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政府の借金を国民の借金にすり替える「財務省の洗脳キャンペーン」(後編)

ここまで財務省が振りまいてきた「国の借金」デマについて書いてきました。後半は累積債務の解消は果たして可能なのか、累積債務をこのままにしておいて日本は大丈夫なのかという問題に焦点を当てます。

消費増税による累積債務解消は可能か?

テレビや新聞、雑誌などで、「このまま財政赤字が増え続ければ、そう遠くないうちに日本経済は破綻しますよ。」と危機感を煽っているエコノミスト(アナリストも含む)をよく見かけます。

では、彼らの財政赤字に対する処方箋は何かと言うと、共通しているのが国民に対する増税で、その中心は消費税の大幅増税。                  法人税の増税や富裕税、金融資産税、大企業の内部留保税などの創設なら大歓迎ですが、そんなことを主張する者は皆無であくまで消費増税一本鎗。 

中には消費税を30%まで上げる必要があると主張するトンデモ論もありますが、そうなって一番喜ぶのは誰でしょう?
そう、財務省ですね。
財政危機を煽って消費税の値上げに誘導するエコノミストは、まず政府・財務省の回し者と見て間違いはないでしょう。

しかし、これ以上消費税を上げれば今でも低い国民の消費マインドや民間投資に大打撃を与え、現在よりももっとひどい長期大不況に陥ることは必至です。当然、税収も消費増税前より落ち込みますから、財政再建は更に遠のきます。本末転倒とはこのことで、一体何のための消費増税なのかさっぱり分かりませんね。

消費税のこれ以上の増税に日本経済は耐えられず、「アベノミクス」というインチキ・アホノミクス、二度に渡る消費税の値上げによる深刻な経済的ダメージ、新型コロナによる経済活動の落ち込みなどのため弱り切った日本経済を地獄の底に突き落とし、最後のとどめを刺すことになるでしょう。

消費減税すればかえって税収は増える

急がば回れで、単年度の財政赤字を少しでも減らす一番の早道は、消費税の廃止です。増税とは真逆で、減税によって国民の消費意欲や企業の新規投資を喚起し、景気をよくして税収を増やす政策です。長期のデフレスパイラルによって弱り切った日本経済の回復のためには、消費税の廃止が最も効果的な治療方法なのです。

消費増税と反比例してどんどん減らしてきた法人税や高額所得者の課税率を見直し、出来るだけ元の税率に戻すようにすれば税収が増えて、更に効果的です。これはアメリカのバイデン政権が進めようとしている財政政策と同じです。

しかし、消費増税に凝り固まり、一度手にした財源は絶対に手放したくない財務省は、消費税の廃止など論外で消費税半減にも大反対。財務省に洗脳されている与党議員も消費増税賛成派が大半というのが現状なので、自公が与党である限り、消費減税による景気回復の可能性はほぼゼロです。   

現在はコロナ禍なので消費増税に向けた議論を控えているだけで、コロナ禍が収束すれば「コロナ復興」などの名目で、またぞろ消費増税を言い出すのは目に見えています。

超緊縮財政による累積債務解消は可能か?

増税も好景気による税の増収もままならないのなら、残る手段は超緊縮財政しか手はありません。

仮に100兆円の歳入があったとします。
社会保障費、地方交付税交付金、公共事業など国債関係費を除くすべての歳出を一律50%カットすれば、確かに単年度分の赤字国債、建設国債の新規発行は必要なくなり、プライマリーバランスも均衡します。
しかし、ここまでが限界で新しい借金はしなくてよくなるものの、肝心の累積赤字の返済に回す財源は最早1銭もありません。

また、国民生活に直結する社会保障費などを大幅カットすれば国民の不満が爆発すると同時に公共投資による国内需要が激減するので、政府発の大不況に陥ることは必至です。そんなことをした総理はすぐに退陣させられるでしょうから、こんなバカげたことは当然誰もやりたがりません。

