見出し画像

ベンチャー1年生に伝えたいベーシックスキルまとめ

今年も4月1日、新年度になりました。

昨年、ベンチャー1年目向けの教科書的な記事を書いたのですが、今年も少し別の視点で書いてみようと思います。

ベーシックスキルとアドバンストスキルについて

私は現在、社員数200名弱の会社の人事系管掌役員という立場として、日々研修や人材育成はどうあるべきか?を考えたり、自分で研修を作ったりしています。そういった日々を通して感じることですが、新卒であれ中途であれ、ビジネスパーソン一人ひとりが持っている知識、スキル、パーソナリティには必ず差がありますので、学校教育のような画一的な研修は会社にはあまり向きません。Google Analyticsを使いこなすマーケターとしてのスキルも、困っているところに綺麗に刺さる提案資料を作るフィールドセールスとしてのスキルも、既存クライアントにいかに「ハイタッチ」するかというカスタマーサクセスのスキルも、それぞれのポジションにおいては必須ですが、全社員に必要とは言えないでしょう。

一方で、●●ができないとさすがに厳しいよ、というスキルや知識は当然に存在します。例えば、「社内原価より低い見積金額をクライアントに提示したら、仮に受注できたとしても赤字になる」という算数のスキルはセールスでもマーケターでも理解できていなければ仕事になりませんし、「自分はPCが苦手で、1文字タイピングするのに1秒かかります」という状況だと、どんな部署に配属されたとしても、議事録はおろか書類作成すら頼めません。

そういう観点でビジネスパーソンのスキルを俯瞰すると、スキルや知識は、大きく以下の2つに区分できることが分かります。

・仕事に支障が出る、あるいは仕事のスタートラインに立つために必要なスキルや知識 (仮に、ベーシックスキルと呼びます)
・無くてもなんとかなるが、あれば仕事が進みやすくなり、スタートダッシュを切ったり、他人と比べて差がつく類のスキルや知識 (仮に、アドバンストスキルと呼びます)

もちろん、何をベーシックスキルとするか、何をアドバンスドスキルとするかは各社各様ですが、「強い会社やチームほど、ベーシックスキルの水準が高い」という傾向があるように思います。一定水準以上の英語力、財務会計、簿記等、ロジカルシンキング等を必須研修化する会社が存在するのは、各社の「ベーシックスキル」の範疇にそのスキルが入っているからだろうな、と推察します。

英語の最新ニュースを題材に「このニュース、どう思う?もしくは、似たような話知らない?」という議論ができるチームとできないチーム、IR資料を材料に「クライアントのIR資料を深堀りして理解を深めよう」という勉強会ができるチームとできないチーム、どちらがよりスピーディに、様々な仕事を進められるかは火を見るよりも明らかです。

つまり、全社のベーシックスキルの水準が高ければ、「話についてこれないメンバーへのケア」は発生せず、「全員理解できている前提」で話を進められるのに対し、ベーシックスキルの水準が低ければ、「●●さんは社歴が浅くてこの話にはついてこれないから、サポートが必要」となってしまいます。

となると、組織やチームを強くしたいのなら、「ベーシックスキル」を、必要十分な水準まで上げればいいんじゃない?という結論に至ります。先週発売されて日本中を寝不足にしているであろうモンスターハンターに例えるなら、「序盤からメンバー全員に中盤クラスの攻撃装備と防御装備があったら、最初から死なずにサクサク強いモンスターを狩りにいけるよね」という話です。一方アドバンストスキルというのは、「この武器を使うならこういう立ち回りと位置取りだと強いから、立ち回り練習しよう」みたいな話ですね。

というわけで前段が随分長くなりましたが、この記事では、50%は独断と偏見、50%はHR系の論文などをベースに選んだ、「ベーシックスキル」に入れるべきスキル一覧と、そのスキルに関する入門書を紹介しようと思います。

ベンチャーに入ったら、新卒1日目から研修も何もなくて、OJTという名目で実務丸投げされました!きゃー!

