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Stones alive complex (Koroit Boulder Opal)

オープンワールドは、ますますゲースロのシナリオじみてきており。
ローカルワールドでは未だに単一民族だと信じて疑いもしてない層と、とっくに多民族国家になっていることを認識してる層とが、前提条件の相違からの噛み合わない政策論争をとことん不毛なものにしていた。

かなり高位のポジションまで、多民族しているようだ。
個人のアイデンティティと無自覚に紐づいてる国民的価値観が喪失するというより、すでに喪失していることを人より数年のタイムラグをおいて突然自覚すると、朝起きたらいきなり異世界で目覚めたような鈍器の衝撃になるから要注意。

その鈍器の衝撃を、せめて有効活用してみる。
自尊心を成り立たせていた土台の遺跡の、衝撃で割られた亀裂部分をさらに掘り起こす。

思考実験で掘り下げた遺跡のルーツは、意外にも先ほどの話とはジャンルが違う異世界のものだった。
そこに埋まっていたのは、ひと組の男女。
これはあえてに間違った言い回しになるが、ふたりは天然のバイオテクノロジーで作られていた。
これはあえての比喩ではない言い回しになるが、
女には扉があり、男は鍵を持っていた。

「いつまでたっても扉が開かないから、
製造者様はお怒りになってるかな?」

発掘された男は、心細げに言う。

「自分を怒らせるようなものを自分で作ったんなら、
それは製造者側の自己責任じゃなくって?」

同じく発掘された女は、肝が座った理屈を言い、

「被製造物の立場では、起動するトリガーを待ってるしかないのよ」

「確率論で計算すると、扉と鍵がぴったり合致する組み合わせが出会うのは、ほぼ不可能なんだよね・・・」

「切羽詰まった状況は、確率論を超えるのよ。
それに、生物はいつも確率論には従わないし」

「扉が開いた先は、どんなとこなんだろう?」

「そっちを説明できる言葉は、まだこっちには存在してないわ。
つまり。
話が噛み合わない人種の層が、ひとつかふたつ新しく増えるわね」

(おわり)


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