積みあがった累積債務の解消は事実上不可能

結局のところ、ここまで積みあがった日本の累積債務を解消することは、今更どうあがこうと事実上不可能だということです。また、世界の近代史を見渡しても、戦争、内乱、革命などを除く通常の方法で累積債務を解消した国はほとんどありません。

もっとも、敗戦直後の日本は1947年に勅令による全国民の預金封鎖と政府が引き起こしたハイパーインフレによって積み上がった戦時国債等の政府累積財政債務を一気に解消した実績があり、夢よもう一度でこりを再現すする可能性は残っていますが。

そもそも財政赤字によって国家が破綻するというのなら、世界一の超赤字国家日本はとっくに破綻していなければおかしいですよね。現に累積債務が初めて1000兆円の大台を超えた2013年にもマスコミは「日本の国家財政破綻の危機!」と大騒ぎしましたが、結局何も起こりませんでした。累積債務が一体いくらになったら破綻するのでしょうか?

何も起こらなかったのは当たり前です。財務省自身が 外国格付け会社からの質問に答える意見書で、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」と回答しているのですから。国民に対しては嘘を広めて盛んに危機を煽っておきながら、外国に対しては本音を伝えるとはとんだ二枚舌で、「政府は平気で嘘をつく」(堤未果)という見本です。

以上のように日本の財政再建は完全に詰んでいて、まさにお手上げ状態。

日本がデフォルトする可能性はほぼゼロ

さて、ここで改めて国民の多くが心配している「このまま放置しておいて大丈夫なのか?」という問題について考えてみましょう。         結論を先に言えば、 累積財政債務によって日本が破綻 してデフォルト(債務不履行)に陥ること ほぼあり得ず、また、累積債務を解消すること自体がそもそも不可能であり、その必要もないということです。

日本がデフォルトしないと考えられる理由は、以下の通り。

①日本の保有資産(国富)が巨額であること。               〇個人資産2692兆円(内 金融資産1946兆円)、企業の資産 605兆円、金融機関184兆円、政府1434兆円(内 金融資産651兆円 )、 非営利団体109兆円   (以上2019年、但し個人金融資産は2021年)                        
〇2022年末現在の対外純資産残高は418兆6,285億円で、日本は世界一の対外債権国。因みに世界一の債務国はアメリカ。-955兆円と断トツで2位のスペインの何と約9倍!
〇勿論、これらを全て売り払える訳ではないが、信用上の大きな担保になる。
②経常収支も概ね黒字が続いている。
③日本国債の国際的信用度は高い。                  〇ムーディーズなど外国の格付け会社による現在の日本国債の格付けはA+で、8段階ある格付けランクの上から3番目。Aが付けば、信用度が高いと見なされる。
④日本国債の金利が低い。                      〇国際的な格付けランクが高いので、国債金利も超低水準で長期間安定している。最も利率のよい日本国債10年ものでも年利回り僅か0.079%。
⑤日本国債が投げ売りされても対抗可能。               〇仮に日本国債の格付けが下がり国債の売りが急増した場合は、日銀や市中銀行、生保会社等が買い支えに回るので、国債金利が急上昇する恐れは少ない。
⑥日本国債の金利が上昇しても対処可能。               〇仮に日本側が買い負けた結果金利が上がっても、日銀が円を増刷して金利の支払いに充てれば問題はなく、その内に金利も落ち着いてくる。    〇財務省が言っているように、日本国債は自国通貨建てなのでデフォルトする恐れはない。
⑦円安になった場合は日銀が為替介入して円を買い支える。       〇日本国の信用が落ちて円の価値が下がり、為替レートが急激に円安・ドル高になった場合でも日銀には豊富な外貨準備(約180兆円)があるので、ドルを売って円を買い支えることが可能。
⑧日本のデフォルトはあり得ない。                  〇もし、世界第3位の経済規模をもつ日本がデフォルトしたら、リーマン・ショックなどとは比較にならない規模の世界的金融大恐慌が起こるので、各国はそうなる前に緊急融資等の救済策を発動せざるを得ない。(もし、そう
なった場合は、日本国民もギリシャのような超緊縮財政による耐乏生活を強いられる可能性があるが。)

