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アマノトーク 70

 こんにちは、甘野充です。

 僕は今、連載小説「セブンデイズ・ア・ウィーク」の小説化作業を行っている。
 連載小説はスマホを使って毎回1話づつを書きながら更新してきた。
 隙間時間でさっと読めて、その話だけを読んでもある程度楽しめて、続きが読みたくなるような作品として書いてきた。
 小説を書くにはまとまった時間とパワーが必要だ。だけども書き始めた頃の僕にはそれが無かった。だから勢いで書いていたところがあって、笑いやインパクトを強調していた。
 読み直して書き直す時間もなく、ただただ前に進むことばかりを考えて書いていた。だからまとまりのないことや多少の矛盾もあった。キャラクターのブレもあったりした。だけども僕は、ただただ完結に向けて書き続けていた。
 今僕は、パソコンを使ってそれを小説として読める形に書き直している。横書きのテキストを縦書きの単行本のフォーマットにしたワードに入れ込んで、文章のバランスを見ながら体裁を整える。
 連載では横書きで読みやすいようにするため、まどろっこしい表現を避けて、シンプルに書いてきた。だけども小説は、じっくりとその世界に入り込んでゆくようにしなければならない。
 横書きのnoteの記事では、だらだらと長い文章が続くと、「要は何?」と言いたくなってしまい、僕は読む気がしなくなる。読ませる文章というのはなかなかに難しいのだ。僕はたくさんの人のフォローをしているが、まともに読める文章を書いている人はほんのわずかしかいない。そしてだいたいにおいてそうした人は、更新が少ない。
 読ませる文章を書くには時間がかかる。時間をかけているかいないかは、読めばわかる。

 冒頭の部分の書き直しは、ずいぶんと時間がかかった。ほとんど書き直して、もうまったく原型をとどめていない。
 ストーリーは同じなのに、描写を変えることでぜんぜん違うものになる。連載では簡単な描写にしたものが、より深く描かれてゆく。
 小説は言葉だけで描かれる作品だ。映像作品や音楽作品などには、物理的な時間が存在する。小説は時間を言葉で作り出す。描写を細かくしたり、めりはりをつけたり、作品の中で時間を作り出すのだ。この時間のコントロールがうまくできている小説が、いい作品となる。
 ただ物語を綴るだけではない。物語の中に、描きたい世界観があるのだ。
 その世界に読者を巻き込むために、言葉を何度も書き直して、最適な答えをみつけてゆく。

 小説を書いていて感じることは、バランス感覚だ。僕はページの中での文字のバランスも気にしている。あまり文字だらけにならないように、しかしスカスカにならにように、そのページの文字の並びと文字たちが美しいかどうか。
 僕はこの小説の中で好きな言葉がある。それは柳瀬波子が言った一言。
「言葉が美しくありませんね」
 そう、言葉は美しくなければならない。それが僕の求めているものだ。

 僕の書いているものはエンタメだけど、僕は純文学を読むのが好きだ。
 僕は小説に芸術性を求めている。

 理想のようなものも書いてしまったが、実際に自分が思ったように書けているかは疑問だ。
 今の自分にできるベスト。それが僕のできることだ。

 今日はそんな感じです。
 それではまた。


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