営業vsマーケ

うちの会社(大手化粧品会社)では、私が入社した2006年当時、新入社員は(一部の研究職や工場職を除き)必ず営業現場を経験させられた。

営業現場こそが、お客さまに商品を買ってもらう最前線であり、そこを知ることで、マーケティングやロジスティクス、その他のスタッフ部門も、営業現場に思いを馳せながら仕事をする事が出来る(はず)。

そういう意図があったのだろうと思う。

ただ営業現場にいると、どうしても本社のマーケティング部門が考える施策が、得意先や現場にフィットしない、なんて事はよくあって。なんで、こんなにズレたこと企画するかねー?なんて思ってたものだ。

実際BtoBtoCのビジネスをやっている以上、ある程度得意先の意向もくみ取った施策を組み立てないと、営業も得意先協力を引き出せず困ってしまう、ということが多々あるので、私のみならず、他の営業たちもマーケのたてる施策に文句を言いがちだった。

その後、私は本社(法務部)に異動し、マーケ部門含む本社部門の組合の支部長をしたので、その中でマーケの人たちから話を聞く機会も結構あり。

逆に、彼らマーケからすると、同じ社内の人間なのにマーケティングの意図を理解してくれず、施策をちゃんと温度感をもって得意先に伝えて実行に移してくれなかったり、逆に得意先の希望(ワガママ)をそのまま社内で通そうとしたり、ブランド価値を守らないような売り場を作ってしまったり、「営業がやる」といった数字が全然見込み違いで、商品在庫がめちゃ余るということもあり、「うちの営業はまったく!」となってしまう面も多々あるようだった。

そういった理由で、マーケと営業はえてして対立しがちである。

またマーケと営業の関係性ではなく、それぞれの機能・イメージで見てみると。

営業は何となく泥臭いイメージがあり、マーケは華やかでクリエイティブなイメージがある。だから、入社は営業職でも「いつかはマーケ部門へ」と考えている同期は多かったし、最初から職種別採用している会社とかだと、マーケはかなり狭き門だったりする。

だから何か変な社内ヒエラルキーみたいのがあって、マーケが上で営業は下、みたいな雰囲気があるような気もする。(実際には役割が違うだけだし、マーケも地味な作業の繰り返しのようにも見える)

でも、先日うちの会社のマーケから、他社の営業職へ華麗に転職していった優秀な同期とランチしながら話していて。

彼は、営業とマーケを比較してこう言っていた。

「マーケはお客様調査とかはするが、実際に商品を使っているお客様のことは見えづらい。そして営業や研究所、ロジ等のメンバーに動いてもらわなきゃいけないので、意外と社内調整が多い。でも営業は、自分で顧客の課題解決が出来て、それにより直接お客さまが喜んでくれる様子が見える。すごくやり甲斐がある。」

彼も最初は営業職で入社し、そこからマーケ部門に異動し、数々のヒット商品やブランドを生み出し、そして今(他社だけど)営業職になったからこそ、改めて見える営業の景色があるのだろう。

いずれにせよ、問題は。
マーケと営業がなかなか相容れない、お互いに理解し合うことが難しい存在だということ。マーケから営業まで一気通貫でイチガンとなって、施策構築から施策実行まで行い、PDCAを回しながらより良い提案を得意先にして、その先のお客さままで価値を届けている会社組織(ブランド)は少ないように思う。(特にB to B to Cの世界では)

なので、ナイキが販売店契約をすべて解約し、直営店やECのみでの販売に、流通政策を切り替えたのは頷ける。その方がよっぽど、自分たちのやりたいことが試せて、ブランド価値も守られるから。(得意先への営業も不要になる。代わりに販売経路はかなり数少なくなってしまうけど。)

ただ、いま営業をサポートする業務をする中で、BtoBtoCでも、本当はこういう形でもっと営業とマーケが協力出来るのになーと思うことはよくある。

例えば。
うちの営業現場というか、その先の販売現場にいる美容部員さんたち。この人たちは、日々店頭に立ち、お客さまと向き合い、商品の提案をして販売をするのか仕事だが。

そこでは、どんな年代のどんな価値観のお客さまが、どんな課題意識を持って、どんな商品を探してるのか、といった、マーケティングで一番重要な顧客情報をリアルに持っている。

これは本来、マーケティング部門が百万円以上払って調査する情報。でもこういう情報ってあんまり活用されてない気がするし、美容部員の役割として市場調査は定義されていない。

あとは、スモールテスト。
テストマーケティングや、テスト商品を現場でスモールな範囲でやってみて、その結果を踏まえて、全国展開するかどうかを試してみる。そんな形で協同することはできる気がする。得意先はよく、うちの系列だけの専用商品があると嬉しい、なんて声はよく聞くので、そういう意味でもテストマーケティングは理にかなってる。(先行者利益がとれるはずなので)

うちは大手化粧品会社なので、なかなかマーケと営業の距離が遠いが。これだけ消費者のニーズも多様化して、消費者への届け方も難しくヒット商品が生まれづらい中、マーケと営業がお互いに対等に情報交換しながら、市場にトガッた商品やサービスを仕掛けていくような事が出来ると面白いのになぁ。

そんな葛藤と希望を胸に抱きながら。
マーケと営業に挟まれる「営業サポート」の業務をしていると、そのバランスの取り方が難しいなと思う。

マーケの視点と営業の視点を両方持って、時に営業にモノを言い、時にマーケにモノを言う。そんな事が求められている気がするけど、それがなかなか難しい。(営業サポートという名前だし、上長も含めてえてして営業側に立ちがち。でも全社最適やお客さま最適で考えるとそれでいいの?とも思う。営業はえてして目の前の短期的な数字を追いがちなので中長期的な視点が抜けがちなので)

悩むなぁー。

4〜6月は、そんな営業とマーケの間に挟まれたプロジェクト2つと、プライベートではPTA活動構築と、なかなか忙しい日々になりそう。

頑張れワタシ。
潰れない程度に。笑













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