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プロダクト戦略立案に使えるフレームワーク3つ│One story a day Vol.12


この記事の目的:

前回までの記事でプロダクトのメトリクスについての記事を読んでいたところいくつかのフレームワークが紹介されていたので、プロダクトマネジメントに関する色々なフレームワークについて調べてみようと思います。

今回は、個人的に一番好きな領域である戦略関連のフレームワークについて調べてみました。

★「One story a day 」マガジンの記事は、私の英語力向上を第一の目的にしています。続けることに重きをおいているので、文章の雑さなど何卒ご容赦ください🙇

リテンション計測が向いてないサービス向け:ICDE セオリー(5/25)

使用頻度が高くないプロダクトで、リテンションを重視するのは理にかなってない

「すべてのプロダクトには、適切な使用頻度がある」という言葉から始まる記事、冒頭からすごく興味深かったです。
というのも自分自身、マッチング系のプロダクトに関わる事が多くて、その中で「リテンション」が重要視されることに疑問を感じていたんです。ICDEとは

  • I=使用頻度の低さの度合い

  • C = ユーザーエクスペリエンスをコントロールしている度合い

  • E = 取引前、取引後、取引中のエンゲージメントの度合い

  • D = 商品の独自性の高さ

の4つの頭文字です。「使用頻度」もプロダクトの重要な視点ではあるものの、UXをどれだけコントロールできているか、エンゲージメント、商品の独自性の高さといった指標も使用頻度と同列レベルで重要だよ、というのがこのフレームワークの肝です。

I:使用頻度(どの程度"使われないか")

ICDEのIは「使われなさ」の頻度です。図のように、エクスペディアは旅行するたびに使うので比較的高頻度、Zillowは家を買う時にしか使わないので超低頻度のプロダクトです。(日本語的にわかりにくいですがInfrequent=低頻度なので、Infrequentがlowだと高頻度、highだとさらに低頻度になります。)
プロダクトとして、"使われなさ"は低いほうがやはり良いのですが、どうしても頻度を上げづらいものもあるので以下の他の指標も重要になってきます。

C:UXをコントロールできている度合い

Cはユーザー体験をどれくらいプロダクト内でコントロールできているかを表します。ideedは仕事を探すその瞬間しかコントロール出来ていないのに対し、エアビーは探す→貸主とコンタクト→支払い→・・・と少し深くコントロールできています。

個人的に重要だなとおもったのが、IとCは別物ということです。Iは一生の中での使用頻度なのに対して、Cは一度の体験の中でどこまでカバーしているか?という視点になるかと思います。この2つは明確に区別してプロダクト戦略を考えたいですね。

E:エンゲージメントの度合い

エンゲージメントの度合いは、さらに3つの観点に別れます。

体験の複雑さ

体験の複雑さは、低いほうが良いとされています。シンプルなプロダクトのほうがユーザーが使ってくれやすいという感じですね。

使用時(タッチ時)の関わりの深さ
将来的なりテンションをどのくらい予測できるか

D:プロダクトの独自性の高さ

最後のDは、プロダクトがどれだけ独自性が高いかの指標です。独自性が高いユニークなプロダクトであればあるほど、そのプロダクトが選ばれる必然性は上がりますね。

以上のように、プロダクトの目標値を定める観点はリテンション以外にも複数の要素があります。そしてICEDセオリーでは、「利用頻度が低いプロダクトでは、市場への浸透度が重要な指標になる」としていました。
つまり”市場への浸透度”を要素分解したものが、ICDEの各要素だということです。
この分け方は個人的には結構納得感がありました。リテンション以外の観点も同等に重視することで、利用頻度が低いプロダクトでも適切なプロダクトマネジメントができそうです。

その施策に取り組む理由を端的に表現する:DIBB(5/26)


同じテンプレートを用いることで、チームに共通の文脈を作り出す

DIBBフレームワークの概要

DIBBフレームワークは以下の4つの要素をフィードバックループで回していくというやり方です。

  • D:データ

  • I:インサイト

  • B:ビリーフ(信念。仮説の意味で使われていそうです。)

  • B:ベット(リソースを何に賭けるか、どのような行動を取るか)

要するにデータを取って、特徴を見つけて、そこから仮説を得て、何をするか決めるというループなので、やってる事自体はそんなに新しくないのかな?と思いました。

組織規模で文脈が統一されてるのがすごそう

ただ、このDIBBループは「Spotify Rhythm」と呼ばれる組織規模のプロダクト改善サイクルの一部として使われている点が重要なポイントだと思います。

▼Spotify Rhythmの資料はこちら(ほぼ絵なので見やすいと思います)
https://blog.crisp.se/wp-content/uploads/2016/06/Spotify-Rhythm-Agila-Sverige.pdf

Spotify Rhythm

小さくて見にくいですが、真ん中の黄色の丸🟡が会社規模のプロダクトビジョンのようなもので、その周辺にNorth starや中期目標、そのさらに周辺に組織がBetしている取り組み、機能やマーケティング単位の取り組みが配置されています。

「何をやるか」が入れ子状に整理されている

そしてそれぞれの階層でDIBBを実施していて、いわゆる「戦略は上位概念の戦術」状態になっています。何に取り組んでいくのかを組織レベルで入れ子状に管理していますね。さらにその際に「どの施策から取り組むのか」の優先度を判断する根拠も、組織全体でDIBBで統一されているようです。

個人的には「Bet(賭け)」という表現がフレームワークに取り入れられているのが特徴的だなと思いました。
データから特徴を見出してはいるけれど、解釈が含まれている以上"賭け"であるという表現なのかなと。それに”これは賭けだ”という認識を持っていたら、失敗しても次に行こうとか、覚悟を持って成功させようみたいなニュアンスも持てそうだなぁなんて思いました。


プロダクトビジョンボード(5/27)

新規のプロダクトや機能向けのシンプルな企画書

Product vision board

上の図がプロダクトビジョンボードです。
”Vision”を軸に、それを実現するための4つの要素について書くエリアがあるシンプルな図表になっています。
4つの要素は以下のとおりです。

  • Target group

    • マーケット。プロダクトを使う人。

    • 特に新しいプロダクトを開発する際は、明確なターゲットグループを選ぶべき。

  • Needs

    • プロダクトのバリュープロポジションを表現する。

    • なぜ人々がそのプロダクトにお金を払いたがるのかを明確にする。

  • Product

    • 3~5項目でプロダクトの特徴を端的に表す。

    • プロダクトのユニークな特徴を明らかにしておくべき。

  • Business Goals

    • なぜこのプロダクトに投資する価値があるのかを説明する。

    • 売上の向上、新規市場への参入など、ビジネス上のメリットを記す。

フレームワーク自体はシンプルなものではありますが、新しい企画を考える際に押さえておきたい要素がもれなく含まれているなと感じました。ゼロからプロダクトを起案する場面に限らず、施策の検討でも十部に使えそうです。

今回の記事はここまでです。読んでいただきありがとうございました!
明日以降も引き続き、戦略に関するフレームワークを集めて行こうと思います。

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