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21世紀後半は好むと好まざるとに関わらず中国の時代

冷戦終結と共に米国は、当時、日の出の勢いだった日本を自国の経済的覇権を脅かす存在として経済的に叩き潰しました。

現在、米国はGDP世界第2位の中国の追い上げに脅威を感じ、かつての日本にしたのと同じように中国叩きに熱を上げています。しかし、対中国戦略が米国の狙い通りに成功する見通しはなく、このままだとGDPで米国が中国に抜かれるのは時間の問題と言えます。

なぜなら、中国は属国だった日本と違って強大な軍備を備えたれっきとした独立国家である上に、国家体制も全く異なる国だからです。          戦争や大きな社会変動がなければ、21世紀の後半は間違いなく「中国の時代」になっているはずです。

現在でも中国は日本など足元にも及ばないハイテク先進工業国で、この分野でも米国の覇権を脅かしつつあります。

もともと中国は三千数百年も前から王朝交代を何度も繰り返しながらも常に世界最強の先進文明国であり続けた国であり、アジアでは長い間、日本など足元にも及ばない超覇権国家でした。

二千数百年も前の春秋戦国時代には諸子百家が現れ、それこそ百家争鳴の中で互いに政治的・文化的影響力を競い合っていた頃、日本はまだ縄文時代後期。文明どころか、文字さえもない時代でした。

辺境の島国日本に漢字が渡来したのは5世紀頃と言われていますが、知識人層の間で広く使われるようになるのは奈良時代になってからです。

その後、遣隋使や遣唐使による朝貢外交によって日本は中国の教えを請い、漢字や仏教、儒学を始め中国の先進的な技術や思想、政治体制などを学んで国家体制を整えて行ったのは学校で習った通りです。

朝鮮の三国時代には滅亡に瀕していた百済救援のために中大兄皇子が援軍を送りましたが、白村江の戦いで強大な唐・新羅連合軍に大敗、その後も長らく唐は大和政権最大の脅威であり続けました。

この時の敗戦はトラウマとなってその後も長く尾を引き、中国が外征を止めてからも「眠れる獅子」として、江戸時代後期に至るまでその潜在的国力や軍事力に畏怖の念を抱いていました。

近代では運悪く清朝末期の衰退・混乱期と欧米や日本の進出台頭時期が重なったため、各国の草刈り場となって近代化が遅れました。

清朝末期に朝鮮の覇権を巡り、実はおっかなびっくりで始めた日清戦争で意外にも一方的に勝ってしまったため、日本国内に「中国恐るるに足らず」「中国は張子の虎」というような中国を遅れた国として侮蔑し、下に見る風潮が広がりました。

その後、外国の圧力と辛亥革命によって清朝が倒され、中国国内が分裂・混乱状態になったのをこれ幸いに、中国を馬鹿にし夜郎自大になった日本は大っぴらに中国侵略に乗り出します。

「満州国」の「建国」までは目論見とおり進みますが、その後は終わりが見えない日中戦争という泥沼にはまり込み、片手・片足を中国大陸に拘束された状態で強大な米英連合軍と戦うはめになります。

日本軍はこのような状態で太平洋戦争を戦ったのですから、そもそも勝てる道理がありません。

日本の敗戦後、国共内戦で中国共産党が国民党を破って台湾を除く国内を統一し、一党支配による開発独裁を行って近代化を達成、そのおかげでようやく中国本来の国力が戻って来ただけの話です。

日本が国力で中国を上回っていたのは長めに見ても近現代の僅か100年程度で、長い中国の歴史から観ればほんの一瞬に過ぎないのです。

中国が米国を上回る覇権国家になったとき、最も難しくて苦しい選択を迫られるのが、米国の属国として基本的に中国敵視政策をとってきた世界一の超衰退国家日本であるのは言うまでもありません。

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