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ココロの海

ココロの海
木下みや 作

心の中には海がある。
私の中だけではない、あらゆる人の中にある。
私の心の中の海はあたたかくて静かで少し小さく、あまり人が来ないような地味な海辺だ。
疲れた時はそこによく訪れては小さな椅子に座り本を読む。
本はたぶん、あのお気に入りの本だ。
カナリヤとテレビと海と少年達がでてくる、何度も読んだのによくわからない。よくわからないからこそ何度も読んでしまうあの本だ。
私は海辺でその本を何度も読んではストーリーについて考えていた。
本の中の主人公もまた海辺にいた。

本の少年のココロの海はどんなだろう。
そこではどんな時間が流れ、どんな人が通りがかるんだろう。
いつも荒れた海の持ち主か、見たこともないほど綺麗な海を持っているのかもしれない。
 
そうして私はココロの中の海にて心の中の海について考えていた。

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