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【映画】地獄の花園の感想

特に邦画のコメディを観てて思うこと。
本当に凄い俳優・役者さんは器用で
なんでも演じれてしまうんじゃないか?
と思っていたんだけど
バカリズム脚本
地獄の花園を観て考えさせられた。
私が思った疑問は
『めちゃくちゃ面白い芸人さんの作ったコント台本をめちゃくちゃ凄い俳優さんが演じたらどうなるのか?』
ということで
当たり前なんだけど
そこは芸人にしか表現出来ない部分が
あるのだと改めて思ったのだ。

その"芸人"にしか出来ない技能を
本作では遠藤憲一さん演じる
ライバル会社のボス的存在なキャラで挑戦している。

主人公を助けに来た広瀬アリスさんを
屈服させようとアジトで待ち構えてる
シーンがある。
そこで普通の"ヤンキー漫画"であったら
遠藤憲一さんの下にいる四天王的な
連中を1人ずつ倒して行くみたいな
流れになるはずなんですけども
本作はその辺のヤンキーあるあるを下敷きにしてる所もあって、そこはいわゆる"普通"には進まないんですね、ボケてくるんです。
そのシーンで遠藤憲一さんは
乗り込んで来た広瀬アリスさんに
対決を申し込むんです。
それがいわゆるTVのバラエティー番組のコーナー的なノリってボケ方なんです。
それが面白いところでシーンのキモです。
それまではヤンキー漫画の番長的に振る舞ってた遠藤憲一さん扮するヤンキーのボスなんですけれども急に“喧嘩"を仕切る
バラエティー番組のMCの様な振る舞い
になる所が面白いんです。
しかし、そのMCのノリかちょっと違うんです。それまでの遠藤憲一さんの
キャラとMCのノリになってからの
遠藤憲一さんの変化があまりなくって
ちょっとヌルっとなっちゃってるんですよ。
これはもったいないと思いました。
『激突タイマンメドレー』のフォントからみるにどう考えても昭和バラエティーの
感じなんですよ。
でも遠藤憲一さんのMCがバラエティー感
があまりないんです。
これはめちゃくちゃ細かいことで
気にならない人は気にならないと思います。
なぜ私がこんな所が気になってしまうのかといえば、本作の脚本を書かれたバカリズムさんの「総合医者」というコントがあります。医者に扮したバカリズムさんが
バラエティー番組のMC風に患者に病名を告知していくという作品なのですが
まさに本作の
上記で説明したシーンと笑いの取り方としては全く一緒なんですよね。
「総合医者」が気になる方はバカリズムさんの公式でYouTubeに上がってるので観てみましょう。
そこでのバカリズムさんの芝居がめちゃくちゃ面白いのです。芝居が上手いってよりは芝居が面白いんです。
かなり笑えるんです。それこそ声に出して笑ってしまいます。しかし今回のシーンでは面白いとは思いつつも笑わなかった。
その差はなんなのか?
それは芸人しか表現出来ない
笑わせることに特化した芝居の技術なのかなって考えてます。
「総合医者」を観て頂けるとお分かりになると思うのですがバカリズムさんの
いやったらしい、実在しそうな生々しい
いわゆる鼻につく小慣れた感じの
バラエティー番組のMCはおそらくバカリズムさんにしか表現出来ない匠の技術なのかもしれません。
そのバカリズムさんのネタを観てしまっているので今回のシーンに違和感というか
消化不良を感じでしまった訳なのです。
言ってしまえば当たり前と言えば当たり前。むしろそこまで俳優が表現出来てしまったら芸人は商売できなくなってしまう訳ですから。
今作を通して俳優と芸人の境界線のようなものが見えました。
私は非常に満足してます。

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