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誘惑の赤い果実。そのお酒、カルヴァドス。

こんにちは。本日も特集を書いていこうと思います。
みなさま、誘惑の赤い果実と聞くと何を思いますか?そうですよね、「りんご」です。
りんごの果実の花言葉は「誘惑、後悔」です。
あの魅力的な色を見るとかじりたくなるのも仕方ありません。後悔という言葉はアダムとイブの神話から来ているそうな。

誘惑の果実からできた魅惑のお酒、カルヴァドスを本日はご紹介していこうと思います。

カルヴァドスの発祥は9世紀頃とされておりますが、1553年の古文書にりんごを使った蒸留酒が作られたという記録があり、少なくとも470年以上の歴史があると考えられます。
ブランデーが最初に文献で紹介されたのは13世紀ごろなので、ブランデーよりも後に出来上がったものと考えられます。

フランスの一部地域を除き、葡萄の栽培に適した土壌ですがカルヴァドスが作られるノルマンディー地方は粘土質で葡萄の栽培には適さない土壌でした。
しかし、その土質はりんごの栽培に非常に適しており、必然的にりんごの栽培が盛んになっていきます。

「葡萄を原料にしてコニャックが作れるのなら、りんごを原料にしても蒸留酒は作れるだろう。」そんな先人達の開拓精神からカルヴァドスは生まれます。

カルヴァドスもコニャックと同じようにAOC(原産地呼称制度)によりカルヴァドスと名乗るための条件が決められています。

  1. フランス ノルマンディー産のりんごを使うこと

  2. 上記のりんごのうち定められた48品種のみ使用することができる

  3. アルコール度数は40%以上

  4. ノルマンディー地方の指定の三地域での生産

上記のように厳しい取り決めがあります。
また、りんごを原料として作るお酒ですがりんごだけでお酒を作ると渋味や苦味などが際立ってしまうこともあり、洋梨を原料としたお酒をブレンドすることも認められています。そのブレンド割合や熟成年数なども地域ごとにに細かな取り決めがあり、その条件をクリアできるかどうかもカルヴァドスを作るにあたって大切なポイントとなります。


最高級品質のカルヴァドス・ペイドージュ地区

ペイドージュ地区はノルマンディー地方の中で最もりんごの栽培に適したエリアです。洋梨原酒の配合率も3割以下と厳しく、りんごの風味を最大限に活かした優秀な作り手が多いとされる地域でもあります。
単式蒸留器で最低2回の蒸留、2年以上の樽熟も必要となります。
この地域で作られるカルヴァドスは芳醇で力強い香りが特徴とされ、一般的には高値で取引されます。


独特の個性を持つカルヴァドス・ドンフロンテ地区

ドンフロンテは栽培面積が狭く、生産量も限られた地域です。
ペイドージュとは打って変わって洋梨原酒を30%以上配合しなければなりません。半連続式蒸留器で蒸留、オーク樽で3年以上の熟成が必要と定められています。爽やかな酸味と複雑さを感じ、余韻にはほのかに洋梨を感じる個性的なカルヴァドスが多いとされます。

AOCカルヴァドス

AOCカルヴァドスは今までの地区の中では一番規制が緩く、上記2地区を含めたカルヴァドス地区全体の領域で作られたカルヴァドスを指します。
上記2地区で作られたカルヴァドスのブレンドも認められており、洋梨原酒の配合率も作り手に委ねられています。
比較的手頃な商品が多く、普段飲みに向いているカルヴァドスと言えるかもしれません。

熟成年数による分類

今までが「地域ごとのカルヴァドスの特徴」でしたが、コニャックと同様にカルヴァドスも熟成年数により格付けがされております。

  • 「フィーヌ」・・・熟成年数2年

  • 「ヴィユー・レゼルブ」・・・熟成年数最低3年

  • 「ヴィエイユ・レゼルブ」・・・熟成年数最低4年

  • 「VSOP」・・・熟成年数最低4年

  • 「オルタージュ」・・・熟成年数最低6年

  • 「ナポレオン」・・・熟成年数最低6年

このように熟成年数によってランク分けがされており、熟成が進むにつれて芳醇で円熟な味わいとなっていきます。


ここまでがカルヴァドスの基礎知識。どうでしょうか、カルヴァドスが飲みたくなってきましたよね。
せっかく飲むなら最高級のものをいかがでしょうか。
今回おすすめするのはこちら。

シャトー・ド・ブルイユ

シャトードブルイユは、カルバドス最良の産地といわれるノルマンディー・ペイドージュ地方にあるシャトーです。小規模ながらも由緒あるシャトーは重要文化財級の豪奢な建物で、格調高いテイスティングルームはこのシャトーが受け継いできた歴史を感じさせる空気に満ちあふれています。

特筆すべきなのは頑なに昔ながらの製法を守り、じっくりと時間をかけて蒸留された原酒を、選び抜いたリムーザンやトロンセのオーク樽に入れて熟成させるというこだわりを変わらず持ちつづけているということ。

おすすめの飲み方はやはりストレート。
ストレートがキツイという方にはジンジャーエールなどで割るととても飲みやすく、風味を強く感じます。

このカルヴァドスがあなたにとっての最良のカルヴァドスでありますように。





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