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ビジネスで勝つためのPR戦略

今回はNewsPicksの番組「New Door」の中で取り上げられた「ビジネスで勝つためのPR戦略」というテーマに沿って、PRにおける本質について考えていきたいと思います。


世の中にはありとあらゆるサービスがあふれていますが、その中でいかにして差別化を測ってい くかは企業にとっても地方の自治体にとっても、はたまた個人にとっても永遠の課題とも言えま す。最近ではPRを行っていくうえでSNSの活用も必須になりましたが、その発信の仕方も含め、 事業内容やその魅力を多くの人に知ってもらうにはどうしたらよいのかをまとめていきます。


本回では、歌舞伎町のホストにおいて最年少で代表取締役にまで昇りつめたことから、「ホスト界 の帝王」と称され、事業家・投資家として活躍するローランドさんと、バチェラー出演で話題になり 現在MIRROR FIT.を手がける黄皓さんをゲストで迎え、4名の経営者からの質問に答えます。


この4名が現在苦戦している、PRへの取り組み方に関してアドバイスをするお話を通して、2人の 考えるPRにおいて大事なこと3つをまとめてみました。


1.強みを正しく理解する 

このことは、商品やサービスを展開していく中で当然のことといえば当然です。しかし、意外とこ れができておらずPRの方向性を間違えてしまっていることがあります。


このことは1人目の質問者、地方創生の一貫として秋田県にある東成瀬村の魅力を伝えたいとい う近藤さんの質問のなかで明らかになりました。
東成瀬村は全国でも公立小学校の学力の成績が全国1位だそうで、この事実は過疎化の進む 地方の村として、子育て世代を呼び寄せるための魅力の一つに十分匹敵します。 しかしながら、他と差別化が難しい「雪の地域」や、移住を促すこととしては関連性の低い「仙人 の村」といった、別の部分でPR活動をしてしまっていることを、ローランドさんは問題点にあげまし た。
せっかくの強みを理解できていないために、村の売り込み方の方向性がぶれてしまっています。 ローランドさんはこの村に「ハーバードに一番近い村」という非常にキャッチーなネーミングを付 け、教育水準の高さを前面に押し出していくべきと強く発言しました。 そのうえで「日本一子育てがしやすい村」であったり、3人目が生まれたら支援金として100万がも らえるという制度をアピールしていったら良いのではないかと意見します。


また村の人々を熱くさせるには、方法として目に見える敵をつくるのが有効とし、村に私立学校が ないのならば、公立でもここまで学力が上げられるのだと「打倒、都会の私立」を打ち出すのも良 いとアイデアを出しました。
この回でお二人は何度も「出る杭は打たれる」という発言をします。地方創生は各地で苦戦を強 いられていますが、魅力というのは何も観光資源や気候だけではないことに気づかせてくれまし た。一番がないなら探す、むしろ創り出すという試みがPRをしていく前の段階で何よりも大事で す。他の地域とは全く別の切り口で、優れている部分にフォーカスしてみて、かつそこを徹底的に 極めてみるということがポイントだと分かりました。


2.モノを売るよりもストーリーを売る方法を考える


「モノよりストーリー」という話は、よくでるトピックではありますが、実際にどんなストーリーが、ど のように伝えれば正しく届くのかというのは、しっかりと考えるべき点だと思いました。
オンライン上で不動産が買えるサービスを行っている、かけのさんは集客方法に苦戦していると のことでした。理由としては、オンラインでマイホームを購入する制度自体、去年国土交通省が認 可したばかりのため、まだ市場が小さいこと、そして何より対面でのやり取り無しで取引を進める ことに対しての不安感を拭えていないということがあるといいます。
ここで2人が注目したのが、そもそもなぜこのサービスを始めたのかという経緯、ストーリーの部 分です。 かけのさんは、過去マイホームの建築途中で担当してもらっていた工務店が倒産し、多額の借金 を背負った経験がありました。かなり苦労をされたことをきっかけに、お金の勉強を始め、FPの資 格を取り、マイホームを持とうと考える方が自分と同じ失敗をしないよう救ってあげたいという想 いでこのサービスを始めたそうです。「自称日本で一番マイホーム購入をしくじった男」という キャッチコピーを掲げ、90歳までのお金の計画を立ててからマイホームを持とうという考え方を提 唱しています。
せっかくこんなにも良いキャッチコピーと熱い想いがあるのに、うまく伝えられていない現状が非 常にもったいない現状でした。このストーリーを活かし、ローランドさんが考えたのが、はたまた 「出る杭になる作戦」で、「そう簡単に不動産は売りません」「家を売らない不動産」といったコピー で打ち出してみてはというアイデアです。


一般的に不動産業界においては、不動産業者の手間をかけずに売りたいという気持ちと、できる 限りじっくり考えて買いたいというユーザーの気持ちにギャップがあります。そこで、かけのさんの 独自のストーリーをもって、現在、未来のお金にまつわる話をしっかりとヒアリングしてからでなけ れば、不動産を売ることはできないということを伝えるのです。そして「家を買いに行ったのに、家 を売ってもらえなかった」という口コミを広めることによって、無闇に売りつけてこないのだという印 象を与えられ、信頼を獲得できます。


