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現代デザインにも通じるスイススタイル3大原則

以前のように外出先で見つけた良さげなデザイン物を観察することができないため、今日も歴代巨匠の作品について簡単に勉強した内容を共有します。

スイススタイル (国際タイポグラフィ様式) とは

1920年代のロシア、オランダ、ドイツで発祥し、1950年代にスイスで発展したデザイン様式で、芸術運動の一つ。グラフィックデザインに限定したものではなく、様々な芸術や建築に影響を与えたものです。

スイスは多言語国家で複数の言語を併記する必要があります。こうした文字表記の複雑さに対する解決として捉えられたのが、スイススタイルという名前の由来になっています。

この様式は活字の重要性に強く依存していることから国際タイポグラフィとも呼ばれ、実際にタイポグラフィが非常に重要な要素になっている作品ばかり。以下MoMAより。

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三大原則

■ 清潔感
■ 可読性
■ 客観性

スイススタイルは客観的な情報伝達を目指して生まれた様式で、芸術美から離れた「問題解決のためのデザイン」の成立に深く関わり、現代のデザインにも通じている概念です。

The Principles:
Cleanliness. Readability. Objectivity.
Just a few key words that describe the driving force behind Swiss Style. The 19th century marked the separation of design from fine art, and with it, the birth of grid-based design.

グラフィックデザインでの特徴

■ グリッドシステム
■ 非左右対称構成
■ 写真・イラストを利用した明確な情報提示(特にモノクロ写真等)
■ サンセリフ(特にヘルベチカ)の利用
■ 左端揃え・右端ラグ(不揃い)の文字組

Asymmetrically organizing the design elements on a mathematically-constructed grid to create visual unity in a composition.
Presenting visual and textual information clearly and with clarity, using photography and illustration.
Using sans-serif typography set flush left, ragged right — people believed sans-serif typography expressed the spirit of a progressive age and that mathematical grids were the most legible and harmonious means for structuring information.(flintriverより)

ヘルベチカは丁度この時代に「長文に耐え、かつ高い可読性を維持する」ことを目指して作られた書体で、この様式の発展に貢献しています。

アーミン・ホフマン氏とは

スイスのグラフィックデザイナー、タイポグラファーで、バーゼル造形学校の設立に関わり、この様式の提唱を行った人物です。彼の作品には強くこの様式が根付いています。

有名作「Giselle」ポスターの考察

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彼の著名な作品の一つに、バレエ作品「Giselle」のポスターがあります。
上記スイススタイルの特徴すべてを満たしていて、モノクロの傑作としてよくデザイン書で紹介される作品です。
モノクロ構成がバレリーナの動きをより印象的にし、無駄なく必要情報に視線移動させています。また、バレリーナと対を成すよう縦に配置された「Giselle」文字は、小文字の高さでちょうど空間が生まれており、この余白故に脚の動きを邪魔せず躍動感が出ています。

フラットデザインへの影響

この様式は現在のデザインに深く結びついていて、特にフラットデザインが挙げられます。
■ 整然としたグリッド
■ 読みやすく印象的なサンセリフ
■ シンプルな配色
これらを用いた簡潔なデザインはスイススタイルそのものだなと改めて感じました。
スイススタイルをCSSで表現するものも面白いのでぜひ。

(まとめ)ルーツを探ることでデザインの意味が分かる

何となしに認識している「流行りのデザイン」には受け入れられる理由があって、それが過去のムーブメントに結びついているという一連の流れを知ることで、「よいものの理由」をさらに深く理解することができるんだなと思いました。これからも続けます。

以上です!何かすこしでも役に立てば嬉しいです。
コメントもお待ちしてます。



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