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車社会の沖縄で暮らす。移住後は生活に合った交通手段を確保すればいい

緩やかな週末をくぐり抜けて、5月18日(月)から営業の再開を知らせる飲食店のSNS投稿が相次いでいる。まだまだ余談を許さない現状に、5月一杯は様子を見る店も少なくなく、動くにしろ休むにしろ、その決断が経営者の肩にズシッとのしかかっているに違いない。

何をどうしようとも、正解のない先の見えないレールの上を歩いていくのは、石橋を叩いて渡るように慎重な判断で、時に大胆な決断を迫られて、茨の道であったり、安心な道を確保して、手探り状態のまま少しずつ未来への扉が開かれていく。

いま自分は生きている。その事実を強く抱きしめながら、険しくも優しい時間に包まれて明日も生きていくのだろう。


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沖縄出身のウチナンチューたちと沖縄移住したナイチャーたちが、2019年に「沖縄で暮らすこと」を題材に記事を執筆しました。

ビフォーコロナの沖縄で暮らす記憶。改めて「暮らしのあり方」を考え直すヒントになったら幸いです。楽しく読める暮らしのエッセイに新たに編集を加えて、noteでお届けします。

Produced by OKINAWA GRIT


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沖縄移住を考え始めた頃、最初に決めたのが現地での働き口でした。

仕事さえ見つかれば、どうにでもなるとたかを括り、生活費を確保できる安心感から心の余裕が生まれると思ったのです。その次に、自分好みの生活環境を手に入れるために、居住地を通称「那覇新都心」に決めました。


私の場合、沖縄移住に向けた物件探しが楽だったのは、事前にインターネットで居住地を絞ってネットで賃貸物件を比較・検討したから。お目当ての物件をチョイスして、不動産屋へ連絡を入れました。

しかし、物件を絞り込む作業には時間を要し、、当時の反省点を踏まえると「できるだけ条件を絞ること」と「譲れない条件に優先順位をつけること」だと感じています。

「仕事と住居」の確保はとても重要です。

但し、先に仕事を確保するのか、先に住居を探すのかは人それぞれ。仕事と住居のどちらに比重を置くのか、自宅からオフィスまでの距離や移動時間、または移動手段が決め手になることもあるのです。


<WRITER/みやねえ>


車社会にならざるを得ない沖縄の「公共交通機関」事情

そもそも沖縄の公共交通機関は、バスか沖縄都市モノレールだけ。しかも沖縄の路線バスは、乗り替えるバス停や入り組んだルートなど、初めて沖縄に住む移住者にとってはわかりづらいのです。

那覇空港から浦添市・てだこ浦西駅まで運行する「沖縄都市モノレール」なら迷うことなし。しかし、那覇市内と浦添市内の一部しか走行しておらず、住む地域によっては活用頻度が少なくなります。


すると必然的に、車やバイクで移動するほうが便利だよね〜!と車社会の暮らしを強いられ、普通自動車免許を持たない人は、移動手段の不便さを感じることでしょう。そこで立地的にも便利なのが、沖縄県で最も人口が密集する那覇市になるのです。

路線バスとモノレールを上手に利用すれば、暮らしに不便は感じません。少しの距離なら頻繁に走行しているタクシーを利用すれば、問題なし。


では、沖縄本島の北部や南部に住むとなると、どうなるのでしょうか。沖縄の暮らしに密接した車社会のイメージを膨らませてもらうため、実体験を交えながら紹介していきます。


沖縄の公共交通機関は、「バス」と「沖縄都市モノレール」

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戦前まで沖縄県営の軽便鉄道が運行していた沖縄。

北は現在の嘉手納町から南は現在の糸満市まで、人々の足となって軽便鉄道の機関車が行き交っていました。しかし、第二次世界大戦で破壊され、その後は復旧することなく、現在に至ります。

やがて2003年8月10日、念願の沖縄都市モノレールが開通しました。那覇空港から首里駅までの15駅を運行し、2019年10月1日に浦添市まで区間延長し、てだこ浦西駅を含めた4駅が新しく開通しました。

朝の通勤や帰宅ラッシュの凄まじい車の渋滞から考えると、モノレールの区間延長は、浦添市民にとっては喜ばしい出来事でしょう。


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「路線バス」は、沖縄本島全域を網羅する公共交通機関です。