また、黄皓さんは、新しいサービスを普及していくには、ストーリーを通して何より共感力を呼ぶこ とが重要だといいます。かけのさんが、過去どれだけ失敗して、どれだけ自分みたいな人がその サービスによって幸せになったのかを発信し続けることが一番の共感を呼ぶ方法だと主張しまし た。
せっかく持っている素敵なストーリーも、見せ方によっては全然伝わらないという状況に陥りま す。伝え方に関しても、どの媒体でどんな経緯をたどって伝えたらよいのかを綿密に計画を立て ることが重要だと分かりました。


3.SNS・メディアそれぞれの特性を理解して発信をし続ける 

3つ目は、黄皓さんが自身の体験をもとに力強く説いていたポイントです。黄皓さんはInstagram、 ツイッターで継続的な発信をしつつ、バチェラーやバチェロレッテといったメディアへの大々的な 出演もされたことから、発信に関してはかなり説得力が伴います。
岐阜県で91年続く、老舗の組み飴店を経営する鵜飼さんは、一度の製造で3500個もできるとい う組み飴の特性を活かして、法人向けに提案をしていきたいという思いがありました。しかし、法 人向けにロゴを入れた飴の販売を企画するなど、現状できることはしているものの、なかなか伝 えるのが難しいとのことです。

そこで2人が着目したのが、飴の味ではなくビジュアルでした。素人が見ても見た目が非常に美し いのだから、「キャンディで新しい文化を創る」と称して、ウェディングケーキの代わりに「ウェディ ングキャンディー」やジュエリーに見えるようなキレイなキャンディーをつくってみてはどうかと提案 します。


かつ、この際に必須になるのがSNSです。せっかくのビジュアルを伝えるために写真でアピール ができるInstagramで、発信し続けることが必要だと説きました。飴は大抵味は同じということは、 お客さんも分かっていることなので、文字ベースで味を説明する必要はありません。味よりも見た 目で勝負し、その美しさを写真で伝え続ければ、海外でもうけるだろうという見解でした。
いっぽうで、「100歳でもひ孫と遊べるカラダを地球上すべての人へ」というビジョンを掲げてシニ ア向けの健康体操クラブを展開する太田さんは、SNSでのフォロワーの伸び悩みに頭を抱えて いました。 SNSを活用する意図も、シニア世代の子どもや孫に向けて、理念に共感する人を獲得したいから とはっきりしています。


ここで黄皓さんが助言したのが、ビジョンも明確で、SNSの活用自体は間違っていないから、 SNSのそれぞれの特性をしっかり理解して使い分けをするべきだということです。Instagram自体 にはリポストなどの拡散性はないので、多くの人にリーチすることが目的ならば、ツイッターや TikTokを使って拡散していく必要があります。みつけてもらうことをゴールにした場合は Instagramは向いていません。 いっぽう、ツイッターやTikTokを通して認知を獲得した後に、より深く太田さんや太田さんの取り 組みについて知ってもらうためには、Instagramをプロフィールとして使うのが良いということでし た。


いずれにしても重要なのは、やはり続けることで、いつどのタイミングでみつけてもらえるかは人 によって違います。この時、ローランドさんが例に挙げたのが、バニラのトラックです。バニラに興 味のある人は当時ほぼいなかったし、特別良い音楽を使った広告でもありませんでしたが、ある 地域を中心に繰り返し何度もトラックが回っていたことで、都心の人はみんなその存在を知るよう になりました。 このことからも分かるように、とにかく継続が必要です。ブランディングはコップに水を注ぐのと同 じで、ある時あふれる瞬間があって、この時に周知してもらえるようになると主張しました。
そして、メディアに取り上げられることで話題になりたいと考える企業は多いですが、メディアに取 り上げられたいのなら、メディアが取り上げたいと思うような見せ方をしなければならないといいま す。一番いいのは、ギャップを見せるということです。ヲタクなのにヲタ芸で機敏な動きをすると か、おばあちゃんが階段をかけ降りるとか、そういったギャップをメディアや視聴者は好むというこ とを視野に入れて発信を続けるのが良いというお話もありました。


SNSでの発信は、頭を使う見せ方の部分と、続ける根気の両方が必要なのだと、改めて簡単で はないことを実感します。


以上、今回はローランドさんと黄皓さんのアドバイスから、PRにおいて重要な3つの学びをみてい きました。どれも基礎的なことにはなりますが、自分のサービスだとつい視野が狭くなり、本来の 魅力や、魅力の発信の仕方が分からなくなるものです。だからこそ、常にカスタマーインタビュー や、近しい経営者さんの客観的な意見を取り入れるなどして、PRに磨きをかけていくことが重要 だと感じました。

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