歩く楽しさ

3月下旬、チョモランマ登山のトレーニングとして、ネパールのエベレスト街道でトレッキングを行った。10日間ほど海抜3000㍍以上の高所でトレッキングを続け最高到達目標は5000㍍だった。一日6時間以上歩くため、ここで高度順化するとかなり＜歩きのエキスパート＞になる。

通称「エベレスト街道」と呼ばれるルートは、カトマンズから小さな飛行機でルクラ（2900㍍）へ飛び、そこからエベレストのベースキャンプ（5400㍍）に至る、およそ60㌔㍍の山道だ。ヘリコプター以外の移動手段は歩くしかない（たまに馬やヤックに乗る人もいるが）。登山の基本は歩く事だが、それにしても都会の生活でこれほど歩く事はない。

エベレスト街道の天気は特徴的で、午前中は晴れ、お昼過ぎた頃からどこからともなく雲がわいてきて曇り、または雪か雨が降る。だからなるべく朝早くから午前中の晴れている時に行動をする。午前中の晴れやかな日にトレッキングするととても気持ちがいい。

歩く事がうつ病に効くというのを聞いたことがある。これは身体を動かすことでホルモンのバランスが良くなり、気分が高揚するからだという。僕はうつ病ではないが、これほど気持ちのいい天気の中で歩くと、どんな病気でも治ってしまうのではないかと思える。