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実りある雑談


なかなか会えない友人たちとグループ通話をした。メンバーはMちゃんとSちゃんと、私。Mちゃんは若い頃に同じ職場に勤めていて仲良くなった一つ年上の友人。Sちゃんはママ友で、一緒にPTAの役員をして仲良くなった同い年。

Mちゃんは、今製菓工場に勤めていて、以前同じ部署の随分年上の同僚から意地悪をされていた。昨年その人が退職する際、もらったお礼の品に電話番号のメモが付いていて、仕方なくお礼の電話をしたら、向こうから何度も電話がかかってくるようになった。

「ご飯でも食べに行こうよ」
「うちに遊びにおいでよ」
「会って話そうよ」

何度誘われても、意地悪をされていたことが忘れられず、その人のことが苦手だったMちゃんはどうしてもその気になれず何かと理由をつけては断っていた。だが、年末になってなんとなく、一年の区切りのつもりでその人にお花でも贈ろうかと思い立ちお花を予約した。お花が届いた頃を見計らって電話したら、その人の娘さんが電話に出た。

「母は亡くなりました」

Mちゃんは、自分を責めた。もっと早くお花を贈っていたら?食事に誘われた時に応じていたら?その人に会いたくないばかりに不義理な態度で接していたことを悔やんだ。その人が、何か思い残して亡くなったのではないかと考えると、気の毒なことをしてしまったと悔やんでいた。


その話を聞いたSちゃんは、
「Mちゃんがお花を贈った気持ちは、亡くなってもきっと届いたよ」

私も、そうだねと言った。でも、
「その人はMちゃんに対して、悪い事をしてしまったと後悔してたから退職して急に態度を変えたワケでしょ。後悔したまま亡くなってしまったのは、ある意味自業自得なんじゃない?」

2人は、それはそうかもね、と言った。

「人は、いつ何が起こるかわからんから、いつ何が起きてもいいように暮らしていかないといけないってことを教えてもらったのかもね」

そうだね。

「人に辛い想いをさせてしまったら、自分も辛い気持ちのまま死んでしまうこともあるってことだよね」

そうだね。

「だからさ、後から後悔するようなことにならないように人には優しくしなさいってことだよね」

そうだね。

「きっとその人は、Mちゃんはそういう人になっちゃダメだよって、教えてくれたんだよ」

そうだね。

「早くわかったから、今からでも間に合うもんね。」

うん、ホントにそうだね。
明日から周りの人には優しく、だよね。

ねー、なんか、私たちすごくない?

うん、すごい。

ちゃんと気付けて反省して、前向きに心を立てかえられてる。すごいよね。

うん、すごい。


こういう雑談にはやる意味がある。自分の体験じゃなくても自分に置き換えてみたら心当たりがあって、気付かせてもらえたことにお互いに感謝し合って、気付けて良かったねって言い合いながら、明日からまた頑張ろうねって言って、グループ通話は終了。

それでもまた気持ちがダメになったら、また3人でああだこうだ言ってるうちに答が見つかる気がしている。


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