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菅政権の新型コロナ対策は「ハンマーを捨てたダンス戦略」② ~今すぐ「封じ込め戦略」に舵を切れ!

前回、菅政権の新型コロナ対策はハンマーを捨てたダンス戦略』①」で、日本政府の新型コロナ対策が、結局は、国民の命や健康を犠牲にした経済至上主義の「放置路線」でしかないことを指摘しました。       今回はその続編で、新型コロナ対策を成功させる必要条件についての私見を述べます。

当然のことですが、まず、「GO TOキャンペーン」は、きっぱり中止する必要があります。                           しかし、それだけでは全く不十分です。                キャンペーンの中止は、火事にガソリンを投じることを止めたにすぎないからです。

大切なのは、燃え盛った炎を消すための戦略です。                                             前回書いたように「集団免疫戦略」と「ハンマー&ダンス戦略」は、全く使い物にならないダメな「戦略」であることは明らかです。        これらの戦略を採用した国は、例外なく感染対策に失敗して、軒並み経済的にボロボロになっています。                     新型コロナを制圧しない限り、安心して持続的に経済を回すことは不可能なのですから、失敗するのは必然です。

逆に台湾、中国、ベトナム、ニュージーランドなどのように「封じ込め戦略」をとった国々は早期に感染を終息させ、それに伴って経済も順調に回復して来ているのですから、その優位性は明らかです。

ここまで市中感染が広まってしまった日本で新型コロナを封じ込めるには、思い切って一旦「ダンス」することをやめ、強力なハンマーで新型コロナに鉄槌を下して、一気に制圧する戦略しか残されていません。

それは、これまでとは全く正反対の戦略を採用するという事です。                                      関連法案を通すために、多少の準備期間は必要になるかもしれませんが、準備が整い次第「緊急ロックダウン宣言」を出して、3週間の強力なロックダウンを行うのです。以下は、具体策です。 

〇直ちに完全な入国制限を行うこと(人的鎖国)。            〇補償を伴うロックダウンを実施して、人の移動を8割以上減少させること。                                〇医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカー、電気・ガス・水道、交通・運送、スーパー・コンビニなどのライフライン従事者などを除く社会・経済活動を一時停止して、その他の国民は原則自宅待機とする。       〇ロックダウンに伴う就労者や企業、個人事業主等の収入減少分に対しては、日銀券を増刷して政府が十分な補償を行うこと。         
〇ロックダウンと並行して、大量の全自動PCR検査機による社会検査や無症状者も含めた大規模PCR検査を実施、感染者の早期発見・隔離・治療を強力に推し進めること。                         〇学校の一斉休校を実施すること。                   〇大規模新型コロナ専門病院を早急に複数建設すること。募集するスタッフには割増給与を支給すること。                      〇五輪中止を宣言して五輪選手村や大規模スタジアム、体育館等を隔離施  設として整備する他、野戦病院のような臨時病棟、宿泊療養施設を大量に建設すること                                                                  〇予備費とGO TOキャンペーン関連予算の残額、五輪関係予算その他で、10兆円以上を医療・感染対策関係機関に投入すること。          

一見、荒療治に見えるかもしれませんが、何よりもこれが経済を回す一番の早道です。

安倍政権から現在の菅政権まで、これまで政権与党がやってきたことは、一時的な出血を惜しんで、戦力を小出しにして逐次投入し続けた結果、各個撃破されて、結局連合軍に大敗した戦前の日本軍と全く同じです。全戦力を一点に集中して一気呵成に正面突破を図ることなしには、新型コロナに打ち勝つことはできません。

緊急事態宣言によるGDP減少額は研究機関によってまちまちですが、1回につき1.5兆円~4.7兆円と試算されています。何回も行えば合計額は軽く10兆円を超えてしまう計算です。しかも「ハンマー」を止めて「ダンス」に移行すればまた元の蔓延状態がぶり返すのできりがありません。

そんな無意味なことを繰り返すより一度に50兆円程度を投入して、一気に新型コロナを完全に収束させたほうが長い目で見て安上がりです。終息後に経済をフル回転させれば、十分元は取れる上におつりまでついてくるでしょう。要は政権側にその覚悟と度胸があるかどうかです。

似たようなことは、かつてニュージーランドが二度目のロックダウンで実施して成功しています。現在も感染者が一人出ただけで三日間のロックダウンを実施しています。政府が確固とした方針を立てて決断しさえすれば、実行は十分可能なのです。

資金は予備費と新たな国債発行で賄うことになります。こんなことを提案すると「日本の累積債務が急増して財政再建が余計困難になる。デフォルトしたらどうするんだ。」という声が聞こえそうですが、財務省自身が言っているように通貨発行権をもつ日本がデフォルトする心配はありません。

今更出来もしない財政再建の心配をするより、現在のコロナ危機を乗り切るほうが最優先課題です。プライマリー・バランスのことは、コロナが収束してからゆっくり考えても遅くはないのです。                                                             

以上のような戦略を実施すれば、3週間で新型コロナを終息させ、その後は、国民の生活を元に戻して、通常の経済活動を力強く再開させることができるはずです。そうなれば、ロックダウンによって生じた経済的損失分は短期間に取り戻すことが可能です。            

世界一の衰退国家と言えども、日本には、まだそれができるだけの底力が残っていると思います。

菅政権の新型コロナ対策はハンマーを捨てたダンス戦略』」①と③は、こちらです。



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