青色のコンビニで恋をした(2/28〜その日は前触れもなく…
2月28日
コンビニ深夜勤のバイトの子に恋をしている。
気がついてしまった。
彼女の手がキレイなのだ。
色白で、関節が骨張ってなくて指が長い。そしてお釣りを渡すときの所作がまた美しい。バレエでもやっていたかのような指先まで行き届いた動き。
今週は始まったばかりだけど、週末には宮古へ帰るのかな。
3月1日
午前4時を少しまわる…
こんな時間まで彼女は待っていてくれた。
もちろん仕事だから当たり前なんだけど、なんとなくそんな気持ちになってしまう。思わず
「何時まで?」
と訊いてしまった。
彼女は
「デートに誘おうったってダメですよ」
と悪戯っぽく微笑む。
アハッ(°▽°) 100点です!いや、120点満点です!もうズキューンだよ。
3月2日
久しぶりにボンビーと出会う。
だいたいコンビニといえば、ジーンズに制服の上着なんだけど、ボンビーに限っては下が黒のジャージなのだ。古い例えだけど、ちょっとショッカーぽいフォルム。
そしてボンビーは喋るとき、何故か小さな「っ」が言えない。
「いらしゃいませっ!」
なのである。
3月3日
「田舎のひな人形ってすごいんですよ!どこの家も7段飾りとかで…」
いつになく彼女が熱弁している。
「今は妹のものになってるけど、わたしがこっちに来てからも毎年飾っていて写メが送られてくるんですよ!」
と、何やらガラケーを春奈に見せている。
彼女が楽しそうなだけで、おじさん幸せだ。
3月4日
レモンティーと惣菜パンをレジにいる彼女のところへ。
彼女はバーコードを読み取りながら、
「えっ…指…」
と呟いて
「ちょっと待ってくださいね」
と、慌ててバックヤードに走っていった。
手指の痒みに耐えられず、つい引っ掻いてしまい、関節の柔らかいところが裂けて血が滲んでいたのだ。
僕はアレルギー体質で、ちょっとしたことでアトピー反応が出たりする。
わかっちゃいるけど、つい血が出るまで掻いちゃうのだ。
彼女は絆創膏を手に戻ってきた。
「はい、手、出して」
僕は素直に手のひらを彼女に差し出した。
「えー…痛いですよね…」
と、加減しながら絆創膏を巻いてくれる。
白い指先が温かい。
キティちゃんの水色の絆創膏はおじさんには不釣り合いだけど、それよりも彼女が俯いたときの睫毛の長さにドキドキして、
「出来た!」
と得意そうな笑顔を見た瞬間、意識が思いきり跳ねてしまった。
そのときの僕はタジタジで、お姉さんと坊やのような、そんなかっこ悪さだった。
3月5日
ボンビーがバングラディシュ出身なのが判明した。
「日本で暮らすタイヘンです」
と春菜に熱く語るボンビー…
「バングラディシュはこんな寒くない」
www そういうことか。
いつもジャージなのが問題だろw
と思いつつ、洋服買うのは案外大変なのかもなぁとちょっと考えてしまった。異国の地だもんな。
3月6日
今日は日曜日だったので、コンビニに行くことがなかった。
あくまでも仕事の帰りに寄る(たまに仕事前に寄ることもあるけれど)だから、日曜は誰が深夜勤やってるんだろ?とか思う。
ちなみに彼女が言うには、深夜勤は22時〜6時で6時〜9時の人と入れ替わるとのこと。24時間営業はやっぱり大変だなぁ。
3月7日
いつも居るはずの彼女が今日は入っていない…そうか、いよいよ宮古に帰省したのか。
1週間くらいって言ってたけど、そんなに休めないだろうし帰ってくるのは12日くらいかな?
なんていうか、彼女に限らずみんなのシフトが生活のリズムみたくなっちゃって、それが崩れると寂しいっていうか変な感じだ。
3月8日
コンビニに寄ってみたけど、なんとなく気分が浮かない。
いやまぁ彼女がいないってだけで、もちろんいない日も変わりなく通ってはいるものの、なんとなく乗らない自分がいる。
そんな日もあるよね。
久しぶりにオニギリを買ってみる。
ただ、温めてくれるのはボンビーだけど。
チーン( •́ .̫ •̀ )
3月9日
そぼ降る雨のなか、コンビニに車を走らせる。
さらさらと柔らかい天然のシャワーは、花粉まみれの車を都合よくきれいにしてくれた。
思ったより寒くない。
薄手のコートを助手席に置いたまま、小走りで店内へ。
またボンビーかよ…
角刈りもいるのか!
まぁそれはそれで安心感あるコンビだよね。
3月10日
明日11日は東中野で今泉監督のトークショーがある。本当はこういうの行きたいんだよなーと思いながら深夜のコンビニへ。
まぁ明後日は娘が通う高校の卒業式だし、大切な時間はまず家族優先か……なんて愚痴っぽく呟く。
そんなことお構いなしにボンビーは無駄に元気だ。
暖かくなってきてよかったね。
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