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ジョセフ・アルバース氏に見る実践的配色設計

これまであまり意識してこなかった、現代デザイン・アート分野における巨匠について調べつつ、学んだこと知ったこと感じたことを共有していきます。(ただの勉強メモです)

ジョセフ・アルバースとは

ドイツ出身の美術家で有名バウハウスで学び教鞭も取った後、アメリカでも色彩と形態の関係の研究を深め、指導した人物です。

ユニークな配色設計思想

彼の教えでユニークなのは、機械的な配色や、色彩の単調なルールといった理論にとらわれることなく、徹底した実践主義であったこと。

■ そもそも理論とは、実践から生み出された結論
■ 理論の後に実践が来るのではなく、実践の後に理論が来るのが自然

そして知覚の主観的性質によって、ある色を単独で見るのはほぼ不可能であり、実際の周囲との相互関係を無視することはできないと主張しています。

下記は現代のデザイン書でもよく用いられている例ですね。

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色の相関性
一色には様々な面があり、異なる二色に見せることもできる。左の小さな正方形は右の小さな正方形と同じ色だが、色の相関関係故に普通の人間の目には同じだと見えることはない。

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逆にこちらは異なる色でも、相関関係故に近い色に見えてしまう錯覚。

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透明性と空間錯覚
同じ平面の色でも色相の違いによって立体的に見えてくる。下段は黒が上にあり、上段はクリームが上にあるようにみえる。

このように理論ではなく、実践重視によって科学や心理学等の領域をも横断して説いています。

有名作品群「正方形賛歌」

そんな彼が様々な色調や大きさの正方形のみを重ねて描いた連作で、幾何学的な色面構成の抽象画です。原題はHomage to the Squareと言います。

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例えばこの連作の一つだと、一番内側の四角が最も暗いオレンジ色ですが、少し明るいオレンジによて囲まれているのでそれほど強く見えません。さらに最外周は明度の高い黄色ですが、囲んでいるが故に内包している色を圧しているように見えます。
こうして色の色相・明度・彩度といった要素は、あくまで他との相関関係によって決まり印象を変えることがわかる作品になっています。

(まとめ)色の相関性をデザイン制作へ応用する

例えば上記の「錯覚による色の混同」であれば、この色とこの色を使う!と決め打ちするだけでなく、どのように見せたいかという視点を持ち、同じ色に見せるためあえて若干明度等を変更するなど微調整に応用できると考えています。
また彼の教えは、既存理論によって配置した色彩が、意図しない高低差などの視覚効果を生んでいないか?といった確認にも通じています。

以上です!何かすこしでも役に立てば嬉しいです。
コメントもお待ちしてます。

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