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Vol.048 所得と健康

リハラボ 「予防医療ノート」 Vol.048
2020/07/31配信 (2020/8/28まで限定公開)

目次


①今週のテーマ    所得と健康
②予防医療ニュース  新型コロナの変異体
③予防医療論文    糖尿病予防とこんにゃく粥
④今週の名言

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①今週のテーマ


 予防医療などに関するテーマについて、気になったことや感じたことを書くコーナーです。




テーマ「所得と健康」



 本日は、所得と健康の関係についてお伝えします。

 
 所得と平均寿命の関係について、ある研究がありました。
 ロンドンの裕福な地区と貧困地区では、平均寿命において約20年もの差がある、という研究です。

 ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの研究者がまとめた調査によると、ロンドン中心部ウェストミンスター地区のハロー・ロード(裕福な地区)における女性の平均寿命は、97.1年。
 一方、ロンドン南部サザーク地区のナンヘッド(貧困地区)になると女性の平均寿命は、76.3年。
 このように、裕福な地区と貧困地区で20年以上も差が出るという研究結果が明らかになりました。  
(http://www.news-digest.co.uk/news/news/tabloid/11613-2014-01-15.html)2014年

 この他の研究でも、所得と平均寿命の相関関係を示した研究が数多く出ています。
 
 おそらく、平均寿命が長い地域は短い地域よりも、なにか違う要因があるはずです。
 食品や水、運動習慣、健康に関する知識、情報、コミュニティ、医療や介護の質などの要因が関係してそうです。


 僕は以前に、人間には5つの資産ポートフォリオを持っている、という話をしました。(Vol.015を参照)
 その5つとは、「お金」「時間」「水や食料」「健康」「コミュニティ」を指します。
 この5つの資産が、裕福な地域と貧困な地域では異なると考えます。
 
 まず、「お金」です。
 当然ですが、お金があれば時間が買えます。そして、健康食品も買えますし、良質な水も買えます。高額な医療も受けることができます。さらに、お金持ちはお金持ちのコミュニティーを作っていますから、健康に関するインサイダー情報も取得することができます。

 次に、「時間」です。時間があれば労働から解放されますから、身体を酷使しなくていいですし、好きなスポーツ、好きな趣味をすることができ、身体も心も健康を維持することができます。長いスパンで医療を受ける時間的余裕もあります。
 
 このように、裕福の地域に住む人と貧困の地域に住む人では、5つの資産ポートフォリオのパイの大きさが異なりますし、健康を維持するためにかけられるコストがかなり違ってきます。
 
 僕は、「所得」というよりも、「5つの資産ポートフォリオ」と「平均寿命」は相関関係にあると考えます。
 
 これから、世界は二極化の時代になるので、資産家と貧困層に二極化されるでしょう。そして、平均寿命も二極化するはずです。


 例えば、北海道夕張市では平均寿命は下がり、東京都港区では平均寿命が上がる現象が起こるかもしれません。
 ひょっとしたら、GAFAM(Google・Amazon・Facebook・Apple・Microsoft)やBATH(バイドゥ・アリババ集団・テンセント・ファーウェイ)の社員の平均寿命は上がり、飲食店やライブバーなどの自営業の平均寿命は下がるかもしれません。


 自分がどの国に住むか、どの地域に住むか、どのコミュニティに属するか、どの会社に勤めるか、どの業種で起業するか、どの食べ物を食べるか、どんなライフスタイルを送るのか、選択は無限大です。
 
 しかし、その選択が、5つの資産ポートフォリオを形成し、平均寿命や健康寿命を左右するのかもしれないな、と考える今日この頃です。
 

 
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②予防医療ニュース


 今週の気になったニュースをピックアップして、感想を交えながらお届けします。
 


~ 転載↓ ~


 米ロスアラモス国立研究所などの多国籍研究者らは2日、医学学術誌『セル』に掲載した論文で、従来の新型コロナウイルス(D614)より感染力が3~9倍強い変異株(G614)が全世界に広がっていると分析した。
 
 この変異株は今年2月20日、イタリアで初めて確認されたが、約1カ月で世界の新型コロナウイルスの半分を占めた。
 また、5月末頃には従来のウイルスをほとんど代替したことが確認されたと、研究者たちは明らかにした。

