自己責任論
先日、とある方と話している中で「ホームレスの自己責任」という単語が出てきて、少し冷静さを失ってしまった。日雇いなどで働く人の多い業界の方は万年人手不足に困っているので、ホームレスの人たちは「働く場所がない」という言い訳を理由に働いていない、結局のところ働きたくない人たちだ、というのだ。
あまりの言いように腹が立ったが、あくまでも冷静を装いながら、私は実際にホームレス支援をしてきたことがあり、働きたくないという理由でホームレスをしている人に会ったことはないことを伝えた。
ホームレスは選択性ではないのよ。仕事をするかホームレスになるか、なんて選択はないの。私が出会ってきたホームレスの方で、好きでホームレスになった人なんていなかった。多くの人は不遇な環境で育ちホームレス状態に陥ってしまった、そこそこ普通に生活してきたけれど不幸が重なってホームレスになってしまったというのがケースだった。当たり前のように親がいて、その親が当たり前のように「親」として機能していると、子を産んでも「親」になれないという人がいることを理解しにくい。
困ったときに頼れる人がいない人もいるってことを想像してみてほしい。決して、その人の生き方が悪かったわけじゃない。その人のせいじゃない。
日本にいると本当に「自己責任」という単語をよく聞く。なんて生きにくい世の中なんだろうと思う。
自分ではコントロールできないことが重なって大変な思いをしている人たちに「自己責任でしょ」と自分の考えの正当性を説明する前に、まずは想像力を働かせて欲しいと思う。ほんのちょっとの想像力があったら自己責任なんて言い放てないんじゃないかな。
好きで社会的弱者になった人なんていない。
自分だっていつその立場になるのかわからない。