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「美しさ」は「使いにくさ」を隠す“美的ユーザビリティ効果”

認知や心理とデザインとの関わりを勉強していて、興味深かった現象を考察して共有します。

美的ユーザビリティ効果とは

簡単にいうと、魅力的な見た目だと使いにくく感じにくいよ、という効果です。

正確には、インターフェースの見た目が魅力的であると感じると、些細な使い勝手の問題に寛容になる傾向のことを「美的ユーザビリティ効果」といいます。
ある利便性に関するテストで、ショッピングサイトの使い勝手に直面しながらも最終的には使い勝手に高評価を付け、配色についてほめるコメントを残したという典型例があるとのこと。

これは「シンプルな画面ほど操作がしやすい」などの美しいことが使いやすさを向上させるということではなく、実際の使いやすさや効果と無関係に「見た目がいいほど使いやすい」とユーザーが信じやすいことです。

日立デザインセンターの日本人研究者、黒須正明氏と鹿志村香氏のテストの中で「システムの根本的な機能性を評価する際でも、インターフェースの美しさに強く影響を受ける」と提唱されています。

The Aesthetic-Usability Effect 
Users are more tolerant of minor usability issues when they find an interface visually appealing. This aesthetic-usability effect can mask UI problems and can prevent issue discovery during usability testing.

さらにこの記事の中では、次の事も言っています。

■寛容なのは些細な使いにくさであり、大きな問題はカバーできない

■見た目(ヴィジュアルデザイン)に関する良いコメントは、必ずしもそれが機能しているというわけではない。
・良いコメントを残すプレッシャーを感じているが故の可能性もある。
・魅力的であっても、それが使いやすさに貢献していない場合もある。

よい例はApple製品

Apple製品
上記の中でも紹介されていましたが、腑に落ちました。時代の先端いく徹底的な洗練具合が自慢のApple製品ですが、確かにこの効果によってうまく細かい使いにくさがカバーされている気がします。あくまで個人的な所感ですが、windowsのように細かなこと(画面分割だとか)がしにくかったり、直感的ゆえに大胆な操作になっている部分はあるような気がする。

こちらの動画では愛用しているblackberryが若干ディス受けてます笑

https://www.youtube.com/watch?v=Wno2Ba3jxYY

(考察)機能性を損なっても美しさを取るかどうか

webサイトやアプリ等のUIはもちろん、日用品や家電などでもこの効果は確かにあるように思えます。

ふと思ったのは使っていた加湿器。きれいなシルエットでシンプルなデザインです。が、よくよく考えると①電源②ライト③噴射方向④噴射量の4つの制御を一つのボタンで司っていて、特にそのアイコン表記もないんですね。

ボタンや表記を増やせば必ず使い勝手が上がるものでもないですし、スペース上やコスト的な理由もあります。この製品の場合、長押しやダブルタップなどを駆使し、アイコン表記なしで理解してもらえる範囲にうまく収め、見た目もきれいな曲線に仕上げているので絶妙な使いにくさが目立っていないと思いました。

(まとめ)美しさは見た目の魅力に留まらず実利を生む

記事の中でも、この効果ゆえに見た目を美しく仕上げることに時間とコストをかける価値があることが謳われています。

こうして勉強&考察してみて、よくある「見た目のために機能性を失うべきかどうか」「美しさを維持することにどれだけ価値を持つか」といった問題において、この相乗効果が一つのヒントになるような気がしました。

以上です!何かすこしでも役に立てば嬉しいです。
コメントもお待ちしてます。

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