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よく考えるためにもお金は大事だし、お金のためにもよく考える必要があるという話

理念を突き通しすぎて生存する術がなくなりそう?

2021年4月10日の読売新聞オンライン記事「共通テスト”このままでは実施困難”入試センター赤字13億」という記事にて「大学入学共通テストを実施する独立行政法人・大学入試センターが今年度以降赤字に陥り、2024年度には13億円の赤字が出るとの試算されている」と報じられました。
この記事によると、大学入試センターはその収入源のおよそ9割が検定料収入であり、少子化による受験者数減少により収入減を根拠としています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4a56c85a874bef899b6e25e555769a08184e4140
大学入試センターは当面の対策として、各大学に受験生の情報提供料を引き上げる方針を示しているようです。

この記事の元になってる資料はおそらくこちらです。
運営審議会将来構想ワーキングチーム議論のまとめ

累積赤字かと思ったら、毎年十数億円規模の赤字とハッキリ書いてありますね…。

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先を見据えること

受験生が減少傾向にあるのは、各年度の出生数から見ても明らかです。
このまま検定料依存の収入体系を維持した場合、収入源が縮小するのは当然の話です。
だとしたら、なぜ今まで検定料の値上げ以外の収入源を増やし、その比率の見直しを行ってこなかったのか?という疑問が浮かびます。
雲行きが怪しくなって見直しが必要と感じ、調査した結果このような状況が明るみに出された。と思われても仕方がないという記事に見えます。

ふと、昨年ネット記事にあったアニメコンテンツを軸にしたゲーム・キャラクタービジネスを手がけるブシロードの木谷会長のインタビューの記憶がよぎりました。
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/watch/00013/01187/
この記事で「…ところが、20代は層が薄いのです。20代と40代の人口を比べると40代が1.4倍です。しかも40代の約4分の1は独身で、20代の2倍以上の金額をエンタメに使っていると言われます。トータルで考えると、20代と40代のマーケットサイズは1対4ということになる。」ということが書かれていました。

大学入試を取り扱う独立行政法人にオカネの話というのも「なんだかなぁ…」だとは思います。ただし、健全な事業を継続していくためにはやはりお金が必要で、そのお金を出せるところから出してもらう様な商品(?)を企画(??)し、製造(???)して、提供する必要があると思うのです。お金を頂くというのは、組織の人間の生活に関わることはもちろんですが、お金が関わるからこそ生じる責任というのもあると思います。
仕事でもプライベートでも無料なり低価格な仕事とも言えない頼まれごとはあると思います。そういったものにはやはりそれなりの心持ちになることは完全に否定できないものがあります。
つまり、健全な収益体系を考えて、それを実施することで健全な運営を回していくこと…それが結果的に大学や受験生にとっても有益なものとなっていくのだと思います。
というか、そのために「考える力」を重視していく試験に変えていくという話ではなかったのか?と。
もしかしたら、この成果が数年後に出てくるのかもしれません。
ただ…だとしたら、前述したワーキングチームの調査報告は遅すぎる感があります。
「このままでは数年後危ないです」という調査結果報告で示された危機のタイミングに現時点の改革の効果が現れるからです。その時に「効果がありませんでした」では済まされない状況になっているような気がするのは私だけではないはずです。

「真に考えるべきは誰?」と皮肉られても仕方がない話

正直、大学入試改革なんてしなくても、受験生は検定料を支払うのは明白です。ただ、その受験生は年々減少傾向にあります。
事業継続のためにはお金が必要だ…そこで真っ先に思いつくのは受験料の値上げです。ただ、受験生が減った分値上げを続けるにも限界があります(それこそ「お前らが問題に関してじっくり考えろ」と皮肉も言いたくなる話です)。

ここで令和元年度の決算報告書を眺めてみます。
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00040082.pdf&n=10%E3%80%80令和元年度決算報告書.pdf
検定料収入に比較して他の収入源があまりにも低く、いかに受験生に依存しているかがわかります。
一方で成績通知提供料収入が予算の段階で桁ひとつ違うのは気になります。
提供件数が増加して計画を上回ったことは良い点と考えられますが、収入額だけでなく件数も気になるところですね。以前は私立大学でもセンター試験を利用した受験制度もあったように感じますが、最近はその数も減少しているとも聞きます。

だとすれば、大学やその他教育機関(のニーズ)に対して、より高品質・高精度な情報を提供することで、より高い情報提供料収入や受託事業を目指す…のが(表向きはそうではないともいいますが)大学入試改革の狙いではないのか?とは感じました。端的に言えば情報提供料引き上げの言い訳です。
あるいは、ニーズにそった試験を実施することで、より成績通知提供料収入の比率を上げることでしょうか?
言い方は良くないですが、全国規模で受験生のスクリーニングする意味での活用です。そもそも国立大学ではそうやってきているわけで、国公立大学でやっていて、私立ができないというのは、結局質が低すぎて二次試験で苦慮しているわけです。
つまり、おそらく国公立大学でも普通に不満点となっている可能性があるわけです。
まぁ、ニーズに沿ったところで、今現在、大学にそんな金があるのか知りませんが…。この先は大学って…の話になりそうなのでこれ以上は今回は言及しないことにします。

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時代に合わせてビジョンをブラさず戦略を変えていく

一般企業であれば、このような事態に陥った時には「事業戦略の転換」なんていうスローガンを掲げて方針転換を推進することはよく聞く話です。
ただ、転換する場合でも、変えていくものは何か?変えたとことによって影響を受けるものは何か?良否の判定をする基準は何か?その中でも絶対に変えないものは何か?を整理して考えていく必要があるのではないかと考えます。

結局のところ、根本を変える場合でも変えない場合でも景気や情勢といった現状を見て振り返りとこれからを考えていく必要があると思います。

それは組織としても個人としても…
そんなことを考えてしまうニュース記事でした。


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