Netflixとそれ以外
少し前の話し、今年の6月頃のある日。
仕事終わり、20時頃、ウチの最寄り駅に着いてスーパーに入って買い物して出てきたら、かつて一緒に仕事をしたスタッフの一人とばったり。
お久しぶりです!と偶然の再会を喜びつつ何故にこんな所で、と訊けば、
「東宝撮影所でNetflixのドラマ撮影で」と。
時が経ち8月頃のある日。
かつて僕の映画に出てくれた俳優と一献。
「こないだ東宝撮影所に行ったらもの凄い巨大なセットに、日本中のスター集めたんじゃないかというくらいのキャストが集まっていた」と。
加えて「なんでそこに俺がいないんだろ」だって。
肌感としていま日本映画の制作現場はNetflixとそれ以外、だ。
スタッフはNetflixに長期拘束され、「それ以外」は慢性的かつ圧倒的人手不足。
8ヶ月拘束で適正なギャランティと適正な労働環境。
世界基準ならそれは当たり前で、「それ以外」が貧しいのだ。
Netflix「地面師たち」1話を見た。実在のホテルの名前が出て来ただけで「ああもう勝てない」だ。「それ以外」界隈ではそんなことビビって出来ない。日本映画ではGoogle検索の画面も使えない。
先の偶然出会ったスタッフが関わっている作品も、まだ発表されていないが「マジか」な企画だ。8月に会った俳優が教えてくれた。
ヘッダー画像は最近のロケハンのもの。この先Netflixに行ったスタッフは「それ以外」のこちらには戻らないだろう。当然だ。
この先このまま人手不足で「学徒動員」を続けていけば(ホントに大学から学生を動員しています)、「それ以外」はいずれ終わるだろう。
2年前コロナ禍に晒されたミニシアターを支援する運動も多少広がりを見せたが、そのシアターで上映する作品がなくなれば支援どころではない。
昭和の戦争では学徒動員の次の手は特攻だった。
殺される前に海を渡った渡辺謙、真田広之、平岳大、忽那汐里‥‥。
「それ以外」も外へ。とにかく外へ。映画を志す若い人達、ここ以外のどこかだよ。