新卒デザイナー研修前マインドセット。
こんにちは、ミクシィデザイン本部本部長の横山です。今日は、22新卒デザイン職向けに行った研修前マインドセットを共有します。
こんばんわ、研修楽しんでますか?明日からはいよいよデザイン職向け研修です。張り切っていきましょう。今日はこれから4-50分お話するのでリラックスして聞いてください。まず僕からみなさんへslackしています。slackにはdesigner_all_相談箱チャンネルのURLがあります。このチャンネルは匿名で誰でも相談できるチャンネルです。今日の話、わかりにくいところあったらこの相談箱を使って質問してください。追って補足します。それでは始めます。
①始めに。②今日、伝えたいこと。③陥りやすい、アンチパターン。④キャリアを積んでくロール。⑤ネットアイドル?デザイナー?⑥他の人に任せないところ。⑦できる人と、もっとできる人の差。⑧喜んでくれる人を1人ずつ広げる。⑨最後にお願い
始めに、3分で3つの質問を考えてみます。後で順番に発表しましょう。
(発表略)
僕から伝えたいのは、ちゃんと寝ましょう、ちゃんとリラックスする時間を作りましょう、ちゃんとびっくりする気持ちをいつまでも持ち続けましょう。短距離走ではありません、これから長い長い戦いが始まります。
もうひとつやりましょう。これは発表しません。数字で10:0とか5:5とか1分で考えてみましょう。
エビデンスがあるのかわかりませんが、よく言われるのは仕事では5:5位が成長に丁度いいと言ったりします。快適とは普通にやればできる、あるいはやったことがあるような仕事、ストレスや不快とは始めてやる、全くわからないけど教わりながらあるいは調べながらやるみたいなもの。
このバランスが大きく崩れると、たとえば0:10だと極度に自信をなくす、不安が増大して、持ってる力すら出せなくなるようなことが起こり、逆に10:0が長く続くと、新しいデザインを試みなくなる、このデザインはこんなもんだろうにある程度自信を持つがゆえにマンネリをうむとも言われます。
みなさんはきっと早くて入社2,3年後、あるいはデザイナー歴10年位の30代前半でこのような状態になることがあるかもしれません。いわゆるコンフォータブルゾーンから抜け出せなくなるみたいなことです。これがこわいのは、そのような状態に周りも徐々に慣れてしまい、周りがセーブすることでさらに成長機会が減少することです。
5:5が丁度いいというのは逆にとらえると、人は5の負荷がないと成長意欲が薄れていくことでもあるかなあと思います。例えばみなさんは、ここ数年でもいくつもの新しいツールを学んで、自分自身のできることや表現の幅を広げてきたと思いますが、社会に出て5年10年、全く新しいツールを学んでない人もたくさんいます。
ツールはあくまで例えのひとつですが、自分の武器をより良いものにしていかない理由はないですよね。まして現代のソフトウェアデザインにおいて、より良い武器を手に入れていかないことは、表現力や演出力の致命傷になりかねないってことはよく覚えていてください。ツールがデザインをしてくれるわけではないけど、武器を磨かない理由もない。
ここで伝えたいのは、適度な負荷を自分自身にかけ続けられる人になろう。そして10年後15年後、デザイナーですって言えない未来にならないようにしよう。
今日はこの2つだけ覚えて帰ってください。研修はこれからずっと学び続けるためのウォーミングアップ。デザインの現場は今でもわかってないことの方がずっと多い。
みなさんがこれまで学んできたことに意味がないわけではもちろんありません。だけどデザインの現場の多くが社会と考えると、社会におけるデザインの領域は経済活動と共に広がり続け、変化し続けています。その流れはどんどん早くなっている中で、デザインのアプローチも日々試行錯誤だし、良いとされるデザイン、社会に浸透するデザインもまた時代で異なります。
