負えるものでもなく)、政府のそれと考えられる。

円安はプラスか、マイナスかという議論は、日本経済という大きな主語のもとだけでは結論を出しがたい、出してはならない問題であるということは言えるだろう。

※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です。
(文・唐鎌大輔

出典:”「円安は日本経済にとってプラス」日銀展望レポートの違和感。損する側、得する側「分断」の深刻度、唐鎌大輔 [みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト]、BUSINESS INSIDER、Mar 30, 2022, 12:50PM

分断社会、格差社会の恐ろしさ:アメリカの今

ニャンのお師匠様が書いたレポートの中で、分断されたアメリカ社会の現状に触れておられました。これを読むとアメリカは本当に凄い社会になっていて、日本は絶対にアメリカのような社会になってはいけないと、ニャンは強く思うのです。

お師匠様の許可を得て、以下に抜粋引用して紹介いたします。

アメリカ社会の分断から崩壊へ

                  三輪晴治 (2023年 10月 23日)
(以下、一部抜粋引用)

日本の経済
アメリカは, 「借金経済」を維持するために、日本から金をアメリカに流させてGDPを何とか維持している。アメリカDSは、日本に金利を下げるよう命令し、そしてアメリカの金利を高くして、その「金利差」で、日本から大量の金をアメリカに流すというカラクリを作った。黒田日銀総裁の10年間で、日本の金1,550兆円がケーマン諸島を経由して、アメリカ、ヨーロッパ、中国に流れた。これを彼らは「キャピタルフライト」と呼んだ。日銀はせっせとアメリカの国債を買っている。そのため日本では25年間GDPは伸びず、デフレの底に張り付いている。そしてこれで「円安」にして、国民を苦しめている。

いずれアメリカの国債もドルも大暴落することになる。そうなると日本のなけなしの資産が吹っ飛ぶことになる。
つまり日本の政治家や日銀総裁は、アメリカの国益のために働いている。彼らの給料は日本の国民の税金で支払われているが。

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トマ・ピケティの見方
トマ・ピケティは『21世紀の資本』に次いで最近『資本とイデオロギー』という書を出した。ピケティは前書で、「資産による利益は労働による所得よりも常に大きい」ことを世界の各国の膨大なデータをもとに結論付けた。つまり金融資本が世界の富を奪っているというのである。所得の格差・資産の格差が拡大した。

それも「1950年−1970年」と「1980年―現在」では様相が違うことを指摘した。20世紀初めから1970年代まで主要先進国で所得・資産格差が大きく縮小した。しかし1980年代以降、その動きが逆転し、近年ではいくつかの主要国においては20世紀初めの「大きな格差」に戻ってしまった。

この格差の変化は「経済的な自然現象」ではなく社会の人為的な動きによりもたらされたものであるとピケティは、近著『資本とイデオロギー』で指摘している。ピケティは、ある社会の経済、社会、政治格差を正当化し構造化するよう意図された、言説と制度的な仕組みの集合を指す「格差レジーム」という概念を導入している。つまり政治的な「イデオロギー」で変化しているのである。

20世紀初め以降、格差が縮小した理由は、大きな格差に起因する政治的・社会的緊張を背景に、第一次世界大戦、ロシア革命、大恐慌といった外生的危機が、財産権を絶対視する既存の格差レジーム(財産主義)を崩壊させ、累進課税、無償公共教育、公的年金等の新しい制度的仕組みが社会に組み込まれた。

しかしこのレジームは1980年以降に起こった、共産主義の崩壊、自由な資本移動を前提にした税制をめぐる国家間競争によって、新財産主義レジームのもとで累進税制の大幅な緩和により1980年代以降格差が拡大した。この格差拡大は、グローバリゼーションにより人為的、意図的にもたらされたものである。

つまり、「不平等、格差拡大、財産主義レジーム」は「政治的」に作られたものである。だから財産主義レジームは「政治的」に是正できるはずだとピケティは言う。『資本とイデオロギー』の帯にあるエステル・デュフロの「さあ、腕まくりしていこう」の言葉が意味を持つ。これは「腕まくりして行動に移そう」ということである。これは1971年にルイス・パウエルが「檄」を飛ばしたものに似ている。パウエルは「アメリカン・ドリーム」を壊したが、今度は我々が「アメリカン・ドリーム」を再構築するのである。ピケティの言いたいことはそこにあるようだ。