みたいなのはどこでも聞く話ですが、そういう人の参考になれば幸いです。なお、例に挙げた英語力や財務会計のスキルはいわゆる「ハードスキル」と呼ばれる資格等で学習可能なスキルですが、本記事では「ハードスキル」ではなく「ソフトスキル」と呼ばれる、スキルアップに時間がかかり、計測しにくいが、より成果に繋がりやすい能力を中心に取り上げます。

1_タスク管理

任されたタスクを、落とさずに、納期までにちゃんとやる」ための管理術です。GTD(Getthing Things Done)というメソッドが有名ですが、他のやり方でも構いませんが、ごく一部の天才・秀才の方を除き、何かしらの方法で「管理」したほうがいいでしょう。

最低水準:任された全てのタスクの納期とゴールを明確に管理できている
目指したい水準:任された全タスクに加えて、人に依頼したタスクも含めて、納期とゴールを管理できている

おすすめアプリ:Trello
おすすめ書籍:


2_時間管理

自分の生産性を計測し、効率的に仕事を改善していく」ための管理術です。入社初日というよりも、入社して1ヵ月程度が経過して「忙しくて全然タスク終わらん...」という悩みがある状況の方ほどオススメです。以下をやりましょう。

・始業した瞬間から終業する瞬間まで、1分単位で自分がやっている業務を全て計測し、どういう時間の使い方をしているのかを見える化する
・時間の使い方に関する振り返りを行い、改善サイクルを回す
・単位時間あたり生産性を上げていく(そして適度に手を抜く)
・上記を毎日実施する

最低水準:自分が各タスクを実行するのに必要な時間を計測している
目指したい水準:自分の時間として利用可能な今週の残リソースを把握しており、かつ、「納期が今週中の残タスク」の実行に必要な時間がほぼ正確に予測ができる

おすすめアプリ:Toggl track
おすすめ書籍:


3_問題解決思考

目の前の問題や課題に対して、自分の頭で解決策を考える」ための思考術です。定例業務を前任者からマニュアルとセットで引き継ぐ場合は必要になりませんが、ベンチャーや新規事業の現場では、正解がない問題や課題と向き合う日々が続きます。問題解決思考ができない人は、文字通り「使い物にならない」でしょう。

最低水準:問題解決のフレームワークを認識しており、何か問題に直面したとき、その解決までの道筋が頭に何かしら浮かぶ
目指したい水準:問題解決のプロセスを最初から最後まで考えた上で自ら提示し、解決に向けて遂行することができる

おすすめツール:メモ帳ツールや紙、ホワイトボード
おすすめ書籍:問題解決の入門的な本と、仮説思考を加えた本をそれぞれ紹介します。


4_インプット

毎日新しい情報をインプットし、自分に本当に必要な情報を効率的に仕入れる」ためのスキルです。新社会人は日経新聞を読もう!みたいな情報源の話ではなく、どのようにインプットするのがいいのか?というインプットそのものの技術。

最低水準:自分なりの情報収集の型があり、毎日のルーティンが決まっている
目指したい水準:日々インプットした情報が、インプットのまま終わらずに、アウトプットにまで繋げられている習慣ができている

おすすめツール:RSS、Twitter検索、テレビ東京ビジネスオンデマンド、dマガジン、Kindle Unlimited
おすすめ書籍:


5_ストレスマネジメント

ストレスフルな職場環境、業務環境でも、心が折れずに立ち直れるようにする」ためのスキルです。忙殺されて心がすり減り気づけば休職していた...という日を迎えないためにも、ベンチャーで働くのであれば高いストレスマネジメント力を身につけるのが望ましいでしょう(もちろん、ストレスケアのできる上司がいることが望ましいですが、常にそういった環境があるとは限りませんので...)。

最低水準:ストレスマネジメントやコーピングなどのやり方について知っている
望ましい水準:自分がストレスフルな状況に実際に陥ったときに、そのストレスをマネジメントするためのルーティンが確立されている

おすすめ書籍:

というわけで、5つのスキルを紹介しました。ベーシックスキルとして身につけて、早くアウトプットを出せるように頑張りましょう!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?