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Vol.044 少子高齢化

リハラボ 「予防医療ノート」 Vol.044
2020/07/03配信 (2020/8/28まで限定公開)


 このノートは、毎週金曜日にLINEのOpenChatのサービスを使って配信する予防医療ノートです。
予防医療に関するトピックス、ニュース、論文、などをお届けします。
 これからの日本の未来は、「自分の健康は自分で守る」時代に突入しました。
 自分の健康を守るための、知識や技術、アイデアなどを提供していきます。


目次


①今週のテーマ
②予防医療ニュース
③予防医療論文
④今週の名言

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①今週のテーマ


 予防医療などに関するテーマについて、気になったことや感じたことを書くコーナーです。


テーマ「少子高齢化」

 僕は、少子高齢化を甘くみていました。
 少子高齢化とは、単に、子供が少なくて労働人口も少なく、高齢者が多いから、年金や医療、介護の問題が出てくる、といった程度に考えていました。
 しかし、少子高齢化の問題は思ったよりも深刻だということがわかりました。


 僕が、一番問題だと思うのは選挙の構造です。
 選挙権は全国民に与えられますから、少子高齢化社会では、青年の投票権は少なく、高齢者の投票権が多く分配されていることになります。
 有権者は、自分たちが得をする政策を掲げる立候補者に票を投じたいと考えますから、どうしても高齢者に有利な政策を進める議員が当選する結果となるでしょう。

 一方、青年は自分たちに有利な政策を進める議員に票を投じても、焼け石に水の状態で何も変わりません。高齢者の票の多さには敵わないからです。
 青年の一票を2倍にしない限り、あまり変わりません。
 これが少子高齢化社会の選挙の構造なのです。
 これでは、青年は負け戦を戦わされているように感じるはずです。  
 これでは投票に行かずに選挙率が上がらないのも当然です。時間の無駄だと考えてしまいます。
 青年に有利な政策がたくさんあれば、青年は政治に興味を持って投票に行く気になります。
 しかし、高齢者のための政策ばかりで、青年は政治に興味をなくしているのが現状です。
 
 対して議員の方は、高齢者という名の大きな票田は絶対に手放したくないですから、高齢者に好かれようと努力するでしょうし、高齢者のための政策を第一優先に掲げるでしょう。
 そのため、医療や介護、年金、生活保護、相続税などの分野は手厚くなり、子育てや出生、教育などの分野は後回しになりがちです。
 議員は任期がありますから、自分達が食っていくためには何回でも当選しようとするでしょう。
 しかも、その議員すらも高齢者です。高齢者が高齢者のための社会作りをしているのが今の日本だなと、僕は捉えています。
 今回のコロナの対応を見てもわかります。全国民にマスクを配るのも高齢者が喜びますし、全国民に10万円を配るのも年金受給者である高齢者が喜びます。

 今後20~30年は少子高齢化の構造は変わらないでしょう。
 団塊の世代と団塊ジュニアが大量に控えていますから。

 GAFAなどの独占企業がデジタル分野で圧倒的な力を持っているように、高齢者は少子高齢化の社会で圧倒的な力を持っているのです。
 
 おそらく、日本は変わらないでしょう。高齢者が高齢者のための社会作りをしている限り。
 やはり、今の若者やその子ども達は、自分達だけで食っていく術を身に付けなければならないと思うし、自分の健康は自分で守らなければ生きていけない、と痛切に感じます。

 コロナよりも、少子高齢化が怖い、と思う今日この頃です。

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②予防医療ニュース


 今週の気になったニュースをピックアップして、感想を交えながらお届けします。
 


~ 転載↓ ~


 人にうつる新型豚インフルが見つかる、パンデミックの恐れも 中国


 中国の研究チームがこのほど、国内の豚の間で人にうつる新型の豚インフルエンザウイルス感染が広がっているとの研究結果を発表した。将来パンデミック(世界的大流行)に発展する恐れもあるとしている。


 山東農業大学や国家インフルエンザセンターの研究者らが米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した研究によると、新型のウイルス「G4」の遺伝子は2009年にパンデミックを起こした豚由来の新型インフル(H1N1)と同じ系統。
 パンデミックになり得るウイルスの特徴を全て備えているという。


 チームによると、G4は11~18年に中国内の10省で食肉処理場や獣医学校附属病院の豚3万頭以上の鼻腔(びくう)から採取した検体の中に見つかった。
 この調査では豚インフルのウイルスが179種類も検出されたが、ある年だけに現れたり、最終的にほぼ消滅したりするウイルスもあった。


 ところがG4は年々増え続け、特に16年以降は急増したという。
 その後の研究により、人間に感染して気道の細胞内で急速に増殖する能力を持つこと、季節性インフルのワクチンを接種しても免疫はできないことが分かった。


 豚の飼育が盛んな河北省と山東省で16~18年に実施した検査では、養豚場で働く従業員のうち10%超、一般市民のうち4.4%がG4感染の陽性反応を示した。
 人から人への感染を示す証拠はまだないが、豚からの感染が重症化し、死に至ることもあり得るという。