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(2)アメリカの分断とアメリカが「ハーレム化」
日本ではほとんど報道されていないが、この5年でアメリカ社会の荒廃が急速に進んでいる。DSのジョージ・ソロスや中国共産党工作員が資金を出して作ったBLM(Black Lives Matter),LGBT、アンティファ、Qアノン運動というテログループがアメリカのフィラデルフィア、ニューヨーク、シカゴ、カリフォルニア、オレゴンなどで暴動を起こし、人を殺し、街を破壊している。

アメリカ国内のこうしたテロ事件は2013年には1981件であったが、2021年は9049件に跳ね上がっている。テロ集団を起こすには資金がいる。誰かがこの金を出しているのである。今のところ資金を出したのはジョージ・ソロスと中国共産党であると言われている。

シリコンバレーに住む筆者の会社の共同創業者である男の長男がフィラデルフィアの大学に行っていたが、2022年12月、フィラデルフィアのダウンタウンで暴動に巻き込まれて、射殺された。犯人はまだわからない。警察は犯人を探そうとはしないようである。

8年前からアメリカ経済が衰退してきたので、「アメリカは世界の警察の座を降りた」とオバマ大統領が世界に向けて公言した。アメリカの主要都市は予算がないという理由で、警察官を減らされてきており、色々のテロ行為を取り締まるものがいない。無警察状態になっている。

DSの一味であるジョージ・ソロスの金をもらった警察は、ソロスに言われ、警察の本当の仕事をしなくなった。ソロスはアメリカ社会を壊そうとしている。ジョージ・ソロスは「オープンソサイティ」と言う掛け声で、国境を取り払い、麻薬をアメリカに入れて、アメリカ社会を分裂させている。ソロスは中東、アラブ、アフリカなどの国にも「カーラー革命」を起こしてきた。つまりソロスDSは「民主的な国にしましょう」と言って、多くの国に介入し、実際にはクーデタを起こし、これまでの政権を倒し、DSに言いなりになる傀儡政権を作る。

バイデン政権は国家予算がないという理由で、警察組織をどんどん縮小している。犯罪や万引き強盗に対して対応する警察官がいないのである。そのために、バイデン政権は最近、「950ドル以下の万引き者には罪を問わない」という法制度を制定した。これでアメリカの民衆は「少額の万引きはしても良いのだ」と思うようになっている。このため、小売業のウオールマート、ターゲット、トイザラスなどは万引きされる金額が膨大になり、商売にならないので店を閉じるものが多くなっている。その店が閉じる時に多く暴徒が押し寄せ、それが暴徒のアジトになるという悪循環を起こしている。今やアメリカでは組織化された集団窃盗、集団強盗団が横行し、アップル・ストアーや高級宝石店などが略奪されている。また個人の所有する高級自動車が略奪されている。アメリカではこれを「シュリンク犯罪」と呼んでいる。こうした万引き、窃盗で17兆円以上の被害が出ているという。

こうしたアメリカ社会の崩壊の中で、街を守るために「市民が武装した民兵」が増えている。民間企業はそうした民兵を雇ってその事業活動を防衛している。今約30万人以上の民兵がいるが、民兵の武装兵器は自分の金で調達している。彼らは連邦政府を信じていない。

1億人以上のアメリカ人はアメリカのホワイトハウス、司法省を信じていない。アメリカの地方政府は「貧しい人は仕方なく泥棒をしているのだ」と言って、泥棒を放置している。警察も、警察官が少ないという理由で、取り締まらない。こうしたアメリカ社会の荒廃も、DSは司法省とメディア(テレビ業界、Facebook, Google)を乗っ取り、武器化して、アメリカ社会の崩壊を放置しているからである。アメリカの家族制度も崩壊した。

ハンガリーのオルバン首相は「アメリカ社会の崩壊に対して、ドナルド・トランプをコールバックしなければ、アメリカはまともな国になれない」と言っている。

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社会で起きていることをきちんと理解するために、政治経済や投資、国際金融のことをもっと若い頃に勉強しておけばよかったと後悔しています。でも、若い頃は仕事が忙しくて勉強する時間を取れなかったの。