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事業部メンバーに伝えたい。ロジカルシンキング、デザイン思考からアート思考へ。そして混迷の時代に今必要な、4つ目の思考とは。

1)MECEであること - ロジカルシンキング

 「これでは前提に抜け漏れがあって、因果関係が説明できていないじゃないか!やり直し」クライアントや上司に怒られたことはありませんか?僕は今でもよくあります。。。
 そんなときに、ロジカルシンキング、意識してやってみましょう。
ロジカルシンキングは、目的(ゴール)がはっきりしているとき、結論や解決策を帰納的に導き出すことに役に立つ思考法です。
抜け漏れなく分析し、そこからしっかり説明がつくように論理を組み立てること。大きな決断とリスクを伴うビジネスの世界では、「説明責任」がとても重要です。「この目的のためには、この現象があり、この結果が予測されます。」「この現象にはこのような要因があります」など。つまり過去に起こった検証を分析し、再現するために、ロジカルシンキングは強力なツールになります。分析するときには、事象を抜け漏れなく整理し、議論を垂直に順序立てていくことがとても重要なのです。
 ワークプロデュース事業部でも、戦術を検討するときにはロジックツリーを使って、出来るだけMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)に打ち手を洗い出す作業をしています。

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 古くは1973年にアメリカで発表された『Pylamid Principle』。結論と根拠を多段に組み立てるピラミッドストラクチャのアイデアが示されています。日本でロジカルシンキングという言葉が広く知られるようになったのは、2001年の『ロジカル・シンキング』。当時工学部の学生だった僕はビジネスの世界を垣間見たような気がして、読みながらとても興奮したのを覚えています。ぜひ読んでみてください。
ちなみにロジカルシンキングを使い、不確実性をなくしていくことで売り上げにつなげていく方法は、図にすることこんなイメージですね。

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 黒い三角形を不確実性、赤い三角形を売り上げとしています。PJスタート時は不確実性がMAX、何も決まっていない状態。当然このタイミングでは売り上げはゼロ。PJゴールで不確実性がゼロで売り上げが最大になります。PJの進行に合わせて不確実性が少なくなっていくことが満足度につながるので、進行をクライアントと共有することが大切です。そしてこの思考法で仕事をする上で、一番大切なことは、「クライアントとゴールを共有してからPJをスタートすること」。そうしないと、いつまでたってもゴールにたどり着きません。まずはMECEに課題を整理し、抜け漏れがない状態でスタートしましょう。そして、「なぜ?」を5回繰り返して問題を深掘りしていきましょう。

2)潜在ニーズを掘り起こそう - デザイン思考

 分析思考であるロジカルシンキングが通用しないシチュエーションが多くなってきました。例えば不動産仲介営業の場合。これまでは①スケジュール②床面積③賃料④立地⑤ビルグレードという変数をいかにMECEに洗い出し、素早くクライアントニーズに沿った物件を提案・説明できるのが良い営業マンでした。何故ならば、それは「拡張移転」というクライアントのゴールがすでに決まっていたから。wiithコロナのこの時代では、そもそも移転の目的自体がクライアントの中で顕在化していないことが多い。キャッシュアウトを防ぐために一旦シェアオフィスに入居し、半年後リモートワーク前提のオフィス面積で移転、というような場合は、クライアントの求めるニーズを一緒に掘り起こしてあげる必要があります。

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 プロジェクトの最初にむしろ不確実性を洗い出し、潜在的なニーズも顕在化させること。クライアントと課題を共有できれば、その分売上も上がる構造です。
 そのときに必要なのがデザイン思考です。デザイン思考は、まず思考を発散させることによって、可能な限り多くの解決のための選択肢を探り、その後収束させて可能性を一つの最終案に絞り込んでいく手法です。「厄介な問題(wicked problems)」、つまり明確に定義させていないため扱いにくい問題に対して効果的です。つまりPJのゴールをクライアントと一緒にデザインする、という姿勢が大切になります。ゴールが決まればあとはロジカルシンキング。不確実性をどんどんやっつけてプロジェクトを実現していきましょう。
 ではどうやるか?ヒントは「水平思考」にあります。ロジカルシンキングが、ゴールが決まった状態の中で掘り下げていく「垂直思考」だとすると、デザイン思考は「水平思考」です。例えば、お客さんの「今は小さい面積でいいんですよね。」というコメントの裏には何があるのか。そのニーズは何か別のもので代替できないのか。言葉の裏に潜在的なニーズが隠れていないか?前提を疑ってみましょう。見えてくるものがあるはずです。例えば、こんな問題がデザイン思考の考え方をよく表しています。

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 Afterコロナの営業戦略立案などはこのデザイン思考が必須になってきます。そもそも前提やゴールが誰もわからない状況なので、今のタイミングで抜け漏れなく変数を定義することは不可能。まずは可能性を広げるべきタイミングです。今は水平思考で色々なことに愚直にチャレンジしながら、掘り下げるべきイシューを集めることに協力をお願いします。色々予想して未来予想するよりも、現場で起きていることに大きなヒントがあるはずです。

