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だから片付かないんだよな

この話は私の実家に対する文句です。
物が多くて片付かない家がなぜ片付かないのか考えた風に見えますが、ただの実家に対する文句です。
親に読ませてやろう。


よく聞く話だが、例に漏れずうちの実家は物が多い。

これまで3度引越ししているが、毎回引越し業者さんが見積もりに来てくれるのに、引越し当日になると『見積もりより荷物が多過ぎます。トラック追加しないといけないかもしれません』と言われたことさえある。

一番最近の引越しはもう15年以上前になるが、その時は車で5分ほどの近隣への家移りだったので小さなトラックで数回往復する計画になっており4人家族の家なので、遅くとも夕方には終わるはずだった。
しかし結果的には朝一番から引越しが始まり、終わったのは夜中12時を超えていた。
業者さんが気の毒でした、ほんと。

なぜそんな事になるのか?
これはもう母親に問題がある事は明白である。
一番やばいと思ったのは、新居にあるウォークインクローゼットにどでかいタンスをぶち込んでいた事だ。 

何のためのウォークインクローゼットですか?
ウォークインクローゼットはタンスという物の煩わしさから解放されるための物ではないのですか?
あなたはそのために新しい家を自分の意見を伝えて建てたんじゃないんですか?
しかし、母はそこで合理的な判断が出来ないのだ。
最後の最後で、大切な嫁入り道具のタンスを手放したくない!とタンスをウォークインクローゼットにぶち込んだのだ。
そこから15年以上タンスのあるウォークインクローゼットはほぼ開かずの間になっている。
タンスに何が入ってるのか知らないが、ウォークインクローゼットに普段着が入れられないので居室に普段着をかけるためのポールが設置されてそこに大量の普段着が掛けられている。
さらに残念な事にウォークインクローゼットの中のタンスにわざわざ行くのが面倒だからと新たにタンスが購入されて居室に設置されてしまっている。
ウォークインクローゼットがあるのに使えないから、居室の半分くらいがタンスと服をかけるポールで埋まっている。
すごいなあの家は。

私は実家を出ているが、実家に私のものはほぼ残っていない。
母が残したいと言った子どもの時の思い出の品くらいか。
だって母が私が実家を出る時に全部持って出ろ!と大層な剣幕で言うのだ。
本当に一つも置かせてもらえなかった。
そして母は私の居室を乗っ取り、私が使っていたウォークインじゃないクローゼットを本来の使い方で使って意気揚々としている。
そうだろうそうだろう。
君もクローゼットをそうやって使いたかったんだろう。
なんで15年前のあの時あのタンスを手放せなかったのかなぁ。
あれさえ手放しておけばもっと快適に暮らせたのになぁ。

嫁入り道具の大切なタンス。
親に買ってもらった大切なタンス。
それが母の毎日の生活の快適さを奪ってるんだなぁと思うとなんとも言えない気持ちになった。 

ちなみに母の両親、私の祖父母はタンスの煩わしさに早々に気づき、退職と共に転居したタイミングで全て手放している。
その頃に祖父母はそれまで生活していた築60年近い居宅を手放してマンションに移り住んだのだ。
その際にクローゼットという素晴らしい文化に心酔し、見事に全てタンスを捨てている。
祖父母が亡くなった後、私は母と共に遺品整理を行ったが本当に楽だった。
大きな家具は食器棚とベッドとソファくらいで、タンスというものが一つも無かったおかげでわずか数万円で業者さんが片付けてくださった。
祖父母は戦争時代を経験しているので物が簡単に手に入らないという恐怖や不安も持っている人だったが、それでも自分たちの老後を見据えて計画的に合理的に生きていたんだなと感じる。

母よ。
見習ってくれ。
あなたの両親は教えてくれてるよ背中で。
あなたが大切にしている物、両親から贈られた大切な物があなたの生活を快適さから遠ざけている事に気づいて欲しい。
ちょっと切なくなった。

ふと私は私の、自分の部屋を見てみると、母にそっくりだなぁと思った。
4年前に一度だけ着たウェディングドレスが飾ってあった。


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