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プライムビデオで見て面白かった『TRUE DETECTIVE』シーズン1のストーリーを書き出してみたら凄く勉強になった件

これで8話(1シーズン)分です。

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wikiのあらすじを元に作りました。

表にしてみると、改めて登場人物それぞれが持つ過去が行動に影響を与えていることがわかる。ここがちゃんとしてるとストーリーに感情移入できる。すなわち物語としての完成度が高いということ。

全体を眺めているうち、『TRUE DETECTIVEシーズン1から読み取る探偵コンビドラマの設計』というキーワードが浮かんできたので記してみる。

得られた気づきは以下の3つ。

 ①主人公コンビの在り方正反対な存在として設計
 ②主人公の造形→物語の進行に必要とされる資質を持つように設計
 ③悪の在り方→何重もの見えにくい構造を設計

順に説明してみよう。

①主人公コンビの在り方:

主人公の1人であるラスト・コールは長年のトラウマを抱えており、人と交わることがあまり好きではない。また科学・医学・哲学に造詣が深く何についても深く考えるする傾向があり、その結果人が見逃すような細かい事物にも気がつく。麻薬常用を原因として精神病棟に入院していたことがあり、現在は酒や麻薬を忌避している。その結果行動は道徳的。

もう1人の主人公マーティン・ハートは社交的であり署内での信頼も厚い。トップクラスのやり手ではあるが、思考は平凡であまり深く考えることはない。家族を愛しながらも浮気を繰り返すなど偽善的な傾向がある。

非社交的×社交的思考が深い×浅い道徳的×偽善的と全く正反対な二人として設計されているが、正義感は共通している(ここがズレると話が前に進まない)。ちなみにラスト・コールの方がマーティンと比較して遥かに人物像が深く設計されており実質上の主人公と言えよう。演じているマシュー・マコノヒーは本作プロデューサーの1人だからかなw。

②主人公の造形:

ラスト・コールは過去に麻薬犯罪課に勤務し潜入捜査を担当していた。このことから麻薬売買組織に詳しく知人も多い。ただし麻薬常用の結果精神病院に入院することになる(組織に警官とはバレていない)。前述のとおり非社交的で署内での人間関係も悪い。

これがドラマ内におけるラストの独自潜入捜査と1995年時点での事件解決に繋がるが、同時に2012年の事件においてギルボとパパニアに疑念を持たれる理由にもなる。

片やマーティン・ハートの過去はあまり描かれないのだが、激情に動かされやすいタイプである表現は随所に見られる。また子煩悩である描写も多い。これらが動機となり中盤での事件において大きな問題を起こしてしまう。

二人の背景や性格は物語の進行に必要とされる資質を持つように巧妙に設計されている。これにより視聴者は主人公の行動に疑念を持たないまま物語の進行に身を委ねることができる。所謂「よく出来た話」である。

③悪の在り方:

二人の刑事がシーズンを通して追い続けるのは連続猟奇殺人事件の首謀者だが、集めた証拠の糸を何度手繰っても途中で切れてしまう。このシリーズ内で隠蔽される悪の図式設計はやや複雑で、実を言うと普通に鑑賞するだけでは結論に理解できない部分が残る。

僕もこの構造図を書いて初めて犯人が「どこの誰か」がはっきりとわかったのだ(笑)。これ以上はネタバレになるので書かないが、複雑すぎる悪の隠蔽構造に読者がオタオタするのは推理小説でよくある事である。

ということで、推理モノ、探偵モノがお好きな方はぜひこの機会にどうぞ。ガリお勧めです。以上『TRUE DETECTIVEシーズン1から読み取る探偵コンビドラマの設計』でした。

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