3)それは本当に自分が欲しいものなのか? - アート思考

 ここまでロジカルシンキングとデザイン思考について説明してきましたが、これを視点とニーズの種類で4象限に分けて考えてみます。

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 ロジカルシンキングは他者視点・顕在ニーズを扱い、デザイン思考は他者視点・潜在ニーズを扱う手法です。つまり、実はこの2つは実は同じことを言っているのです。ロジカルシンキングの拡張版がデザインシンキング。あくまでも他者のために、どう思考するか。すでに顕在化している領域を扱うのか、潜在的な領域まで掘り起こすのか、の違いです。ですので、フロントマンはデザイン思考→ロジカルシンキングの順番でそれぞれを使いこなせるようになると強いです。ちなみにウチのバックオフィスの乙津さんの会社が合同会社バックオフィスデザイナーですね。ロジカルさが大切なバックオフィスでもデザイン思考がとても重要な時代です。
 それでは、自分主体かつ潜在ニーズを扱う思考は何か。これはアート思考と言われます。デザイン思考はあくまでも顧客視点であり、ユーザーとの共感をベースに試行錯誤とプロトタイピングによってサービスやプロダクトを作っていきます。いっぽうアート思考は、自分たちがどんなサービスを作りたいのかを考え、それぞれの「らしさ」をベースにサービスを作って行きます。
 このアート思考は、多様化する時代を切り開く大切な考え方だと思っています。解決策ありきではなく、「問い」をたくさん集めること。SNSによって自己を発信することが当たり前になった現代では、自分らしさを掘り下げてサービスやプロダクトに活かしていくことで、コアなファンを獲得することができます。そのために革新的な企業は、多様性を担保するために一つの大きなストーリーだけに全てを賭けるのではなく、小さくても多様なストーリーを守り、育てる環境を作っていきます。ヒトカラメディアもそんな会社で居続けたいですね!

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 ただ、アート思考を明日からやりましょう、といっても難しいですよね。そのための内省の時間や振り返りの時間、メタ的に自分を眺める時間を日常の中で無意識に確保することは難しい。ですので、休みの日はぜひ美術館にいくとか、自分の家に花を飾るとかから始めましょう。ここでのポイントは、評価しないこと。いいね!だけではなく、うーんわからん!キモい!といった感情も、自分の中に結論を出さずに受け入れる訓練をしましょう。そのためには、理解しがたいことにたくさん触れることです。自分のセンスにそぐわない花も飾ってみて楽しむスタンス、ですね。
 マインドフルネスもとても内省にはいいツールです。次回はこのあたりのアートと仕事の関係についても書いていこうと思います。
 ちなみに僕のデザインブランドは「MINE」。自己を掘り下げた先に埋まっているイノベーティブな爆発力を表現したいと思って、活動しています。自分の考えを表現するチャンネルを別に持つことも重要になってくる時代かもしれません。

4)最後に - コレクティブ思考

 過去や未来にとらわれず、今ここ、を意識しながら自分の内なる声に耳を傾け、それを何らかの表現にサービスやプロダクトに注ぎ込むことがアート思考を使ったビジネスです。ただ実際は、起業でもしない限りそのステージに立つことは難しい。その世界でよっぽど実績を積んで認められない限り難しい。(逆に言えば、それならば起業してしまおう、というのもあるのですが。)
 でも、実は僕たち一般の人々でもできるアート思考があるはずです。そう、自分主体・健在ニーズの象限です。

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 コロナウィルスの猛威は、社会的な様々な場所で、人々の潜在的なニーズを顕在化させました。今のやり方では、不動産業界がビジネスのスピードにフレキシブルには対応できないことや、リモートでもほぼ全ての業務が代替できること、でも集まる場所はとても大事だと気づいたこと。このような顕在化されたニーズが市場にあふれている。これはマーケティングによって気付かされたり強調されたものではなく、それぞれが個人として実感したことである、というのが大きい。
 こんな時代だからこそ、自分だけを掘り下げて内省するだけでなく、多くの人の体験をつなぎ、フィードバックと共有し合うことができれば、より多くの問いが集まるのでは?と思っています。
 単独ではなく複数でチームアップし、情報とプロセスを共有し合いましょう。その集団的な主体性を一つのプロセスとして捉えることができれば、「自分らしさ」、ではなく「自分たちらしさ」を表現することができる。そのためには、まず発信すること。そして発信することによって他者からのフィードバックが得られる。他者の気づきや問いを自分ごとにしていくことができる。
 そして、プロセスを共有するためには僕たちの得意としている、ワークショップやコレクティブインパクトのためのファシリテートが使えます。
そこまで深く掘り下げなくてもいい。簡単な顕在化している問いでもいいです。まずは自分の考えや体験を発信すること、そしてそのフィードバックを受け入れる文化を作ることが大切です。事業部としても、様々な人々の「問い」やイシューを集めたカタログを計画中です。コレクティブなアートプロジェクトになると思いますので、自分たちだけでなく、周りの人も巻き込んでぜひ参加してください。
 では、このような集団でのアート思考をなんと名付けようか?これを僕は「コレクティブ思考」と名付けました。名付けたのは今日です。でも、これまで言語化できていなかったけれど、事業部のコンセプトもそのように作ってきました。プロジェクトオーナー制度と集団知による学び合いのステップ、主体性を失わないための権限委譲、個人のビジョンと会社のビジョンを最大化するための目標設定やPJアサインなど。
 この投稿も集団でのコレクティブな学びの一つになりますように。

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ヒトカラメディアでは、こうした施設やオフィスのこれからの姿を描いたビジョンブック「Jump out, Play work!」を準備しております。関心のある方はこちらからお問い合わせください。

“ヒト” カラ ”メディア”
ワークプロデュース事業部 事業責任者
三浦 圭太
https://hitokara.co.jp/

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