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北欧デンマークのアウトドアライフ

「ちょっと散歩に行かない?」ある日、デンマーク人の友人に誘われて、近くの海辺に散歩に出かけた。そこでは散歩や乗馬、ピクニックをしている人が居て、私たちもおしゃべりをしながら散歩を楽しんだ。

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(c)2019 Shoma Fushimi All rights reserved.

「仕事が終わったら珈琲を持って散歩に行くか、焚き火を囲んで友達と話したり。週末はカヌーやキャンプに行くことが多いかな。」友人に余暇の過ごし方を訊くと、笑顔でそう言った。デンマークをはじめとする北欧諸国は日本に比べて人口密度が低いため、街と自然が隣り合わせにある。みんな、自然を日常的に感じて、そして楽しんでいる。
北欧でアウトドアを楽しみたいという憧れを胸にデンマークに渡航して、今では実際に自然を感じながらアウトドア文化を学び、楽しんでいる。

デンマーク流キャンプ

 デンマークはキャンプが人気で、日本のようなキャンプサイトがいくつも経営されている。だけどここでは「キャンプサイト以外」で楽しむ、デンマーク流のキャンプについて紹介しようと思う。
 1人か2人でキャンプをする場合、森の中や湖畔、海辺や草原など、自分のお気に入りスポットにテントを張って「自分だけのキャンプサイト」にできる。好きな場所にテントを張り、珈琲を飲んで焚き火をして、ゆっくりのんびり自然の音や匂いを楽しむ。
 ある日、友人達と湖畔を散歩していたら、一張りのテントと釣りを楽しんでいる男性を見つけた。バーナーなど調理器具があるので、釣った魚をその場で食べるつもりなのかも。キャンプ場でも何でもない場所に張られているテントを初めて見たときは、とても驚いた。デンマークでは、こんは風にキャンプを楽しむことができるのだ。

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 デンマークをはじめとする北欧諸国では、「自然はみんなのものだから独占してはいけない」という考え方のもと「自然享受権」という慣例法が制定されている。これは誰でも国営地、市営地で自然の恩恵を享受できる権利で、カヌーや乗馬、キャンプやハイキングを楽しめる。ベリーやキノコの採取も可能で、釣りや狩猟も一部制限があるものの可能である。
 デンマークは他の国に比べて人口密度が高いから、かなり制限があるらしく、「自然保護法」という名前なんだとか。確かに「キャンプ禁止」や「焚き火禁止」「立ち入り禁止」などの看板を、しばしば見つけることがある。だけど、日本人の私の感覚からすればとても自由に楽しめるように思う。
 この「自然享受権」を行使できるから、自分のお気に入りスポットでキャンプを楽しむことができるのだ。

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(c)2019 Shoma Fushimi All rights reserved.

グループでキャンプをする場合、木製のシェルターを利用することができる。デンマークでは森の中や海辺などにシェルターが設置されており、お気に入りのシェルターを見つけて自分たちで掃除して、キャンプを楽しむのだ。ほとんどの場合、ベンチとテーブル、焚き火スペースが併設されている。「キャンプサイトを探すのもいいけど、シェルターを見つけるのも楽しいよ。」キャンプ好きの友人は、よくお気に入りのシェルターを新たに探しに行っている。
 シェルターはキャンプだけはなく「ちょっと外で食事を楽しむ」ときにも使える。知人は自分の庭にシェルターを持っているので、たまにお外ランチに誘ってくれる。食材と食器を運び、焚き火でパンを焼いてスープを作り、ハーブを摘んで盛り付けてランチを楽しむのだ。

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 (c)2019 Shoma Fushimi All rights reserved.

デンマーク文化の一つに「Hygge(ヒュッゲ)」というものがある。居心地の良い空間で、家族や友人とほっこりした時間を過ごすことを表す言葉だ。日常の中のほんのひと時でも、お気に入りの場所や方法で自然を感じながら「Hygge(ヒュッゲ)」を楽しめるのがデンマーク流アウトドアの醍醐味なのかもしれない。

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Photo by Maria Anna Sofie Sichuan


キャンプ好きの友人のお気に入りスタイルは、カヌーの後に海辺のシェルターで仲間と美味しいご飯を作り、焚き火を囲んで「Hygge(ヒュッゲ)」を楽しむことだそう。
ちなみにこのシェルター、無料のものと有料のものがあり、有料の場合は25デンマーククローネ(約400円)程度の利用料を払う必要がある。人気スポットのシェルターは、事前予約が必要なんだとか。


自然を楽しむということ

 デンマークなどの北欧諸国では「自然はみんなのもの」という考え方で、自然を自由に楽しむ権利を得られる。一方で、「自然はみんなのものだから、みんなで守る」という意識も根付いている。ゴミを捨てない、自然を破壊しない、他人の家に入らないなど、「みんなの自然」をそれぞれが尊重し、秩序を保っている。ルールーやマナーの様に厳しく定められているというよりは、それぞれが日常的に自然を楽しむのと同時に心がけて守っている。

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(c)2020 Shoma Fushimi All rights reserved.


 安全面についても、キャンプサイトを利用しない以上、怪我や病気の際は自分で対処をするか、自力で病院に行く方法を探さないといけない。「自然を楽しむためには自然のことを尊重して、よく知らないといけない。自分のリスクは、自分で負わないといけないから」と言われたことが印象に残っている。自然を尊重し、みんなで秩序を守り、それぞれのお気に入りのスタイルで自然を楽しむ。気負わずに、でもそれぞれの責任で自然と自分の安全を守る。当たり前のことだけど、これからもそのことを忘れずに自然を感じて、楽しんで、アウトドアライフを満喫したい。

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