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子どもの分まで生きるとは?子どもを亡くした親ができることー。

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最新号(2019年10月14日号)の社説に、いのちをバトンタッチする会の鈴木中人さんのことが載っています。小児がんで娘さんを亡くされ、命の大切さを伝えるため全国各地で講演会活動をされています。今回は2012年に掲載された鈴木さんについて書かれたお話をご紹介します。ハンカチをご用意の上、お読みください。

子どもの分まで生きるとは?

 鈴木中人さんの著書『6歳のお嫁さん』(実業之日本社)はなかなか読み進まない、泣けて泣けて…。

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 平成4年の夏、人生の「まさか」が起こった。3歳だった長女・景子ちゃんに小児がんが見つかったのだ。この本は、そこから始まる、壮絶で克明な家族愛の記録だ。「よく鈴木さんは書けたなぁ」と思った。

 先週、名古屋で開催された「第8回いのちの授業」のイベントで、鈴木さんの生の話を聴いた。なるほど、そうだったのか。書き上がるまで1年半もかかっていた

 景子ちゃんの闘病の日々を綴った「景子ちゃんノート」は、約3年間の闘病中に9冊にも及んだ。起床時間から、食事の献立、看護師さんや主治医が言った言葉、景子ちゃんの様子、心配事などを書いた。

 景子ちゃんが天国に行ったのは小学校1年生の夏だった。その年、3歳の弟・康平君と一緒に七五三をお祝いするはずだった。

 お宮参りで七五三の飴を買ってもらった康平君は、「お姉ちゃんの飴も…」とねだって買ってもらった。家で景子ちゃんが着るはずだった着物を出し、遺影の前で七五三を祝った。

 その頃、鈴木さんは小児がんの支援活動に加わった。「誰かを支援したいというより、罪滅ぼしです」と鈴木さん。たとえ病気が原因でも、親というのは「病気を見つけられなかった」「救えなかった」という自責の念に苦しむ。

 ボランティアの集いに出掛けると、小児がんのお子さんを持つ親御さんが、かつての自分と同じ悩みや苦しみを抱えていた。「病気のことを子どもにどう伝えたらいいか」「どんな治療方法があるのか」「その治療法を主治医にどう伝えたらいいのか」等々。

 「私の体験が役に立つかもしれない」と鈴木さんは思った。「景子ちゃんの生きた証しを残そう」と決意した。

 原稿を書くために、あの「景子ちゃんノート」を開いた。一行読むたびに、闘病中の情景が鮮明に蘇ってきた。景子ちゃんの声も、匂いも、肌の温もりも、笑顔も、涙も…。心臓が高鳴り、涙が止まらない。そんな時はノートを閉じて10日間ほどノートから離れる。そしてまた開いて書く。そんな日々を繰り返した。書き終えるまでに1年半という時間が、流れた。

 自費出版で本にした時、「これで一つ、区切りがついた」と鈴木さんは思った。

 ところが、景子ちゃんが逝って5年経った頃、たまたま読んだ本の中の言葉が目に飛び込んできた。「子どもの供養とは、親が生まれ変わること。子どもの分まで生きること

 「俺は何も変わっていない」「生まれ変わるってどういうことだ」「子どもの分まで生きるって何をすればいいんだ」、鈴木さんは新たな人生の道を探し始めた

 平成17年、会社を辞めた。当てはなかった。ただ何かに突き動かされていた。そして、「いのちをバトンタッチする会」を作った。最初の頃は、予定なしの日々が続いたが、少しずつ支援者が増え、学校や企業研修に呼ばれるようになった。

 今年の2月、ある大学で講演した。数日後、学生の感想文が届いた。その中の一枚に息が止まった。

 「もしかして景子ちゃんのお父さんですか? 私は景子ちゃんと一緒に入院していた○○です。私は1、2歳だったので、よく覚えていませんが、景子ちゃんと遊んだり、喧嘩をしたことは覚えています。……」

 20年近く経っていた。この奇跡の出逢いに涙が止まらなかった。

 先週の「いのちの授業」のイベントに、この母子が参加されていた。終了後の懇親会でお母さんがあいさつした。「うちの子は治りました。景子ちゃんは治りませんでした。申し訳なくて、申し訳なくて…」

 娘さんは言った。「来春、私は新聞記者になります。いのちの大切さ、家族の大切さについて、私にしか書けない記事を書きたいです。頑張ります」

 バトンタッチされたそのいのちは、見事なまでに輝いていた。

(みやざき中央新聞 魂の編集長 水谷もりひと 2012/09/10号社説より)

鈴木中人さん著書はこちらから

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託されたいのちのバトンを精一杯生きねば…!
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