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鑑賞雑記「真白の恋」

いつもお世話になっている
富山県ロケーションオフィスさんの
10周年記念上映会へ。
ずっと観たかった「真白の恋」を鑑賞。

軽度の知的障害があり、
過去に誘拐事件に巻き込まれたことのある
主人公・真白。
アラサーとなった真白の日常に
ある変化が訪れる。
東京からきたフリーカメラマン・油井と出会い、写真・カメラを通して交流を深めるうちに、
いつしか「恋」に落ちてゆく真白。
初めての感情に戸惑い、
不安を感じながらも真っ直ぐにその想いを
積み重ねていく姿は、愛らしく健気だ。

まつ毛のエクステをつけて帰ってきた際に
鏡の前で嬉しそうに自分の顔を眺める真白を
スクリーンの中に飛び込んで
後ろから抱きしめたくなったほど、
とにかく恋する真白はチャーミングなのだ。

真白の「恋する喜び」が
曇天が続く冬の富山の空や街の灰色を
どんどんColorfulに塗り替えていく。
真白が自転車をこぐ度に、そんな風に感じた。

印象的だったのは、真白と油井が海王丸パークで
お互いの写真を見せ合うシーン。
「真白ちゃんにはこんな風に見えてるんだね」
「油井にはこんな風に見えるんだ」
このセリフがとても心に刺さった。
お互いの「ちがい」を尊重し合える、
そんな二人の人間性と
関係性がとても素敵だと感じた。

障がいがあるとかないとか
そういうことは関係なく、
私たちの世界は「違ってる」ことが当たり前だ。
ひとりとして同じ人間はいないし
似た人間はいたとしても、決して同じ人物になることはありえないのだから。

「みんなちがってみんないい」という金子みすゞさんの詩を思い出した。

「普通」とは一体なにをもって「普通」なのか?

私自身も自分が「普通」だと
思ったことなど一度もない。
小さい頃からマイペースで、
人と歩調を合わせるのが苦手なところがあった。
そのくせ人の顔色や声色に敏感で
ネガティブな感情を瞬時に感じ取ってしまうので
生きづらさを抱えてきた。
その度に「みんなが言う普通ってなんだろう?」って思っていた。

20代の頃、ある先輩に
「結局、普通でいることが一番難しいんだよ」
って言われたとき
世間一般でいうところの「普通」に、
無理に自分をあてはめなくても
いいんだって思えて、
気持ちが楽になったことを覚えている。

自分以外のものが違っていて当たり前。
「真白は『普通』の女の子でした」
というキャッチコピー。
そう。真白は『普通の』女の子。

この映画は、普通の女の子の
少し遅めのほろ苦い初恋の物語。
異性への愛、友への愛、家族への愛
を描いたラブストーリーなのだ。

あ、あと真白の衣装が抜群にかわいい。


作品データ:『真白の恋』
2016年 / 日本 / 97分
監督:坂本欣弘
原作・脚本:北川亜矢子
キャスト:佐藤みゆき 岩井堂聖子 福地祐介 山口詩史 長谷川初範 ほか
配給:エレファントハウス 
制作:sagan pictures
公式サイト:http://mashironokoi.com/

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