大きな夢のひとかけらを大切に~日本講演新聞

宇宙飛行士になるための試験の一つに、絵のない真っ白なジグソーパズルを完成させるというものがあるそうだ。

ジグソーパズルは、前もって完成させた絵が分かっているので、「やってみよう」という気にもなるし、だんだん完成に近づいていくと喜びも湧いてくる。

だが、すべて真っ白なピースだと形だけが頼りだ。
しかも、完成図がないのでやる気も起きないし、何を作っているのかも分からないので喜びも湧かないだろう。

で、「これ、何の為にやるんですか?」と質問した人はまず宇宙飛行士の選抜から外れる。

そして、「はい、やめてください」という合図の後、「ここまでしかできませんでしたけど、合格ですか? 不合格ですか?」と質問する人も落とされる。

どういう人が宇宙飛行士に適しているかというと、時間切れで終わった後、「これ、持って帰っていいですか? 中途半端で終わると気持ちが悪いので、持って帰って完成させたいんです」という人だそうだ。

宇宙船の中は狭い。
しかも、4、5人の仲間とずっと一緒に過ごす。

だから、協調性が求められる。

言われたことを素直に受け止め、あまり余計なことを考えず、淡々と、忍耐強く仕事に取り組める人でないといけないというわけである。

しかし、今日ここで言いたいのは宇宙飛行士の適性の話ではない。
ジグソーパズルの奥深い話である。

作家の喜多川泰さんは、著書『賢者の書』の中でこんなたとえ話をしている。

ある人がジグソーパズルの1個のピースを手にした。
それはシマウマの頭の部分の絵柄だった。

次に手にしたピースはシマウマの首の絵柄だった。
「これはここだ!」、喜んでそれを頭のピースの横にはめ込む。

ぴったり合うと嬉しいので、またその隣のピースを捜し求める。

ところが、次に手にしたのは黒一色のピース。
どこの部分なのか全く分からない。

もし、完成図が分かっていれば、そのパズルを完成させるのに必要なピースであることは分かるのだが、完成図のないパズルだったら、それがパズルの一部であることすら分からないので、それを大切に取っておくこともしないかもしれない。

『賢者の書』に登場する主人公の少年は「賢者」からジグソーパズルの話を教えられる。

「大きな絵、つまり大きな夢を思い描く。
そしてその夢の実現のために行動を起こす。
行動の結果、手に入るものは失敗でも成功でもない。
絵を完成させるために不可欠なピースの一つである」
「1個のピース(行動の結果)は、自ら思い描いた絵を完成させるために、どうしても必要なのだ。
絵が完成したときに、あのわけの分からなかったピースがどこでどう使われているのかがようやく分かるんだ。
あのつらい経験が、ここに使われることになっていたんだな。あの失敗がなかったら、ここを埋めることができなかったんだな、といった具合に」

この本、20代のときに出会いたかった。
でも今出会えたことで、こうして多くの人に紹介できる。

『賢者の書』、おすすめの1冊である、あなたの人生に。

(日本講演新聞 魂の編集長 水谷もりひと 社説 バックナンバーより)

最後までお読みいただきありがとうございました。



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