 同研究に参加した米国ラホイア免疫学研究所のエリカ・オルマン・サファイア博士は「変異株が人間にさらに害を与えるかどうかは確かでない」と述べた。  
 
 この変異株は人体細胞と結合する時に作用するタンパク質のペプロマーに影響を及ぼすことが確認された。
 現在開発中のワクチンのほとんどが従来の新型コロナウイルスのこのタンパク質を攻略対象にしており、この変異がワクチンの効果に影響を及ぼすかどうかを検討していると研究陣は説明した。




~ 転載終わり ~
 

出典 ヤフーニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/93410d1e3b8fe9d09d3993cd4cee5a7c308ebfb0


 感想

 新型コロナウイルスは、すでに感染力を強化しているようです。
 毒性は変わらないようですが、より広く感染するようになってきました。
 フロリダでは、約3割が子供に感染している、という報告もあります。(https://thehill.com/changing-america/well-being/prevention-cures/507442-almost-one-third-of-florida-children-tested-are)
 東京でもそうですが、今後は、若年者を中心に感染が広がっています。
 こうして、感染力の強化がされていますが、今後は感染の強毒化に注意が必要です。

 あと、気になるニュースは、新型コロナウイルスは去年3月にスペインで見つかっていたこと(http://jp.xinhuanet.com/2020-07/01/c_139180503.htm)、去年の夏には武漢で流行していたこと(https://www.cnn.co.jp/fringe/35155017.html)、去年12月末にフランスで流行していたこと(https://www.bbc.com/japanese/52540995)のこの三つのニュースです。
 どうやら、去年の春くらいから勢力を拡大していたようです。
 その間、感染力を強化しながら着々と準備していたのかもしれません。
 
 
 
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③予防医療論文


 
 今週の気になった論文をピックアップします。



~ 転載↓ ~


 糖尿病予備群に朗報!こんにゃく粉入り粥で食後の血糖値とインスリン値の上昇を緩やかに


 群馬大学大学院医学系研究科・食健康科学教育研究センター(群馬県前橋市)の葭田明弘助教、木村孝穂准教授、村上正巳教授らは、グリンリーフ株式会社(代表取締役 澤浦彰治 379-1207 群馬県利根郡昭和村赤城原844-12)が独自の技術により開発したこんにゃく粉入り粥を食べることにより食後の血糖上昇とインスリン分泌を抑制する効果が得られるかどうか調べることを目的として、こんにゃく粉入り粥の血糖上昇とインスリン分泌に及ぼす影響を解析する研究を立案し、群馬大学医学系研究倫理審査委員会の審議・承認を経て、本研究を施行いたしました。


 その結果、こんにゃく粉入り粥に血糖値とインスリンの上昇を抑制する効果が認められ、この成果は2020年7月13日にAnnals of Nutrition and Metabolismに掲載されました。



本研究のポイント

 健常者や糖尿病予備群を対象として行った研究であり、通常の粥に比較してこんにゃく粉入り粥の摂取により血糖値とインスリンの両方の上昇が抑制されました。
 本研究は、こんにゃく粉入り粥が血糖とインスリン、両方の上昇を抑制することを示した初めての報告です。
 糖尿病予備群から糖尿病へ移行するのを抑制して人々の健康増進に貢献することが期待されます。




~ 転載終わり ~



出典  群馬大学

https://www.gunma-u.ac.jp/information/75958


 感想

 糖尿病の予防に、こんにゃくが有用です。
 こんにゃくはヘルシーで腹持ちが良く、血糖値スパイクを軽減する効果があるようです。
 研究されているのが、こんにゃくの名産地である群馬であることもポイントです。
 こんにゃくは、その他にも便秘の改善や動脈硬化の予防などの効果もあるようで、今後はこんにゃくに脚光が当たるかもしれません。普段は地味な存在ですが。
 
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④今週の名言


『他人を喜ばすことに


生きがいを感じれば、


それは天職へと転じていきます。



つまり、


他人を喜ばすこと自体が


一つの立派な才能なのです。』


ジョセフ・マーフィー

米国で活動したアイルランド出身の宗教家、著述家。






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リハラボ 代表
廣谷迪正(ひろやみちまさ)


リハラボホームページ
https://mkhjwh3.wixsite.com/selfreha

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