 チームはパンデミックのリスクを軽減するために豚同士の感染を抑え、接触者の監視体制を強化するなどの対策を提案している。

 
~ 転載終わり ~
 

出典  CNN

https://www.cnn.co.jp/fringe/35156083.html


 感想

 新型コロナウイルスの変異体がいつ出現するかも気になりますが、こちらのG4の豚インフルエンザやH5N1型の鳥インフルエンザ(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-02/Q53H2UDWLU6E01)
の動向の方も気になります。
 いづれも震源地は中国です。
 2020年代は、中国の年でもありますが、パンデミックの年になる可能性もあります。
 それに加えて、世界的なコンピューターウイルスも可能性として考えられます。
 これだけスマホが普及したのですから、いづれ流行するのは時間の問題です。
 「ウイルス」との戦いはこれからもずっと続きそうです。
 


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③予防医療論文


 
 今週の気になった論文をピックアップします。

~ 転載↓ ~


 神経細胞を光によって操作し、サルの手を動かすことに成功

概要

 光で活性化する物質を細胞に発現させ、光によって細胞の機能を制御する技術(オプトジェネティクス、光遺伝学)は、脳の刺激方法を革新し、脳の仕組みの解明に大きく貢献しています。
 オプトジェネティクスは、ネズミなどにおける研究で盛んに用いられる一方、ヒトに近い霊長類(ニホンザルなどマカクサル)における研究においては、眼の動きに関する研究以外では、ことごとく失敗していました。


 今回、自然科学研究機構生理学研究所の南部篤教授、東北大学大学院の虫明元教授らの研究チームは、遺伝子を導入する技術や光照射方法などを工夫することにより、オプトジェネティクスでサルの手を動かすことに世界で初めて成功しました。
 今回の成果は、非ヒト霊長類へのオプトジェネティクスの活用を促進させ、将来的には光による脳深部刺激療法などヒトの病気治療への応用させることも期待されます。
 本研究成果は、Nature Communications誌(日本時間6月26日18時解禁)で公開されます。


内容

 生きた動物の神経細胞を制御する方法として、電気刺激によって神経細胞を強制的に活性化させる技術が古くから用いられてきましたが、電気刺激では刺激を与えた周囲のすべての細胞を活性化させてしまい、特定の神経細胞のみ活動させることは不可能でした。
 近年開発されたオプトジェネティクスは、光照射のオン/オフによって細胞の活動を制御する技術で、特定の細胞群や特定の神経経路のみに光で活性化する物質を発現させることにより、これらの活動を制御(興奮、あるいは場合によっては抑制)することが可能となりました。
 この技術は脳の仕組みを研究する際に非常に有用で、ネズミなどにおける研究では盛んに用いられています。
 ヒトの脳を理解するために、ヒトに近い霊長類(サル)においてもオプトジェネティクスの活用が望まれていましたが、これまでの成功例は少なく、限られた研究でしか利用されていませんでした。


 光で神経細胞の活動を操作するためには、まず光で活性化するチャネルロドプシンという物質を遺伝子導入により細胞に発現させる必要がありますが、これまでの技術では、このチャネルロドプシンをサルの脳内で効率的に発現させることが困難でした。
 そこで研究チームはまず、チャネルロドプシンをサルの脳の神経細胞に効率良く発現させるため、サルに適したアデノ随伴ウイルスベクター探索を行いました。
 脳の大脳皮質運動野と呼ばれる領域は、体の運動をコントロールしており、電気刺激を加えると刺激の場所に応じて足・手・顔など体の一部にはっきりとした運動が生じます。
 本研究では、大脳皮質運動野のうち手の運動に関与する領域を正確に同定し、最適なウイルスベクターを投与した結果、周辺の神経細胞にチャネルロドプシンを発現させることに成功しました


~ 以下省略 ~

~ 転載終わり ~

出典 日本医療研究開発機構  
   東北大学

https://www.amed.go.jp/news/release_20200626.html

 感想

 
 光刺激は電気刺激に比べてピンポイントで狙って刺激を入れることができ、かつ電気刺激と同程度の強い活動を引き出せるのが特徴です。
 これらの研究から、脳梗塞後遺症の患者への応用が期待できます。
 右の脳梗塞で左手が動かない人の場合、右脳の運動野に光をピンポイントに当てながら左手のリハビリをすることで、手指の機能が回復する可能性があります。
 その他にも、スポーツ選手や小児の分野の応用も考えられます。
 光刺激によるリハビリへの応用が期待されます。
 

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④今週の名言


『知恵には「広さ」があり、


「深さ」があり


 また


「強さ」というものがある。


「知恵の強さ」とは、


 すなわち決断力である。』


  (広中平祐 数学者)


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リハラボ 代表
廣谷迪正(ひろやみちまさ)


リハラボホームページ
https://mkhjwh3.wixsite.com/selfreha

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