車を所持しない人々や18歳未満の学生さんにとっては、大活躍の存在!北部まで移動するなら、リムジンバスや高速バスも運行されています。


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2018年10月1日、沖縄の路線バスのハブとなる那覇バスターミナルが生まれ変わりました。

沖縄都市モノレール「旭橋駅」から直結する、複合商業施設のカフーナ旭橋A街区の1階部分にあり、建物2〜3階に那覇OPA(オーパ)、3〜6階に沖縄県立図書館がリニューアルオープン。ホットな賑わいを見せる注目の地域です。


車社会の沖縄!主流の移動手段は「車」と「バイク」

戦後、電車が消滅した沖縄県では、必然的に車社会に成らざるを得ず、一家に車1台ではなく、1人1台の車を所有しているとも言われ、約140万人の県民総人口に対して、沖縄県の公式サイトによると、117万台超え(貨物車、特殊車、小型二輪車等含む/2020年1月現在)の自動車が保有されているとか。

そこにハワイの観光客数を凌ぐ、1,000万人超えの観光客が訪れてレンタカーを借りるとくれば、朝の通勤や帰宅ラッシュ時に車が大渋滞するのも理解できると思います。


沖縄で人気の自動車は「軽自動車」だった

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沖縄では、軽自動車が人気。知人らに聞いた話によると、自動車税などの維持費が安く、通勤用に1人で運転するなら軽自動車で十分。一歩大通りから外れた細い路地裏や狭い駐車場では小回りが効くと安心だからと、いくつか理由があるようです。

潮風に晒されて、サビるのが早いのも沖縄の特徴です。雨風を凌ぎ、強い日差しからも守ってくれる屋根付き駐車場を本気でお勧めしたく、屋根の有無で車の傷み具合が大幅に変わり、住居を選ぶ際のひとつの目安にしてください。


小回りが効く「原動機付自転車(原付きバイク)」の人気も高い

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原付バイクと呼ばれる、125cc以下の原動機付自転車を運転する人も多く、小回りが効くバイクなら、通勤や帰宅ラッシュの車渋滞とは無縁です。

しかし、バイクは要注意!夏場なら強い日差しに晒され、たまにスコールが降り注ぎます。長袖・長ズボンの雨合羽を準備しておくのはもちろん、デジタル機器のスコール対策も必須。なんたってスコールは急に降り出しますから、バイクの運転手もビックリです。

急に豪雨や雷の悪天候に変化する日もありますから、渋滞をスイスイと抜けていける便利さとは裏腹にデメリットもあるのが、バイクなのです。


そう考えてみると、雨が降ろうが、渋滞しようが、エアコンでキンキンに冷えた個室空間で過ごせる自動車は快適そのもの。豪雨や強風時でも洋服が塗れることなく、車中で自由に過ごせます。さすがに凄まじいほどの悪天候時は、バイクを諦めて車で出勤する、なんて話も聞いたことがあります。

だから悪天候時は、さらなる渋滞が巻き起こるわけです。

また時期でいえば、夏のオンシーズンや3月以降の春休みシーズン、また年末が近づく12月は、昼間でも国道58号線が渋滞します。その理由は、観光客のレンタカーが増加して、沖縄県内全域で車の台数が増えるからです。

しかし、高速道路の沖縄自動車道が渋滞することは不思議となく、GWや年末年始の連休絡みで「終点の許田ICまで1km渋滞」といった程度です。


雨天時、車の運転は要注意!なのであった

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雨の日は要注意です。沖縄の道路は滑りやすいと言われていて、赤信号で停車してブレーキをかけた瞬間、横滑りして転びそうなバイクを見かけます。横断歩道や路肩の白線が原因です。

雨天時にこの白線上でブレーキをかけると非常に危ない。タイヤが、ツルッ!と滑って、酷い時には横転します。赤信号の停車中なら大惨事には至りませんが、注意するに越したことはないでしょう。


自動車がいいのか。果たしてバイクがいいのか。

それとも那覇市内に住んでモノレールを駆使してみるか。特に18歳未満の子供がいるご家族や、普通自動車免許を取得してない家族がいる場合、居住地の選択は重要ですよね。家やオフィスからモノレールの駅やバス停が近いかなど、移動手段に関するチェックも忘れずに。


