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スキーとアンチエイジング

2008年3月22日に日経新聞夕刊に掲載されたものを修正加筆したものです。

先週の記事で国の情勢が登山に影響することを書いたところ、僕が日本を出発した(2008年3月16日)前日、チベット自治区のラサを中心に騒乱が起きたニュースが流れた。

今僕たちはネパールのカトマンズにいて、チョモランマ遠征の準備をしている。予定では来月上旬にチベット入りすることになっており、それまでに状況が沈静化して無事に国境を越せることを願っている。

しかし悪いニュースばかりではない。フリースタイルスキーのワールドカップでは日本人初の種目別優勝を果たした上村愛子選手が5連勝で有終の美を飾った。僕達スキー関係者には最高のニュースなので、今回はスキーの素晴らしさについて書いてみたい。

4年前、東京都総合老人研究所に勤めていた時、超高齢の101歳まで毎年110日以上もスキーをしていた祖父・三浦敬三の体力年齢の測定を行った。僕達がまず注目したのが、客観的な体力年齢で、筋力と骨密度について調べてみると、ともに似たような傾向を示した。― 上半身に比べて下半身の体力年齢が若い ― 上半身の筋力、骨密度共に90歳平均の値を示していたのに対して下半身は60歳台の値を示した。同じ身体の部位でも30歳程度の体力年齢の差があった。

これはスキーというスポーツに深く関係している。スキーは常に自重を支えるウェイトベアリングスポーツでそのため重力を支える下半身に多くのストレスがかかる。ターン時に加えられる力は、回転半径とスピードに支配された遠心力、そして斜面が加える力が主で、体重の2~4倍の力がかかる。実はこれが骨や筋肉を強くする理想的なストレスなのだ。

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