リーマン・ショックの余波でギリシャがほぼデフォルト状態になったのは、財政赤字を補うために外国政府や外国投資家から多額の借金をしていたのと、ギリシャが自国の通貨発行権を喪失していたためです。

共通通貨ユーロの発行権を持ち、欧州全体の金融政策を決めているのはドイツ・フランクフルトに本部がある欧州中央銀行だけなので、ユーロ加盟国のギリシャは自国の通貨を勝手に発行することができません。

ギリシャがユーロに加入せず、通貨が元のドラクマのままであれば、どんどんドラクマを発行して債務支払いにあて、デフォルトを回避できたかもしれません。その場合の条件は債務がドルやユーロではなく、ドラクマ建てである事です。(ただし、国力が脆弱なギリシャではハイパーインフレの懸念があるため、通貨の大量追加発行はいつまでも続けられませんが。)

この点、イギリスの選択はさすがに賢明でした。イギリスはユーロに加盟しても絶対にポンドの発行権だけは手放さなかったのですから。通貨発行権を手放すリスクをしっかり理解していたのでしょう。

よくよく考えてみれば、ハイパーインフレを引き起こさない範囲でなら日銀はいくらでも国債を発行して円を供給できます。バブル崩壊後の平成大不況の原因になった巨額の不良債権も日銀が元々の買値の7~8割程度ですべて買い取れば一気に解決できたはずです。(日銀はそれが分かっていながら、ある思惑からわざと不良債権買取を発動しなかったのですが。)
現在、日銀は従来であれば禁じ手であったはずの巨額の国債買い入れを平然と続けているのですから、これと同じことです。

累積債務の増加はG7各国の「スタンダード」

話が少し脇道に逸れましたが、つい先日、英国でサミットを開催したG7各国の財政事情はどうなっているのでしょうか。

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上に示したのは、財務省によるG7各国のGDPに対する債務残高の統計です(対外純資産等は勘定に入っていません)。単純計算で日本の対GDP比250%超えというのは確かに突出していますが、150%を超えているイタリアをはじめ他の諸国も軒並み100%を超えています。

昨年からどの国も揃って累積債務残高が急上昇しているのは各国政府が大規模iに新規国債を発行して、新型コロナ対策のための財政支出を増やしているためなのは、皆様ご存じの通りです。

勿論、世界一の「借金大国」日本も例外ではありません。これによって、多額の累積債務を抱えた状態で史上最高額の新規国債(112.6兆円)を発行しても、何の問題も起きないことを証明してしまったのは、財務省にとっては大いなる皮肉です。

一番の優等生としてG7の中で唯一債務残高を減らしてきたドイツですが、未曽有のコロナ禍の中ではさすがに財政規律にこだわっているゆとりはなく、巨額の新型コロナ対策費を賄うために昨年から新規国債の大量発行に踏み切りました。

ドイツ以外の各国は2008年のリーマンショック以来、毎年着実に債務残高が積みあがって来ています。つまり程度の差はあれど、多かれ少なかれどの国も財政赤字は恒常的なものであり、国債発行によって歳入不足を補い経済を回すのが常態化しているのです。

ここまで来ると、国債発行によって政府の累積債務が年々増加していくのは最早異常でも何でもなく、既にG7各国の財政政策の「スタンダード」になっていると言っても過言ではないでしょう。累積債務の解消など夢のまた夢なのですから、財政赤字は当たり前という感覚で大騒ぎせずに、今後も静かに累積債務と付き合って行けばよいのです。

むしろ、自公政権のネポティズムによって「中抜き天国」(税金横領横流し政策)と化している税金の不公正な支出の方こそ大騒ぎすべきなのです。

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