通勤と帰宅ラッシュ!渋滞緩和のために設けられた「バスレーン」

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平日の朝夕ラッシュ時、主要道路では凄まじい車の渋滞が起こる沖縄。

この渋滞に公共交通機関のバスまで巻き込まれたら大変!とばかりに設けられたのが「バスレーン規制」です。

ひとつは、2車線以上の道路で歩道側の左車線を「バス専用通行帯」にするパターン。そして、バス、タクシー、バイク、許可車以外の一般車が通行できない「バス専用道路」と2種類あります。


国道58号線では、朝7時30分〜9時の間、宜野湾市の伊佐交差点から那覇の旭橋交差点向けに南下するルートで、左側1車線が「バス専用通行帯」となり、バスやタクシー、バイク以外は走行できません。この渋滞する時間帯を狙って警察が検問を実施している日もあり、間違えて走行してしまうと、交通違反で罰金の支払いや減点を余儀なくされます。

バスレーン規制が敷かれるのは特定の幹線道路だけ。くれぐれも朝夕の渋滞時に「この車線空いてるな〜!」とバスレーン規制の車線を走行しないよう気をつけてください。


もしかすると沖縄だけ!?車社会の特殊な沖縄事情

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車社会の沖縄だからこそ、沖縄特有の車事情があったりします。

まずは、居酒屋に広い駐車場があること。お酒を飲みに行く場所に車の駐車場?と「これが沖縄マジックか?」と当時はネタ的な驚きがありました。しかし、タクシーで往復するよりも、片道だけ運転代行を利用して帰宅するほうが実は安上がり。会計時にお店に頼むと、運転代行を呼んでくれます。


暴風雨だとやたらと渋滞するのが、沖縄です。

以前、台風もどきの暴風雨に合ったとき、通常15分で車移動できる那覇空港までの道のりが大渋滞して60分以上もかかり、危うく飛行機に乗り遅れるところでした。しかし、高速道路は渋滞しないという不思議。あまり遠出をしないのか、はたまた一般道を走行して遠出しているのか、沖縄県外のように大型連休の渋滞に遭遇したことがありません。


高速道路は渋滞せず。年に数回、GSが行列する日

沖縄自動車道を端から端まで走行しても、45分あれば通過できるため、通常だと中城P.Aや伊芸S.Aに寄る必要がなく、パーキングやサービスエリアに立ち寄る予定を無理矢理に入れてあえて立ち寄る、なんてことをします。

快晴ならば、伊芸S.A上りから見えるうるま市の離島と海の景色を鑑賞して、爽快な景色とご対面してください。


台風が通過した翌日は、ガソリンスタンドが大混雑。洗車をしにいく車が大行列を作り、これは毎回恒例の光景です。県民がガソリンスタンドに一斉に向かうのは、車にこびりついた潮を洗い流すため。これを放っておくとサビや故障の原因に成りかねず、早く洗車しないと車が傷むからです。


沖縄の暮らしには自動車が必須なのか、運転免許を所持しない暮らしは可能なのか

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結論からいえば、考えて居住地を選びさえすれば、車のない暮らしは可能です。遠出をするタイミングだけレンタカーを借りたり、バスでの移動を試みたり。友人の車で出かけて、運転手をお願いする代わりにランチを奢るとか、生き抜ける方法はいくつかあります。

但し、車を所有すると何かと移動が楽になるのは事実。

何と言っても行動範囲が広がります。週末の小旅行やキャンプ、重い荷物運びや複数人で移動するときにも重宝する自動車。最初は必要なときにだけレンタカーを借りて、引っ越しや生活環境が落ち着いてから車の購入を検討してみても遅くはないでしょう。中古車の購入を検討する手もあります。


自動車、バイク、モノレール、バス、タクシー、自転車、徒歩…と移動手段はいくつもあります。居住地とオフィスの場所、生活環境に合わせて無理のない移動方法で快適な沖縄ライフを楽しんでください。



施設名に、公式サイトや私が執筆した記事、または観光系メディアの記事をリンクしました。気になるスポットがあればご覧ください。

2019年7月執筆
文・撮影:みやねえ







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