青色のコンビニで恋をした(1/29〜君の名は
1月29日
あまり女性の胸を見てはいかんだろうと、いままで彼女のネームプレートをチラッとしか見ていなかった。
気づいてしまった…
彼女の名前には「米」の字が使われていて、勝手な先入観から「ヨネ」と読むものだと思ってたけれど、ネームプレートをよく見たら「マイ」と小さく書いてあった──!マイ子じゃん!
1月30日
コンビニ深夜勤のバイトの子に恋をしている。
名前について彼女に聞いてみたい欲が頭の中を支配している。
ちょっとプライベートに踏み込み過ぎじゃないか?という自分と、いいチャンスじゃないか!という自分…。
でも悩んでるときってだいたい答えが決まっていて、その勇気があるかどうかだけなんだ。
2月1日
ここ最近の鳥インフルエンザの猛威とは関係ないだろうけど、春菜も角刈りもマスクをしている。ふつうにインフル予防か…。
接客業は予防っていってもマスクぐらいしかないもんなぁ。と、ぼんやり彼女のマスク姿を想像していたら、角刈りに「お、お釣り…」と、待たせてしまった。
我ながら恥ずかしいw
2月3日
恵方巻に20円引きシールが貼ってある。
戦いの名残りを感じてしまった。
深夜勤のリーダー春菜はリーチインでドリンクの補充をしている。
「恵方巻はいいか…」
と、半ば見ないことにしようとした瞬間、バックヤードから彼女が現れた。
僕は慌てて恵方巻を手に取り、急ぎ足でレジへ向かっていた。
「あの…前からちょっと気になってて…名前の(米)の字を(ヨネ)じゃなくて(マイ)って読ませるの、珍しくないですか?」
「あっ…気づきました? そうなんです。わたしも地元にいるときは気にしてなかったんですけど、こっちに上京したら珍しいみたいで…東北では割とふつうなんですよ」
秋田美人か?
「へぇ──!東北って?あき…」
「岩手なんです…わたし。宮古って知ってます?浄土ヶ浜とか近いんですよ」
秋田じゃなくて岩手か…
「浄土ヶ浜って、青の洞窟がある?」
「そうそう、それです!すごい!ご存知なんですね!」
彼女の笑顔がこんなに見れて、話しもできて、卒倒しそうな夜である。
2月4日
コンビニ深夜勤のバイトの子に恋をしている。
今日の彼女は、リーチイン(冷蔵ドリンクコーナーの裏側)にいて、ボア付きアウターのフードを被ったまま店内にピョコンと顔を出すと、ほんの僅かだけ小首を傾げて会釈…また裏に消えていった。
…トクンッ
ドキドキが境界線を越えちゃうじゃないか──!
2月5日
ボンビーがスポーツ新聞を並べている。大相撲八百長問題でなんちゃらとか大見出しがチラッと見えた。それにしても寒い。ボンビーは灼熱の国から留学してる(多分)のに寒くないのかな?ジャージで…と密かに思う。
もしも、国に彼女を残して日本に留学している…とか、そんなことないよね?
人間模様。
2月7日
月曜日。出勤前にコンビニに寄る。ほぼ毎夜通っているから明るいときのお店は不思議な気持ちになる。
主婦と思われる人がレジを担当…できる…。
手際のよさとか「あぁ熟練ワザだなあ…」なんてぼんやりと考えていると、バックヤードから春菜が現れた。
リーダーは昼勤もたまにやるのか…すげえな。
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