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竹宮惠子 (エデン2185)

(昭和60年発行)

<表紙折り返し部分の説明より>
目的地は”エデン2185”。
新しい星を求め、100年もの長い旅に出発した宇宙船は、さまざまな人間模様をくり広げる”世界”を乗せて今日も飛び続ける…。
宇宙船の乗務員シド・ヨーハンを通して、人間の心を繊細かつ克明に描いた、SFヒューマン・ドラマ。

新しい星を求めて、何世代も後に到着する予定・・・という設定の話は多い。
いつの日か人類は本当にそういう風に新しい星を求めて旅立つ時がくるかもしれない。
・・・そういう思いがいろんな人にこのテーマでお話を作らせる原動力になってるんだと思う。

この作品では5000人が巨大な宇宙船に乗って新しい星”エデン2185”を目指している。
5000人というと、小さな町ぐらいのサイズかな?
もし、20歳で乗り込んだとしたら本人は新天地に到着する前にたぶん死んでいる。
それなのに乗り込むのはやっぱり勇気がいるよね。
そこで、いろんな人間のいろんな葛藤が生まれてくるのだ。

しかし・・・考えてみると、実際私の行動範囲なんてせいぜい半径20kmぐらい。
たまに旅行に出掛けることはあるけれど普段はそのぐらいで十分だ。
付き合う人間の数だってほんのわずかだし・・・
5000人の巨大宇宙船で生活しているのと、そう変わりはないのかもしれないね。

やがて、この宇宙船の中で、パイロット(フライング・マン)と一般市民との間に境界線(国境)が出来る。
そうなんだよね、人間っていう生き物は主義主張が違ってくると何故か<境界線>を作ってしまう。
<境界線>は国境であったり、差別心であったり形は違うけれどもどれも自分と違う者を避ける心だ。

シドは言う。
・・・・・・空を見上げて星を見たことがあるかね?
なければ
いま見るがいい
ふるような星も・・・・・・
見ようと思って見なければ
その半分の光もわれわれの目はとらえない
人間とはそういう主観の動物なのだ
だから・・・
見ようと思いさえすれば
ふる星のごとく可能性が・・・・・・

心に残るいい言葉です。


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