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ぼくらの時代と、お茶汲みと

 日曜日の朝は「ぼくらの時代」を見るのがお決まり。今回のゲストは元フジテレビアナウンサーの山村美智さん、河野景子さん、近藤サトさんの3人。色々な話題があがったが、アナウンサーの職場についての話しが興味深かった。

 当時、新人アナウンサーの仕事に『お茶汲み』があったそう。もちろん、私の職場でも、昔は午前10時と午後3時に『お茶汲み』があった。しかも、山村さんの職場と同じように各自の好みに合わせて、お茶、コーヒー、更にはミルク入り、砂糖入り、その分量までも詳細に分けて作っていた。その数、およそ15個ほど。一度には運べないので、2回に分けて銀色のお盆にのせて出して回った。そして、今思うとこれが業務の1つだったことが不思議でならない。各自、自分でやれば済むことなのに…。業務に何の絡みも無い。女子社員を使った福利厚生の一環か?と疑問に思う。
また、山村さんが「紙コップにできないでしょうか?」と上司に相談したところ「この忙しいアナウンサーが茶碗を洗う。これが良いんだ」と言われたそうで「意味が分からない」と3人で大笑い。このエピソードを聞いて、時代だな~…と思うと共に、またもや昔を思い出した。

 学生時代、就職相談室でひとりの女子学生が「仕事でコピーとりやお茶汲みなんて嫌だなー」と言ったところ、年配の男性職員が「お茶汲みが嫌だとか言ってないで、日本一のお茶を淹れてみろっ!」と叱咤した。それを聞いて私は『日本一のお茶を淹れる意気込みを持つくらいなら、お茶の専門店にでも就職希望してるよ、バーカ』と心の中で悪態をついたのを覚えている。当時、女性の仕事は『結婚までの腰掛程度』との風潮があったし、雑用や補佐的な業務が主流で職場内でのケア用員のような存在でもあった。

 そして、今のように女性が職場内での立ち位置を確保出来きるようになったのは、諸先輩の女性達の勇気と行動があってのことだろう。山村さんの「紙コップにできないでしょうか?」のアクションもその1つだと思う。何かを変えていくには、僅かなことでも働きかけが大事だと今になってシミジミ思う。不服があれば声に出す。サジェスチョンする。そこからしか何も変わらない。お茶汲みや宴席でのお酌の撤廃、居室内の禁煙など、私の職場では法規制等が行われる前に実現していた。これは、紛れもなく女性の諸先輩方のお陰。「もう、やらなくていいわよ」の一言を届けてくれる先輩がどれだけ頼もしかったか。今思い出しても惚れ惚れする。そして自分はそんなカッコイイ大人になれていないな・・・と恥ずかしく思う。

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