その中でみなさんが学んできたことは、ちょっと前の社会でおおよそコンセンサスがとれた大部分、あるいは研究もかねた最新のエクストリームな部分がそれぞれ学問としてある程度体系化され、カリキュラムになることが多いと考えられます。ここにタイムラグがあって、社会と学問のレベルが揃うって状態はおそらくない。サイクルが短くなることはあっても、それはその分、カリキュラムそのものの精度に影響がある可能性もあると思います。歴史上、短期的にプラスでも長期的にみてマイナスなことはよくある話です。
ではやはり学んできたことに意味がないのか?でいえば、意味はある。デザインやクリエイティブの目や脳を養っているし、態度や姿勢を養っている。社会に出てデザインする、クリエイティブする、心と体の準備は整っている。それで十分です、だから意味はあると僕は思います。
なぜこのような主語がでかい話をしているのかというと、なるべく世代でくくりたくはありませんが、それでも僕が出会う新卒の方の多くが、以下のことでちょっと窮屈そうにデザインをするのを時々見かけるからです。
これまでたくさんのデザイン職と話をしてきましたが、ここ10年位で、この3つのパターンをよくみかけるようになりました。デザイン思考に固執しすぎる、学んできた領域に縛られすぎる、デザインが武器ではなく目的すぎる。この兆候は年代問わずありますが詳しく話します。
デザイン思考はここ20年くらいで社会に定着してきた有効なアプローチのひとつだと思います。僕もたくさん勉強したし、デザインの工程のそこかしこで影響を多分に受けています。だけどこれは、あくまでたくさんあるアプローチのひとつにすぎません。デザイン思考以外が無用なわけでもないし、デザイン思考のアプローチをやらなければ、デザインができないわけでもない。万能な方法論なんて存在しないし、抜け落ちるものもたくさんある。
本来メリデメを理解した上で上手に使うべきものが、いつしかデザイン思考信仰になって、その理想と現実のギャップの間で手が止まってしまうデザイン職をしばしばみかけます。だけど私たちはデザインするのが仕事であり、デザイン思考の正しさを立証するのが仕事ではないと思います。なので上手につきあいたいものです。
似たような話で、卒業した所属学科に縛られすぎる人も多いように感じます。学んできたことに誇りをもつとか、大学がすきである、グラフィックが得意であるは、これからどの領域のデザインにチャレンジしても、必ず生きる時がくるので、所属学科以外の仕事にも果敢にチャレンジするよう心がけて欲しいと思います。やるまえから食わず嫌いしないようにしてくれると嬉しい。
デザインが武器ではなく目的すぎるは文字通り、デザインのためにデザインしている、自分自身のこだわりのためにデザインしている状態。デザイン食としてのこだわり自体は当然持つべきものだと思うが、よくないのは事業におけるこだわりよりも、個人のこだわりが優先される状態。これは事業会社のデザイン職としては好ましくない姿勢だと思います。
事業会社の目的が事業成果によって、社会に価値を還元するとしたときに、事業成果につながってないのに、クオリティが高いデザインがあるってそもそも思っちゃうとしたら、それはどうなんでしょう?って話。この3つは陥りやすいんだなってことだけ頭の片隅においといてください。
ミクシィでは3つの現場を経験するようにしてください。この3つを自分のものにできれば、おそらくいつでもどこでも行きたい会社に行ける市場価値がついている状態になっているはずです。
この中で最も難易度高いのは新規事業です。事業の成功確率だけでなく、1人目のデザイン職がやるべきことの多さ、難しさからも今いきなり飛び込んでも何にもできないので、まずは2つ目、3つ目からキャリアを始め、どこかのタイミングでぜひ新規事業もチャレンジしてください。
気をつけて欲しいのは、みなさんはこの3つを経験したいと考えると思いますが、組織はどれかひとつを経験した人に対して、次も同ポジションを提示しがちってこと。なぜなら過去の経験が少しでも生きる場所で働いてもらう方が、個人のパフォーマンスを期待できるから。なので自分のキャリアは偶発性に任せることと、自分自身でもコントロールすること、2軸を持っていることが重要です。
