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三浦家のルーツ 八甲田

2010年4月10日日経新聞夕刊に掲載されたものを修正加筆したものです。

 青森の八甲田山は三浦敬三(享年101歳)が山岳スキーの拠点としていた山であり、ぼくら三浦家のルーツとも言える場所だ。
 祖父が終生、追い求めたのはスキー技術であったが、その技術というのはゲレンデスキーのためではなかった。それは日本海、太平洋、津軽海峡に囲まれた日本有数の豪雪地帯で、海、風、山岳地形によって複雑な気象条件と地形を持つ、八甲田山を滑ってみるとよく分かる。
 4月初旬、この季節には珍しく雪が降り続け、朝は深雪と強い風で表面が硬くなり、昼はその雪が溶けて「腐った」状態。夕方になると溶けた雪面が気温の低下とともに薄い氷の膜のフィルムクラストとなる。この状態ではサクサクと凍った表面を抵抗もなく砕かれ、滑り回しもしやすくなる。大自然の中、夕陽に向かって滑るその様子はスキーヤーとして最高の至福だ。

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