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令和2年個人情報保護法改正と施行準備等のポイント

はじめに

令和2年6月5日、第201回国会において「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。この改正は、平成27年改正法附則12条3項に基づき1年以上をかけて行われたヒアリング、パブリックコメント、検討等の結果として行われたものであって「個人情報に対する意識の高まり、技術革新を踏まえた保護と利用のバランス、個人情報が多様に利活用される時代における事業者責任の在り方及び越境データの流通増大に伴う新たなリスクへの対応等の観点」から行われたものと説明されています。また、これとともに、国会審議においては担当大臣からデータ利活用に関して、情報通信技術の進展が国民生活の豊かさにつながるためには、個人情報の保護と消費者の安心が重要であるとして今般の改正が保護と利活用の両面を強化するものであるとの答弁がありました。

改正個人情報保護法は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内の政令によって定める日から施行されます。ただし、ペナルティに係る規定は公布の日から起算して6月を経過した日に施行とされていますので留意してください(改正における附則§1)。

令和2年6月15日に開催された第144回個人情報保護委員会において、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律の成立を受けた個人情報保護委員会の今後の取組(案)について」を基に今後の対応及びスケジュール等が議論されています。改正法の円滑な施行に向けて、関係する政令・規則・ガイドライン等の整備を進めるとともに、周知広報に積極的に取り組むとされ、今夏(7、8月)に基本的な考え方が提示され、政令・個人情報保護委員会規則は年明けに意見募集を行って次年度初頭には公布、ガイドラインはその後(来年5、6月)に意見募集を行って公表されることとさされています。

改正個人情報保護法の施行に向けパーソナルデータを取り扱う企業等は、個人情報保護委員会の動向を注視し、実務に即したルールメイクがなされるよう、意見聴取その他の方法によってコミットしていくことが求められています。

そこで今般の改正における具体的な改正項目・概要と施行に向けた対応を全4回にわたって解説していきます。

「令和2年個人情報保護法改正と施行準備等のポイント」
1. 個人の権利
2. 事業者の守るべき責務
3. 事業者による自主的な取組を促す仕組み
4. データ利活用に関する施策
5. ペナルティ
6. 法の域外適用・越境移転
7. その他改正事項
8. 継続検討事項等

「令和2年個人情報保護法改正と施行準備等のポイント」Vol.1:個人の権利

第1回は、「個人の権利」について解説します。

1.  個人の権利
(1) 短期保存データの保有個人データへの組入れ
(2) 利用停止・消去等の請求権の要件緩和
(3) 保有個人データの開示方法
(4) 開示請求対象の拡大
(5) オプトアウト手続の厳格化

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「令和2年個人情報保護法改正と施行準備等のポイント」Vol.2:事業者の守るべき責務/事業者による自主的な取組を促す仕組み

第2回は、「事業者の守るべき責務」と「事業者による自主的な取組を促す仕組み」について解説します。

2. 事業者の守るべき責務
(1) 漏えい報告・通知の義務化
(2) 不適正利用の禁止の明確化

3.  事業者による自主的な取組を促す仕組み
(1) 認定個人情報保護団体制度の拡充

詳細はこちらから

「令和2年個人情報保護法改正と施行準備等のポイント」Vol.3:データ利活用に関する施策

第3回は、「データ利活用に関する施策」について解説します。

4. データ利活用に関する施策
(1) 仮名加工情報制度
(2) 個人関連情報の第三者提供の制限等

【6/22更新】「令和2年個人情報保護法改正と施行準備等のポイント」Vol.4:ペナルティ/法の域外適用・越境移転/その他改正事項/継続検討事項等

第4回は、「ペナルティ」「法の域外適用・越境移転」「その他改正事項」「継続検討事項等」について解説します。

5. ペナルティ
(1) 法定刑の引き上げ
(2) 法人に対する罰金刑の最高額の引き上げ

6. 法の域外適用・越境移転
(1) 外国事業者に対する監督権限の拡充等
(2) 越境移転に係る本人への情報提供の充実等

7. その他改正事項
(1) 命令に係る公表その他改正事項

8. 継続検討事項等

9. 所感


Author

弁護士 日置 巴美(三浦法律事務所 パートナー)
PROFILE:2008年新司法試験合格。司法修習の後、 国会議員の政策担当秘書を歴任。その後、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室参事官補佐等として、2017年改正個人情報保護法の制度設計から施行準備までを担当。現在は、弁護士として、データの取扱いに係るプラクティスに広く関与しており、法令遵守、レピュテーションリスク、CSR、行政対応、危機管理等の多角的な観点から、事業規模等を踏まえたリーガルサポートを行っている。また、近時は、行政機関、企業等の検討会の委員としても活動している。

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