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自然農の田んぼで雑草フルコース

はじめまして

はじめまして、三浦醸造所です。
アカウントを作ったものの日々の雑事にかまけて冷凍保存状態だったnoteですが、お蔵の様子や五代目のものづくりなどについて、お伝えしていきたいと思います。
私たちが暮らしの中で感じたり考えたりしていることを、お読みくださる方と共有できればうれしいです。
第1回目は、ねさし甘酒や米味噌の原材料にもなっているお米づくりに関するお話しです。

田んぼの嫌われ者

9月に入り、秋の気配を感じる瞬間が少しずつ増えてくる日々の中、田畑やお蔵の時間も風と共に流れています。

お蔵の仕事と並行して、今年の自然農の田んぼ・実験エリアではジャンボタニシとの共生を試みています。

ショッキングピンクの卵に大きな巻貝🐚
その外見からして大胆不敵な嫌われ者。
田植え後の柔らかい苗を食べる彼らは、米農家にとっては厄介な存在です。

根づいた場所から動けない稲と違って移動可能なジャンボタニシ。
数年前までうちの圃場にはいませんでしたが、大雨や農業用水と共にいつしか流れ込んできて、もう駆除は到底無理、という状況になりました。

農家にとっては迷惑でしかない存在ですが、彼らの故郷は日本ではありません。
もともとは食用として養殖目的に海外から持ち込まれたものです。
ニンゲンが勝手に持ち込んだんでしょ、こちらこそいい迷惑よ、と言う声も聞こえてきそうです。

あれこれと勝手に持ち込んで
気に入らなければ捨てる
食べたいように食べ
消費したいように消費し
飽きれば捨てる…

落ち着いて考えれば明らかにおかしいと分かるのに、それを改めることが出来ない私たちのことを、他の命たちはどんな思いで見ているのでしょう。
恥ずかしいけれど、入る穴もありません。

雑草フルコースメニュー作戦


さて、肥料や農薬を用いない水稲作の最大の課題は除草。
自然農に取り組み始めてからの五代目の泣き笑いの除草作戦についてはHPでも紹介しています。
記事はこちら

今年は自然農の田んぼの一部を実験エリアにして
ジャンボタニシの好まない大きくて硬い苗を植えて
苗よりも柔らかい雑草だけを食べてもらう、という
「雑草フルコースメニュー作戦」を実行しています。

大きくて硬い苗を育てるとなると…
普通に考えればポット成苗専用の播種機や苗箱、田植え機(最低でも200万円超)を揃える必要がありますが、それをやらない(出来ない⁉︎)のが五代目。
野菜用の250穴プラグトレー(特売で1枚¥100✨よっ、ダンナ‼️買い物上手👏👏👏)に可愛い自家採取の籾を手撒きします。
育てた苗はダーツのごとく、田んぼめがけてピョンピョンと投げる「放り苗」というやり方での田植え🎯

「物心ついた時から見てきたお父さんの姿はいつも楽しそうだ」
という娘の名言通り楽しそうな田植えでした。

ジャンボタニシたちも雑草フルコースがお気に召したようで、実験はこのままいけば大成功です。

敬愛するヤスダヤのシェフ・@yasudaya 安田花織さんをして「不思議な魅力のあるお米」と言わしめた、五代目が育てるヒノヒカリ。

除草が上手くいったとして…次に立ちはだかるのは高温障害♨️
もはや「普通」となった異常気象のせいで、当地に適していた品種の栽培が難しくなってきています。

20年以上にわたり栽培し、自家採取も続けてきたヒノヒカリ。
できることなら作り続けたいものです


注)この記事は2021年に書かれたものです。
 2021年時点で、当社の圃場周辺は既にジャンボタニシが多く生息してい   
ましたが、扇状地であることや農業用水を介して流入するため、その生息地域は拡大しており、各農家レベルでの駆除はほぼ不可能だと考えられます。こうした状況の中で、どのような工夫をしながら環境に負荷をかけない農業を実践するか、今も試行錯誤を続けています。



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