見出し画像

読書感想文5【習慣の力】

はじめに

こんにちは。ヨシミツダです。今回は「習慣の力 チャールズ・デュビッグ著 渡会圭子訳」という本について紹介します。
今まで習慣の持つ力を意識して行動してなかった人には非常に役に立つ考え方が紹介されています。

私がこの本を手に取ったきっかけは、会社の人事研修で生産性について考える機会があったことです。生産性は日々の行動の質として現れます。行動について考えた時に人間の行動の4割は「習慣」でできているという説があり、習慣に対する考え方を変えることで生産性を向上できるのではと考えたのがきっかけでした。

習慣のメカニズムを知ること

この本で紹介されている習慣のメカニズムは主に次の3つの要素から構成されます。

1.きっかけ
2.ルーチン
3.報酬

習慣はこれらの要素のループにより実行されます。本書で紹介されていた重要なことはひとたび習慣ができると、脳が意思決定に全く参加しなくなるということです。

3つの構成要素について説明します。

きっかけ

第1段階は「きっかけ」で、これは脳に自動作業モードになるように、そしてどの習慣を使うかを伝える「引き金」になります。

ルーチン

第2段階は「ルーチン(きっかけに反応して起こる慣例的な行動や思考)」です。
これは身体的なものだったり、脳や感情に関わるものだったりします。

報酬

最後の要素は「報酬」です。これはある具体的なループを、将来のために記憶に残すかどうか、脳が判断するための役に立ちます。

この「きっかけ→ルーチン→報酬」というループは時間がたつにつれて強固になり、どんどん無意識に起こるようになります。

別の本になりますが、「ファストアンドスロー」で紹介されているシステム1の思考はこの習慣の力になります。

習慣の力の活用事例

少しイメージを具体的にしてもらうために、本書で紹介されていたアルコアという会社の習慣の力の活用事例をご紹介します。

アルコアというアルミ会社を立て直すために新しくきたCEOが設定した目標は安全でした。
この怪我人ゼロという目標は、まずなぜ怪我をするのか、その理由を突き止めなければなりません。そして怪我の理由を知るには、製造過程にどのような欠陥があるのかを理解しなければならなりません。そしてそのためには社員を教育し、品質管理と効率的な手順を徹底する必要があります。それができると正確な現場の作業を楽にすることができます。

CEOはこのプラスの流れを習慣のループに基づいて設計しました。

・きっかけ
「社員の怪我」

・ルーチン
何をすればいいのかの機械的ルーチンを決定する。誰かが怪我をしたら、24時間以内にユニット長がCEOに報告し、2度とおこらないようにするためにどうするか、改善策を示す。

・報酬
このシステムを受け入れる者しか昇進させない。

この迅速な報告を実現するために新しい連絡系統が作られ、ユニット長→副長→現場リーダーのコミュニケーションは活発になりました。
安全面での対策が変化すると、他の面も驚くほどのスピードで変わり始めました。

というように習慣の力を利用して現場改善した事例などが紹介されてます。
 

私の活用例

習慣の力を組織に活用できたらよかったのですが、まずは身の回りのことに使ってみました。
また、本書にも書いてあったことですが、きっかけとなる行動は次のきっかけとなる行動をルーチンとして起動します。

例えば忘れ物をしないために、朝からの準備動作、順序を完全に統一しました。

朝おきる→顔洗う→水回りの掃除→朝ごはん→歯磨き→トイレ→時計→携帯→上着→荷物持ち→鍵閉め
というルーチンを、必ず順序通りに実行するのです。このとき頭は全くなにも考えない状態に近いです。きっかけとして、前の行動から次の行動を駆動します。

そうすることで時計のつけ忘れや、携帯を忘れたりということがなくなりました。

ちょっと大げさですが、著名な経営者の方に時々毎日同じ服を着るという人がいます。人はささいなことでも選択、判断することで脳の力を使ってしまいます。経営者の方はより重要な判断に脳の力を使いたいので、ささいなことにそのエネルギーを使いたくないのです。

同じように習慣の力を使うことで、脳の力をセーブすることができます。しかもスピードを上げて実行することができます。
スポーツをやる人は経験あると思いますが、ある初動をきっかけに体が反応しているというケースはないでしょうか。きっかけ→即ルーチンで設定した動きへの移行も習慣の力によるものです。

習慣の力の罠

このように習慣の力を知った私はルーチン化できることをどんどん設計、実行していくことをやっていきました。

作業効率はどんどん向上し、プラスの影響を
感じる一方、この習慣の力の問題点を感じる
ようになるのです。

それは一言でいうと「楽しくない」という
問題でした。自分を機能的に扱い、効率的に
動かしており、目標は達成できても
楽しくないのです。
あとで気がついたことですが、システム1の脳の使い方をしていると、どうしても情動的な部分が欠損してしまうのです。

この問題を解決する方法が必要でした。
なにしろ、妙な閉塞感まで感じるようになっていたからです。

体と脳のつながりの大事さに気がつく

そんな時に出会ったのが「動きが脳を変える  活力と変化を生み出すニューロ・ムーブメント アナット・バニエル著」という本でした。
この本で私は情動を取り戻す術を知るのです。
この本については次回また紹介します。

つづく

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,937件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?