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ちぎり絵からストライプ柄へ/テキスタイルデザイン「asatokaze」の話

布・生地の通販サイトnunocotofabricさんより発売中のテキスタイル「asatokaze」は、清々しく爽やかな気持ちなるテキスタイルをコンセプトに、朝一番に窓を開けた時、吹き込んでくる風を受けて、
窓際に置かれた雑誌がパタパタと開く様子を楽しく表現したストライプ柄のデザインです。

asatokaze(joy)

こちらの制作では、目では見えない「風」を表現することが課題となりました。そのために活用したのが目に見える対象物。それは、窓まわりにあるブラインドです。デザインのゴールをストライプ柄に着地させたかったので、縦型の線となるブラインド「バーチカルブラインド」をモチーフとしました。その縦線を表現するために用いたのが折り紙です。ハサミではなく、手でちぎることによって、輪郭に毛羽立ちが生じます。ちぎり絵もそうですね。

切りやすくするため、一度折り目を付けてから手でちぎりました

この毛羽立ちは、逆光を表現するのに適していると感じ、
ちぎった折り紙を黄色い台紙(=光に見立てた色)に貼り付けてスキャンしました。

黄色い台紙にちぎった折り紙を貼ります
Photoshopでブルーの折り紙のみを選択し、台紙の黄色を除きます
紙の毛羽立ち部分に台紙の黄色が残ります。これを表現に利用します。

台紙の黄色を反映した紙のキワが、
まるで後ろから光を感じているかのように見えませんか?
また、ガタガタした震えのある線であることからも、
風の表現を演出するのにピッタリです。
では、こちらの素材を使って構成してみましょう。

背景に薄い黄色をまだらに配置しました。日が昇る少し前の、薄明の光を表現しています

風は、朝の始まりを告げる喜びのあるものにしたかったので、
歓喜の歌が奏でられているような、動きのある音波のイメージで、
縦線をジグザグに構成しました。
ではこちらをベースに制作を進めます。

続いて風を表現するもう一つのモチーフ、窓際にある雑誌です。
あえて「雑誌」としたのは薄くて軽いことから、
ハードカバーの本よりも風の影響を受ける様子が想像できるため。

風によってページがめくれる様子を、たわむような輪郭で表現したり、
見る角度を変化させ、複数のバリエーションを作成しました。

イラストは画用紙を切ってPhotoshop上でコラージュしました

先ほどのベースの上に重ねてみます。

こちらの作業中にreiharakamiの曲「joy」が頭に浮かびました

さらに朝の始まり、1日のスタートを盛り上げるために、
喜びの象徴としての「ちょうちょ」と、
朝の目覚めに飲むハーブティー用の「ティーポット」を配置しました。

雑誌だけより可愛くなりましたね

実は、ちょうちょとティーポットの発想源となったのは、制作時期に出会った、たまゆら商会さんのアクセサリーです。
偶然の出会いはチャンスという名のギフトです。

ニコイチピアス<お花>

ちぎった折り紙から生まれた「かたち」を、ブラインド・風と光・音波、
という3つの要素に見立て、ストライプ柄へと着地させたテキスタイルデザイン。
あなたはこのかたちから何を想像しますか?

テキスタイルデザインの制作を通して、かたちの探求、それも受け手にとって、願わくば社会にとって、プラスの効果を促すかたちを探求し、表現していきたいと思っています。まだまだ道の途中です。

最後までお読みいただきありがとうございました!
また次のデザインでお会いしましょう!

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