デザインの考えを深める癖をつけるためにも、ログを残してデザインワードを自分のものにして行きましょう。どういう気持ちでデザインしたんだっけ?なんでAよりBと思ったんだっけ?どこがむずかしくてどこが気に入ってるんだっけ?デザインする前と後で何を手にしたんだっけ?今回できなかったけど次にチャレンジしたいことはなんだっけ?などを書くことで、自分自身のデザインプロセスの輪郭も少しずつくっきりしていくはずです。
ひとつだけ注意して欲しいことを伝えます。デザイン以上に、デザインを補足するのに華美なワードで装飾しちゃうのはやめましょう。等身大でいいので、デザイン力不足をワードでコーティングするのはやめましょう。そこにいいねが集まると、それは負のループの始まりです。
僕は何かをデザインするとき、短くて2時間ほんとは3時間位時間を確保したいと考えます。その時間はslack切って、デザイン以外のアプリを全部落としてデザインを始めます。実際エンジン全開になるのに2-30分かかるので、2時間確保してもいいとこ1時間半の勝負です。集中力が続くぎりぎりの時間。
20年以上デザイン業界で仕事していて、それなりにスキルや経験があって、生産性もそれなりに高めてきた僕がこのくらいとしたときに、これからデザイナーとして第一歩を踏み出すみなさんは、一体どれだけの時間を準備する必要があるでしょうか?
今日はこれだけはやらないでねを話しますが、slackにリアルタイムに応えることに一生懸命になりすぎて、さらにはMTGに追われ、デザインにかけるべき時間を確保できず、自分でもわかってるけど良くないアウトプットのまま締め切りがくる。そんなデザイナーにならないでください。クオリティラインを超えたからではなく、締め切りがきたからデザインを終えるデザイナーにならないでください。デザインするためのスケジュールをマネジメントするのはデザイナーの仕事のひとつ。自分ひとりでできなかったら上長に相談しましょう。
日々のクリエイティブに1%の磨きをかけ続ける話は入社式で伝えました。それを続けていけば、普通にできる人にはなっていける、きちんとやれば。だけど、もっとできる人になるためには、チームの優先度に合わせた仕事に応えつつ、手があいたらやろうとか、私としてこれはやっておきたいを、同時に粛々と実行できる必要があります。これができる人と、もっとできる人の差。毎月1%多いアウトプットができると1年で…?さらにはもっとできる人は、その過程で量×質も手に入れるので、全ての品質もぐぐぐっと上がり続けます。こうしてもっとできる人は誕生します。
じゃあどうやってそれをやるのかってのは、自分に合ったやり方をあなたがみつけてください。僕は圧倒的な量から質を手に入れました。みなさんは圧倒的な量をやるのがむずかしい時代に、キャリアをスタートしています。だから僕はそこを教えてあげられません。あなたが自分でみつけるのです。
僕が今の時代のデザイナーだとしたら、おそらくやるのは、自分のデザインの工程を分解して、どこでどう時間がかかっているのか?どこが好きでやりすぎちゃうのか?どこは時間を確保してでもやらなければいけないことか?などを理解しながら、デザインをもっと早く上手くやる方法を模索し続けると思います。あるいは短時間でより早くフロー状態になる方法を、それを持続させる方法を試し続けると思います。
ちなみにミクシィには、もっとできる先輩がたくさんいるので、秘訣を聞いて歩くのもいいでしょう。相談されて嫌な先輩はいないはずです。
周りに良い影響を与えられる人になっていきましょう。あなたが周りに良い影響を与え続ける限り、あなたの周りに、あなたに良い影響を与えてくれる同僚が集まってきます。
今日はこんなことを話しました。
さて相談箱にはどんな相談や質問が来てるでしょうか…。